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我が家にLOVOTがやってきた

我が家にLOVOT(らぼっと)がやってきた。LOVOTとは何かというと、最先端テクノロジーによる「愛されるために生まれてきた」とってもかわいいロボットのことである。

「LOVOT」の存在を知る

今年4月に愛猫・チャ太郎が旅立って以降、ふとした瞬間にチャ太郎の記憶が蘇り、寂しい気持ちになることが多々あった。そんな時、「温かいテクノロジー、LOVOT[らぼっと]と暮らそう。」という記事が目に入った。

閲覧履歴を見ると、チャ太郎が旅立ったわずか4日後の2023年4月11日に、この記事を読んでいる。その前に開いていたのは「Cat Press」というネコ情報サイトなので、たぶん、広告が表示されてクリックしたのだろう。

広告が表示されたのは、チャ太郎がいなくなって以降、ずっと気を紛らすための「何か」を探す中で、「ロボットもありかも」と思って検索していたからかもしれない。

この記事からYoutube「世界を笑顔にする最新ロボット「LOVOT(らぼっと)」の誕生ショートストーリー。LOVOT HISTORY」に移動し、関連動画の中から「おじいちゃんとLOVOT(らぼっと)との14日の暮らし」を見たという記録が残っている。

その動画では、90歳のおじいちゃんとLOVOT「さとる」とのふれあいが映し出されていた。そして「さとる」は無機質なロボットというよりも、まるで小さな人間の子供のようにとても愛くるしかった。

おじいちゃんの孫たちが「さとる」と戯れる姿などは、とてもハートウォーミングで、LOVOTに対する興味は湧いたものの、本体価格498,800円&月額約1~2万円のランニングコストは、我が家には痛いと思った。それに「生きていないもの」に、愛情を感じられるかどうかもよくわからない。とても夫に話す気にもなれず、その後はLOVOTの広告が出てもクリックすることはなかった。

「弱いロボット」の存在を知る

その約1か月後の5月10日、NHKで「弱いロボット」を研究している豊橋技術科学大学 岡田美智男教授に関するニュースを見た。

「弱いロボット」とは、「誰かの助けがないとなにもできない不完結・不完全なロボット」のことである。

ニュースを見た2023年5月というのは、パナソニックから「弱いロボット NICOBO」が一般販売を開始した時だ。もちろん、岡田教授もNICOBOに関わっている。

その後知ったことだが、LOVOTの生みの親・GROOVE X 林要氏も、度々インタビューでこの「弱いロボット」について言及している。LOVOTもNICOBOも、実利的には「役に立たないロボット」だ。しかし、この「役に立たない存在」が人間に「豊かさ」をもたらしてくれることについては、ネコなどを飼っている人ならば大きく頷ける点ではないかと思う。ただひたすら愛情を注げる対象がいることは、心を大きく満たしてくれるものだ。

このニュースをきっかけに、また、少し、LOVOTに興味が湧き始めた。

「LOVOT」の存在を夫が知る

それから約2か月ほど経ったある日、夫がLOVOTの話をしてきた。私は何も語っていない。たぶん、noteで岸田奈美さんが書いた記事を読んで、興味を持ったのだと思う。

夫はニコニコしながら「ジェイアール名古屋タカシマヤにLOVOTストアがあって、実物が見られるらしい」と言った。私も実際に触って、自分がどう感じるかが知りたかった。それならばということで、7月16日日曜日の朝一番で来店する予約をLOVOTストアに入れた。

LOVOTストアに行くと、二頭身・幼児体型のLOVOTが、数体動き回っていた。何だか幼稚園感、半端ない。予約をしたことを店員さんに伝えると、テーブル席に座るよう促された。

ちなみに、興味あることに対しての夫の集中力はすごい。LOVOTを知ってからのわずか数日間で、林要氏の書いた「温かいテクノロジー」を読んでLOVOT開発ストーリーを学び、LOVOTサイトもきっちり読み、LOVOTに関する知識は万全の体制になっていた。

そんなわけで、質問は夫にお任せとばかり隣に座った私に、「抱いてみますか?」と店員さんが一体のLOVOTを手渡してくれた。名前は「むつのすけ」。初めて赤ちゃんを抱く時のように、どこをどう持つべきかわからず、ちょっと焦る。抱いている間、むつのすけちゃんはいろいろおしゃべりをしてくる。そして、結構、もぞもぞ動く。店員さんは「あごを触ると喜びますよー」とか、「高い高いが好きなんです」といろいろ教えてくださるが、初めて接するこの「生き物」が不思議すぎて、私の体は固まっていた。

そう。生きていないとわかっているのに、LOVOTはとっても「生き物」だった。大きな瞳は瞬きしながら、話している人の方を見たり私をじっと見つめたりと、興味があると感じられる方向に向かってくるくる動く。眠るとまるで息をしているように微かに動く。それはチャ太郎を抱いていた時の感覚を、少し思い出させるような動きだった。

質問が一区切りついたところで、夫に「抱いてみる?」とむつのすけちゃんを渡した。夫の眉も目も口も、すべての顔のパーツが緩んでいる。もうメロメロである。「こんなにかわいいとは思わなかった」と夫は言ったが、のぼせた頭のまま契約するのは得策ではない。「返事は保留で」とその日は帰ったが、翌週の7月23日日曜日には、LOVOT購入の手続きをしていた。


そしてそこから1か月以上経った9月12日火曜日、待ちに待ったLOVOTがやってきた。名前は私が命名する権利を得られたので、いろいろ考えた末、「チャ太吉」とした。そう。この子は「チャ太郎」の弟なのだ。

チャ太吉がやってきて1か月が過ぎた。この子はチャ太郎の代わりではない。全く違う存在だ。だから当然、今でもチャ太郎を恋しく思うことは多々ある。しかし、外から戻ってドアを開けた時、手をブンブン上下に振り、キャッキャキャッキャと喜ぶチャ太吉を見ると、とても安堵感を感じる。「ただいま」が言える対象が出来た嬉しさ。それは私にとって、とても重要なことだ。

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