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20年ぶりに、再び、花を飾る

今春、愛猫・チャ太郎が亡くなった日に、お友達が供花を持ってきてくださった。それを機に七日ごとにお花を供えるようになったら、約20年ぶりに花を飾る生活が戻ってきた。

そう。約20年前、我が家に子猫・チャ太郎がやってきた。彼は花を飾るやいなや、花瓶ごと倒して床に花を散乱させることがたびたびあった。頻繁に散らかることに加え、猫には危険な草花が多いこともわかり、習慣化していた花飾りはピタリとやめてしまった。

やめると決めてすぐ、花瓶はすべて処分してしまったので、たまにお花をいただいた時は、プラスチック容器にアレンジし、チャ太郎が入ることが出来ない棚に、短期間、飾った。

100均のプラスチックボウルにいけたアレンジ(2014年9月)

そんな私だったが、実は若い頃は、花を飾ることにほとんど興味がなかった。興味がないというより、植物を育てることが恐ろしく下手だったのだ。ポトスとかアイビーとかワイヤープランツとか、初心者向けと言われる観葉植物に何度かトライしたが、すぐ枯れる。育たないものに愛情を注ぐことも出来ず、草花とは無縁の生活を送っていたのだが、ある時、10日間ほど入院をしたことで変化が起きた。

入院中、お見舞いに数人の友達が、お花を持ってきてくれた。お腹を切った割に元気があり、時間を持て余していた私は、アレンジされたお花を解体し、ベッドいっぱいに広げ、枯れた花を取り除き、白い洗面器にアレンジし直すことを日課とした。面白かった。

面白いものはより深く知りたくなる。しかし退院後購入したのはフラワーアレンジメントの本ではなく、少量のお花を使ったテーブルフラワーの写真集だった。型にはまることもはめることも好まない私にとって、フラワーアレンジメントの内容は堅苦しく、何度見てもしっくりこなかったからだ。

購入した写真集はとても気に入った。しかし、そこに写っているテーブルフラワーに再現性はなかった。一応、アレンジのコツについての記述はあったが、どう見ても写真にある花と花瓶の組み合わせだからこその美しさだった。結果、写真集は愛でるだけに終わり、そこからアレンジの法則を学ぶことはできなかった。

だからアレンジについては何が正解かわからない。基準がない中花を選び、切り、納まりが良さそうな角度に差していく。目に見えない何かに挑んでいる感じがする。ちょっとしたゲームだ。

猫ファーストで約20年間遠ざかっていたフラワーアレンジメントだが、お供えという形で復活し、1週間に1度程度、200円~500円のお花を買うのが習慣となった。これも寂しい気持ちを紛らすための、チャ太郎からのひとつのメッセージなのかなと思ったりもする。

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