運動会、イチオシの曲。
その曲を聞いた瞬間、びびっと稲妻が走った。
ー運動会のダンスに使える!!と。
夏が始まると同時に頭によぎる、小学校の先生あるある。
「運動会の団体演技、どうしようかな…。」
ちなみに1年前も運動会について書いている。良かったら…!
団体演技において何はともあれ、まず決めることは、使う曲である。
団体演技にも、組み立て体操、集団行動、フラッグと様々な種類があるが、ここではダンスと仮定する。
曲が決まると、今度は使う手具(ポンポン、マラカス、バンダナ、リストバンド、傘などの小道具的なもの)、体系移動、ダンスの振り等の順に決めてゆく。
曲のイメージと動きや手具は、連動しているので、曲が決まらなくては、なかなか次のステップに進めない。
ちなみに運動会のダンスの曲を決めるときにわたしが考慮している要素は4つある。
1.曲の長さ
2.適切な速さ、明るさ(出来れば邦楽)
3.認知度(出来ればその年に流行った曲)
4.歌詞の言葉選び
それぞれ先生目線で、少し詳しく解説していくことにする。
1.曲の長さ
学校によるのかもしれないが、学年同士演技時間に長さの差が出ないよう、大体団体演技、入退場込みで○分と決められていることが多い。
となると、5分以上の曲は少々使い勝手が悪い。
曲の一部を自然にカットしたり、テンポを速めたりといった「編集」という特殊スキルを駆使する先生たちもいるが、わたしはそんなスキルを持ち合わせていないので、そのまま使わせてもらう。
まあほとんどの曲が、5分以内なのでここはどの曲も何なくクリア!
2.適切な速さ、曲調
小学生が踊るダンスなので、アップテンポで明るい曲調が踊りやすい。
カウントを取りやすいことが必須なので、速すぎないことも大切。
あと「○○○のときに手を前に!」
といったように歌詞と動きを連動させて指導することもあるので、日本語が良い。
さらにいうなら、途中で場所を移動する体系移動も行うので、ちょっと長めの間奏が入っているとなお良し。
3.認知度
いくら曲調やテンポがダンス向けの曲だとしても、あまり認知度が高くないと子どもたちは入り込みにくい。
ここでのミソは、我々大人が知っている、ではなくたくさんの子どもたちが知っている、ということ。
例えば、「コブクロ」や「ドリカム」「ミスチル」と言った我々ある一定の大人世代はみんな知っているような共通言語のような曲がある。しかし、子どもたちもそうだとは限らない。
よって自然と、CMやドラマ、映画やアニメで使われたアーティスト、など今年の流行の曲を選ぶことになる。
「今年はこの曲で踊ります!」
と発表したときに、
「あ、この曲知ってる!」
「わ、好きな歌や!」
そんな子どもたちの声が聞こえてきて、目を輝かせることが出来ると、つかみはばっちり…!
何より聞き覚えがあったり、馴染みのある曲だったりすると、頭に入りやすいのだ。
4.歌詞の言葉選び
これまでの1.2.3は、大体どの先生も考慮する。
しかしわたしが、きっと他の先生よりこだわっていることの一つは歌詞の言葉選びだ。
普段聞く分には、どんな曲であろうと別にそこまでうるさく言う必要はないと思う。
しかし、運動会の曲は違う。
これから、練習するのに、学校でも時には家でも、何回も何回も耳にするのだ。
ふと頭に残るフレーズだってあるだろう。
元気や勇気の出る言葉、励まされる言葉など
彼らにプラスに働きかける言葉であって欲しい。
よって、死や失恋を連想させるフレーズ、あまり思わしくない言葉はないか、ふさわしくない歌詞が含まれていないか、自分の中に運動会候補に上がった曲は、徹底的に歌詞を見る。
そして一般的に、良いと言われる歌詞でも、小学生の子どもたちがみんなで踊るのだから、大人が主人公であるような歌詞や恋愛の歌詞も避ける。
具体的に、過去にわたしの中で候補に上がったが、候補から消した曲は、映画「SING 2」の「could have been me」。
勇気づけられるような言葉のチョイスが好きだけど、
「月曜日の朝 目覚めたとき 仕事に怯えていたくない」というフレーズがあったのでやめた。
他に、歌詞の中に、男女を固定するようなフレーズが含むようなものも避ける。
ディズニーの「Starting Now〜新しい私へ〜」も優しくて力強い歌詞やメロディが良かったけど、ヒロインって言っちゃってるしなあ…と候補から外した。
1.2.3は、クリアしてもこの4で引っかかり、候補から消える歌の多いこと、多いこと。
前段が長くなったが、これらを踏まえてわたしが「これぞ、運動会のダンスの曲!」
と思った曲、
ずばり緑黄色社会の「Don!!」である。
長さ良し、曲調テンポともに良し、アーティストの知名度良し!
見える、見えるぞ、わたしには
「Don!」のところで一斉にポーズを決める子どもたちの姿が。
そして何より、この曲は歌詞がすごく素敵。
毎回、本番までの最後の練習を終える時間、わたしは学年の子どもたちを集めて座らせ、これまでを振り返り、褒めて終える。
身体を動かすことが好きだろうがそうでなかろうが、ダンスが得意だろうがそうでなかろうが、みんなでせっかく一カ月間練習を重ねて準備してきたのだ。
どの子にも、「頑張って良かったなあ、
」と思って欲しいし、出来上がりがどうかはさておき、一人一人自信をもって踊って欲しい。
そこで、わたしはきっと歌詞のこのフレーズを引用して、彼らに語るんだろう。
なんなら、学級通信にもこのフレーズを引用したい。
運動会当日は、子どもたちの気分を盛り上げるために、カラフルなチョークを使ってイラストと言葉を黒板に書く、ということもしている。
きっとそこにも、
「○人(学年の人数)、みんなのすごいとこ、みんなでみたい!」
なんて書くかもしれない。
なんなら、道徳の個性について学ぶときや何か学級でトラブルが起きたときにも、この歌は引用出来る。
お互いのことを知ろうとすること。
違いを知って認め合うこと。
違うからこそ、お互いを補え合えること。
そんなクラスに、集団になっていけたらいいね。
子どもたちに身をもって実感してもらいたいことが、この歌詞にはぎゅっと詰まっている。
運動会だけじゃない、学級経営にも使えるなんて、すごい曲。
もはや、クラスのテーマソングにしたい…!
とまあ、ここまで熱く書いておきながらわたしは今年、ポジション的に運動会の指導はしないので、採用出来なかったのだけれど。笑
すっきりと爽やかな青空が広がる、今日この頃。
恐らく、全国でこの週末や来週末あたりくらいに運動会を迎える学校が多いだろう。
もし、我が子や近所の小学校から、この曲が響いてきたら、きっと同じようなことを考えている先生がいるんだなあ、とにやりとしてもらえたらうれしい。
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