傘のシェアリングエコノミーと江戸時代の番傘について

最近流行りのシェアリングエコノミー。シェアサイクル、シェアカー、等々まだまだニーズはありそうですが傘のシェアリングも絶対に需要としてはあるはずです。

シェアリング大国の中国でもある程度流行っている様です。

一方、このようなニュースもありました。

中国で「傘シェアリングサービス」が開始されるも3カ月で30万本が行方不明になる事態

この様な状態ですが運営側はかなり強気なようです。


すでに30万本が戻らぬ傘となってしまったわけですが、このサービスの可能性に狙いを定めているShuping氏は強気の姿勢を崩していないとのこと。失われた傘を補充するためには一本あたり60元(約1000円)の費用が発生するとのことですが、Shuping氏は2017年末にかけてさらに3000万本の傘を中国の各地に投入してサービスの拡大を図る予定とのことです。

あまり知られていませんが日本ではダイドードリンコ株式会社が自販機に設置するタイプの傘のシェアリングを展開しています。返却率は70%といのこと。これを良いと見るか難しいところですが中国よりは割と良いようです。

https://www.dydo.co.jp/corporate/news/2017/170608.html

中国ではシェアサイクルと同様に料金を支払い使用する形(30分8円くらい)でしたが、ダイドーが行っているのはあくまでも無料での貸し出しです。ダイドーの宣伝だと思いますが面白い取組みですよね。

非常に面白いこの広告型の傘のシェアリングモデルですが実は江戸時代にも行われていました。『越後屋、、、おぬしもワルよのう・・・』でお馴染みの(ひどいネガキャンw)越後屋は江戸時代のいわゆる豪商で、呉服屋等を営んでおりました。現在の三越(三井+越後屋)の前身とも言われています。未だに三越のロゴは思いっきり越後屋風です。

その越後屋ですが、様々な画期的なマーケティング手法を用いたことでも有名です。僕なんかよりもこちらの方のブログに詳しかったのでそちらもご参照ください。

人で見る日本と文化-柳原範夫-

ビジネスをする上ですごく参考になるので面白いですが、ここでは傘を使ったマーケティングのお話に焦点を当てます。引用させて頂くとこのような内容。

5.番傘の貸し出し
突然の雨に備えて沢山の番傘を店に置き顧客に貸し出した。傘には越後屋の名前が大きく書かれており、それぞれに通し番号が書かれてあった。顧客はその傘を借りて帰る道すがら、越後屋の宣伝に一役かわされており又いずれの日に返しにいけば再度顧客になる可能性も高い。傘を返しに来なくとも使用することで越後屋の動く宣伝となってくれる。傘に通し番号をつけたことで、爾来番傘の名前は通称となった。

※写真もブログから引用

傘を無料でレンタルすることによりリピーターを増やすことだけでなく越後屋それ自身の規模を宣伝することができたようです。一説によると1500番までの通し番号があり、しかも本当はそんなに作ってはおらず、1500番もあればそれだけすごい商店であるように見せることができると思いわざと大きい番号を付けたという話もあります。

当時の傘は、今の傘とは比べ物にならないほど高価なものでした。その傘が欲しいがために越後屋に行った人も多かったはずです。先ほどのブログに書かれている様々な工夫もあるので大繁盛し、今日に至るまで越後屋のロゴマークが生きることになりました。

では今の日本でどのようなことができるのか?今の日本で傘を作るのであればおそらく原価は50円もしないと思います。例えばファミリーマートで傘を配った場合どのような効果とどのようなコストが必要になるでしょうか?

仮に1店舗に100本置いたとして1億円にも満たないマーケコストです。コンビニの客単価はだいたい600円程度だそうです。返却率がダイドーと同じ70%だと仮定した場合、来客数という面だけを見ても100本の傘でも10回目のレンタルの時点で227人来客したことになります。また、これが返却時にも何かを買うと仮定すれば454回の購入ポイントに繋げることができます。

※雑ですいません・・・w

454回の購入ポイントで客単価を平均の半分の300円と仮定しても13万6200円の売上を作ることができたことになります。50円の製造原価で13万6200円の売上を作れるのなら良い方法だと思うのですがどうなのでしょうか?全ての店舗に当てはめると約1億の製造原価で24億の売上に!!(そもそも仮定の数字が多すぎますけどねw)

ただ、ここまで書いていて一番大事なことを最後に言うのですがファミリーマートが傘のシェアリングを行ってしますとファミマで傘が全く売れなくなってしまいます。傘の売上がどの程度あるかわかりませんが傘の売上とトレードオフで考えた際にどちらを優先するかという話になるのだと思います。鉄道会社がやるのもありですが売上貢献はほぼないと思うので。。。

まあ、未返却になった傘も宣伝だと思えば安いもののような気がするのでファミマが傘のシェアリングを行うというのは個人的にはすごくアリだと思っています(細かいことはコンビニ業界知らないのでわかりませんが)。

ちなみに家計簿によると僕は年間で傘を10回ほど購入しているようです( ;∀;)

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