「面倒臭い」と「習慣化」

 「面倒臭い」こと、特に「その気になればすぐ終わるけれど、なんとなく面倒臭い」ことは「習慣(システム)化」すると面倒臭さが消え失せる。こんな話を聞いたことのある方は多いだろう。
 たとえば、お風呂掃除が面倒臭い方は、毎朝7時半から10分間をその時間と定めて実行する。すると、最初の数日間は億劫に感じることもあるが、それさえ乗り切ればむしろその時間にお風呂掃除をしないと調子が狂う、といった感じだ。

 かくいう僕も、最近この効果を実感したことがある。それは、「平日は毎朝髪型をセットすること」だ。
 自分で言うのもなんだが、僕は身だしなみに気を遣う方だと思う。ただ、なぜか髪のセットだけは面倒に感じ、それを行うのは大事な日(たとえば試験を受けたり映画を見に行ったりする日)のみにして、普段は寝癖を直す程度にしていた。
 ある日、ふと思い立って平日だけでも髪はきちんとしていた方がいいと決意し、毎朝髪をセットすることにした(特に理由になる出来事はないが、強いて言えばこの春から就職なので、そういう所も含めて生活習慣をしっかりさせようと思ったのだろう)。

 ワックスで髪型を整え、ヘアスプレーで固めるだけなのだが、最初はいささか面倒に感じることもあった。なにしろ、出掛けるわけでもないのに、誰かに会うわけでもないのに(さらに言えば寝癖が目立つ髪型でもないのに)髪を固めるのだ。そういうことに無頓着な方からしたら「やらなくてもいいこと」そのものだろう。
 とはいえ、始めた翌週には面倒に感じないようになった。むしろ、朝の身支度をする時には自然と整髪剤に手が届くようになった。そういうことに影響されやすいタイプなのか、髪型をしっかりさせることで、日頃の気持ちもシャンとするようになった。その結果、これまでより多くのことをできる濃密な1日になった、という好影響もある。

 「先ず隗より始めよ」という故事成語もあるように、大きな事を成すためにはまず手近なところから始めるのが良い。
 さすがにいきなり「毎日30km走る」とか「今より2時間早起きする」といった事を継続できる人はそういない。しかし、「まずは毎日1km以上走るようにして、慣れてきたら徐々にノルマを増やしていく」「まずは30分早く起きるようにして、〜」という方法でなら、実行できる人は増えるのではないだろうか。イチロー氏の名言「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道」の要領だ。
 案外、そういう身近なことの中に現状から向上するヒントが隠れているかもしれない。

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