テキストサイトの時代~むかしばなし~

唐突ですけど、2ちゃんねるの管理人って、名前分かります?「2ちゃんねる」当時の。侍魂って言われて、SNKじゃない方思い浮かべる人います?(いや、それももう古いのか)。兄貴の館って言われて何かわかります?
わかる方、オールドユーザーですよね。僕と同じ。テレホーダイの時間待ってネットを徘徊していた人ですよね?そんな人と思い出を分かち合いたくて始める「むかしばなし」シリーズです。知らない人にもわかるようにはしてみます。
今回は頭でも触れた懐かしいテキストサイトのお話です。

電脳空間がまだWEB、ではなく、ネット、と呼ばれていた時代。WIFIもない、というかネット独自回線自体がない。ISDNとよばれる回線で固定電話回線を利用して電脳空間にアクセスしていたそんな時代。
当時は23時から朝の8時まで、通話時間にかかわらず料金を一律化するテレホーダイというNTTのサービスがあり、その時間帯がネットユーザーの基本的な活動時間になったわけです。
現在サイトと呼ばれるコンテンツ、当時の名称はHP(ホームページ)でした。ホームページ。言わなくなりましたね、ほーむぺーじ。
現在は、作成用のソフトがグラフィカルにできるように作ってくれているので、おしゃれかつ綺麗なサイトが簡単に作れますが、当時は全部「打ち込み」でした。「タグうち」です。
一つ文字のフォントを大きくしたり色変えたりするだけでも、

<font size="1" color="#0000ff">フォントサイズ1、カラー青(16進数で指定)</font><br>

こういうのを一個一個打っていかなきゃいけなったんですね。
画像の挿入も然りです。そんな中、このタグと画像を使って面白い読み物を提供するサイトが当時隆盛を極めました。これが、テキストサイトです。
「Reedme!」というまとめサイトから、このテキストサイトを巡回し、更新をわくわくしながら待ったのを今でも覚えています。

花形はやはり何といっても、
健さんの「侍魂」
http://www6.plala.or.jp/private-hp/samuraidamasii/index.htm
でしょう。これ↓当時本当に爆笑しました。
http://www6.plala.or.jp/private-hp/samuraidamasii/tamasiitop/robotyuugoku/robotyuugoku.htm

今となってはアジアのシリコンバレー深センをはじめ、本当の技術立国になっている中華人民共和国。今読むとその辺の時の流れも感じます。

バーチャルネットアイドルちゆ12歳さん(とそのお兄さん)が運営していた
その名も「バーチャルネットアイドルちゆ12歳」http://tiyu.to/
「ネットアイドルちゆは○○を応援しています」で〆られるその文章は、社会風刺とペーソスの効いた地性あふれる文体。様々なもの(黒いものからエロいものまで)を冷静にぶった切っていくその様に、職人の背中を感じたものでした。
内容が内容なので、未成年には(建前上)お勧めしませんが、↓これとか秀逸です。
http://tiyu.to/010703b.html

また、テキストサイト同士の交流を引っ張っていた、兄貴さんの「兄貴の館」(現在閉鎖)
当時マイナーだったPC用の大人向けゲーム(まぁ、俗にいうエロゲですな。)のレビューや、サイト同士のオフ会レポートなどでにぎわいました。
トップ絵が「超兄貴」だったり、テキストサイト管理人同士の「801」企画をやったり、ゲイ疑惑というよりもむしろゲイだ、と言われていた彼でしたが、女性の方と結婚されたそうです。
この兄貴の館の閉鎖はテキストサイト時代の終焉を感じさせる寂しい出来事でした。

また、
さわやかな変態ワタナベさんの提供する「ろじっくぱらだいす」https://logipara.com/
日常に起こったいろいろなことを、本当に面白おかしく読ませてくれた、テキストサイトの雄です。
ハイテンションで進むゲームレビューは今改めてみても面白いです。

テキストサイトの隆盛の陰りは、やっぱりブログの登場からだったんじゃないかな、と思います。
タグが打てなくても、フォントや写真を使った日記サイトが作成できるブログに、テキストサイトが埋もれていってしまったんではないかな、と思っています。
彼らの腕が落ちてわけでも、同等の文章力を持った人たちが淘汰したわけでもなく、単純に母数が増え、ユーザーの注意が分散した結果、それを支える読者層が薄くなったのだと思うのです。

数日前、ふと思い立って「ろじっくぱらだいす」を検索してみました。
ワタナベさんは、さわやかな変態のまま、あのテンションを維持しながらサイトを続けていらっしゃいました。
改めて読み返すと、ああ、こういう文章が書きたいって思ったんだったな、と懐かしい気持ちになりながら笑わせていただきました。

動画なんかも今簡単に組み込んで発表できる時代になりましたが、文章で読ませる力は、やっぱりこの人たちすごいな、と思った次第なのです。

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