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『下剋上球児』 第3話「夢の甲子園前に絆が崩壊!?偽教師の決断」 感想


概要

放送局:TBS系列
放送日時:2023年10月29日(日曜日) 21時00分~21時54分

原案…菊地 高弘『下剋上球児』(カンゼン刊)

脚本…奥寺 佐渡子
音楽…jizue
主題歌…Superfly「Ashes」
プロデュース…新井 順子
演出…塚原 あゆ子
編成…黎 景怡、広瀬 泰斗
製作…TBSスパークル、TBS

番組公式サイト リンク

感想

努力する姿は、誰かが見てくれる。

 前回ラスト、バッティングセンターで会社員に絡まれた野球部員。もののはずみで相手を突き飛ばして怪我させてしまう暴力沙汰に発展してしまいました。加害者として補導されたのは日沖壮磨(演:小林虎之介)。自身は野球部に所属していませんが、野球部主将・日沖誠(演:菅生新樹)の弟です。
 南雲先生が尻拭いに東奔西走する最中、肝心の壮磨は反省しているようなしていないような、そんな態度(とりあえず先生の前で未成年飲酒はいけないよ)。先生から兄の話を振られても悪態をつく始末です。でもそれは、彼なりの兄や野球部への想いの裏返しでした。
 相手を突き飛ばした真犯人は誠。でもそれが明るみになると野球部は廃部になりかねない。(夜中の大乱闘ゆえ、誰が誰をどうしたかは自分たちも把握しきれていないから)帰宅部の自分が身代わりになれば野球部は夏の大会に出られる。そういう事情で、自ら「やってやったわ」と名乗り出たのでした。
 おそらく、日沖兄弟の仲が悪いのは本当のこと。でも、それはそれとして兄が一生懸命頑張っている姿を一番近くで見てきたのも、そこに対して彼なりに思うところがあったのもまた事実。(相手が悪いとはいえ)暴力沙汰も身代わり出頭も褒められた話ではないですが、兄の努力を無駄にしたくなかったというその意気は伝わってきました。

 一方、南雲先生は自身の過ちにけりを付けるべく、今年度限りで教師を引退しようとします。しかし理由までは言い出せず(なにしろ犯罪ですから、おいそれと言えないのは当然ですが…)。じゃあなんで山住先生には言えたんだって話にはなりますけどね…。
 それと並行して、南雲先生が顔を出さなくなった野球部はガタガタ。イージーミスは増えるし、やる気等の面も以前より悪く見えます。アマチュアで、そのうえ発展途上の部だから精神面の影響は大きいんでしょうけれど、「"精神的支柱"と言える存在がいなくなるだけでここまで違うものになるのか」と驚愕するとともに、「選手も指導者も周囲も、そういう面で南雲先生に"依存"しているんじゃないかな」「各人が精神的に自立するところから始めないといけないかな」とも感じました。

 日沖兄弟の絆しかり、南雲先生への依存心しかり、身につまされる話です。

 そして、いよいよ夏の大会が始まります。初戦の相手は多気高校、南雲先生は副部長として望むことになりました」。
 大会当日、楡くんの「ultra soul」を聴きながらの電車乗り間違えなどトラブルを経て球場に集まった野球部。そして現れる星葉高校。越山の背番号1を背負う翔くんを見て、江戸川くんと児玉くんは「翔がエースや」「ええな」と一言。高校生離れした貫禄も相まって、その姿には「強き者との戦いこそ我が人生」と言わんばかりの武人っぽさを感じました。
 なんやかんやで無事始まった開会式。観客席で、慶政大学(南雲先生、賀門監督の母校)図書館の司書をやっていたという青年(演:渋江譲二)から「南雲は落第して中退したと思っていた」と言う話を聞いた賀門監督。何かに気づいたかのように笑みが消えたその瞬間、リアルに「怖っ😱」と言ってしまいました。威厳を感じる顔立ちのためもあると思うんですが、"名優"と称される俳優さんってふとした表情だけで魅せるというか、"行間"を伺わせるのが上手いですよね。

 それはさておき、次回は待ちに待った1回戦。"ザン高"の歴史を塗り替えられるか、見物ですね。

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