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「凍りのくじら」

本を読み終わったので、まとめと感想をかいておく。主人公は25歳の写真家の女の人だが、プロローグ・エピローグ以外は、女子高生の彼女である。女子高生の彼女は、内心少し他人を馬鹿にしている一方で、表面的にはあくまで都合のいい人格を演じている、頭のいいタイプである。よくありそうな、元カレとのあいまいな人間関係だったり、その辺で知り合った色んな人が絡まっていき、ショッキングな出来事が起こる。ただし、このショッキングな出来事によって、彼女の中に人生に対する使命感が芽生える・写真家としての人生を自ら選択していく、そんな感じのストーリーである。

辻村深月さんの作品はこれが初めてだったが、第一印象は文庫本にして約570ページという厚さである。どんなストーリーだとこの厚さになるんだろうか、と思いつつ読み始めた。

いろんな人の感想や、当該書籍内の解説でも、主人公に共感がしづらいと言及されているが、そう思う。前半で離脱してしまう人が一定数いるのではないか。個人的には、中盤以降出てくる、口のきけない少年とその家政婦の登場からが好きだ。主人公の女の子も、おそらく多くの読者も、この2人の邪気のなさというべきか、救われたのではないかと思う。

中盤以降は勢いで読み進むが、心拍数があがるので、寝る前に読むのは避けたほうがよいと思う。


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