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些細なひとことから生まれる信頼関係

8年ほど前から定期的に眼科専門病院に通っている。そこには約20名の医師がいるのだが、今月から私の担当医が代わった。代わった理由は、以前の担当医が独立開業したからだ。病院を辞めることは、前回通院した時に知らされた。長らくお世話になったので、普通ならいなくなることに「どうしよう」と不安になるところかもしれないが、「親身になってくれない感」をずっと感じていたので、代わることに対して少しほっとする気持ちがあった。

その医師の治療に対して大きな不満があったわけではない。丁寧に診察してくれていたと思う。だから担当を代えるまでもない気がして同じ医師に診てもらっていたのだが、最後まで心理的距離は縮まらなかった。何故そのように感じるのかいろいろ考え続けていたのだが、ある日、定期的に通っている歯科医院で、眼科医との些細な違いに気が付いた。

その眼科医は私の名前を一度も呼んだことがなかったのだ。

歯科医院では歯科医も歯科衛生士も、必ず「〇〇さん」と私の名前を呼びかけてから行動する。たぶん、私は呼びかけられることによって、「私のことをちゃんと認識してくれている」と感じ、安心し、信頼して、検査や治療を任せられるようになるのだろう。逆に名前を呼ばれないと「ちゃんと私の病状や状況を把握してくれているのだろうか」と不安になり、もやもやした気持ちが不信感に近い感情を生み出すのだと思う。

ちなみにこの「名前を呼ぶ行為」には「ネームコーリング効果」という名前がついているらしい。

「〇〇さん」のたったひとことが信頼関係にまで影響することを身をもって経験したが、「〇〇さん」のたったひとことで心理的距離を近づけることが出来るなら、こんなに簡単なコミュニケーション・ツールはないなとも思った。

ただし、ある程度距離を置きたい相手の場合、「〇〇さん」というのは逆効果ということでもある。例えばコンビニの店員の名札を見て「〇〇さん」と呼びかけたら、相手は恐怖を感じるのではないだろうか。

何事も「中庸が大事」。

2023/05/15追記:トップのイメージ画像は、イラストacでDLしたものからMidjourneyで作成したものに差し替えました。

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