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Voigtlander NOKTON 40mm F1.2 Aspherical RFマウントを購入した話

RF50㎜ F1.8 STMを手放した話を投稿して から時間が経ってしまったが、ここで代わりに購入したレンズのレビューをしていく。前回の記事をまだ読んでいない方は、そこから是非読んでほしい。


タイトルで出オチになっている気もするが、50/1.8の代わりとして今回導入したのは、Voigtlander NOKTON 40mm F1.2 Asphericalである。

導入理由は主に下の3つである
①コンパクトな標準単焦点であること(24-105との比較)
②階調が豊かであること(RFのLレンズ級)
③マウントアダプターを使用しないこと(Exif情報を記録できる)

①導入理由&経緯

1.コンパクトな単焦点であること
これはマストの条件であった。総重量が1.4㎏となる24-105を毎回スナップに持ち出すのは流石に億劫であったし、何よりいくらミラーレスになってコンパクトになったとはいえ(3年前は7D2に24-70F4をつけた1.5㎏装備が基本であった)、口径が77㎜と大きくバッグに入れるのにそれなりに苦労していた。
更に、ズームレンズを持ち歩いていたとしても、自分が普段使う焦点距離が35~50㎜に集中していることに気づいたため、いっそのこと単焦点にして画角を決め切ったほうが楽にスナップが撮れるようになると考えていた。

2.階調が豊かであること
そもそもRF50/1.8を売却した理由が階調が足らず、ハイライトとシャドウ部の締まりが早すぎたことにあるので、これもマストである。具体的には、自分が所有していたRF24-105F4Lに匹敵するレベル。所有しているR6 Mark IIのセンサーはシャドウ部の階調に富んでいるので、それを最大限活用できるレンズを望んでいた。

3.マウントアダプターを使用しないこと
マウントアダプターの有無に関しては絶対的な条件ではなかった。もちろんEFマウント用のCarl Zeiss Planar 50/1.4のようなレンズだと、EF-RFのマウントアダプターが必須となりデカ重になってしまうが、ライカMマウント用レンズであればそこまでアダプターの大きさも気にならない。
ただ、Mマウント用だとExif情報の記録ができず、できれば撮影情報の記録がしたい。とはいえ、どこぞの中華メーカーのRFレンズでは電子接点がないものも多く、そもそもExif記録に対応していないものもある。そのため、電子接点が使用できるアダプター不要のレンズが条件だったと言える。

さて、前置きを長々と書いてしまっているがもう少しお付き合いしてほしい。2023年2月、某併願私大受験の帰りにTwitterを漁っていたところ、Voigtlanderブランドを手掛けるコシナがCanon RFマウント用レンズをCP+2023に参考出品すると発表した。受験終了後にR6 Mark IIの導入を予定していた自分からすれば、VoigtlanderのRF参入は大歓迎であったが、参考出品されたのはNOKTON 50mm F1。600g越えのかなり大きなレンズでお値段も20万越えと正直自分の購入対象からは外れていた。ただ、当時Zマウント用レンズがVoigtlanderブランドで続々と発売されていたため、夏ごろにはRFマウントレンズも拡充されるであろうと思っていた。

ところがどっこい、春になっても何も市場には出てこず、夏になっても発売されたのはCP+で発表していた50㎜ F1だけ。GW前に間に合わせで購入したRF50/1.8の粗も見え始め、とある春休みの大遠征(執筆現在遠征中である)も計画されたので、何かちょうどよい単焦点がないかと秋口から様々物色していた。

そんな中、2023年12月下旬にコシナから発表されたのがVoigtlander NOKTON 40mm F1.2 Aspherical RFマウントであった。重量は400gジャスト、値段は11万弱で先に挙げた3点も満たしていた(元々がライカMマウント用であったがゆえに階調性能はお墨付き)。更にコシナのヘリコイドを含めビルドクオリティを体感したかったこともあって、このレンズの購入は即決定した。

とはいえ発売前のレビューもあまり出ておらず、発売日にヨドバシで試写して問題ないことを確認した段階で、即フジヤカメラに取り置きをお願いした。いくら在庫潤沢なコシナとは言え、RFマウント用のレンズはラインナップがが少ない上、人気が集中し在庫払底する可能性があった。2月初旬に北海道に出かける予定もあったので、確実に間に合わせるべく発売から1週間以内で手に入れることとなった。

前置きが長くなってしまったここから描写、ユーザビリティなどについてレビューしていく

②描写

このレンズの描写はF2.8を境に大きく変化すると考えてよい。
開放F1.2からF2まではボワっとハイライトが滲むような描写である。コントラストもそこまで高くなく、F2あたりではカリッカリでない線の細い繊細な描写を楽しめる。俗に言う眠たい絵に仕上がりやすい点には注意。

開放F1.2で撮影した茨城の鹿島臨海鉄道の車内
同じくF1.2で撮影した渋谷 ハイライトの滲みが美しい
F1.8で撮影 HMにピントが当たっているが線の細い描写

一方で、F2.8以降では一気に解像感が高まり、コントラストの高い描写をする。しかしながら線の細さは健在で、シグマのレンズのような力強いシャープネスというよりも、レンズそのものの解像感をそのままに表現した感じである。個人的にはRF24-105 F4Lよりも解像力が高いと感じる。

F2.8で撮影 反射材の凹凸まで細かく解像している
F4.5で撮影 金属の質感まで表現できている


③階調

このレンズの階調も、またLレンズ級またはそれ以上と考えていいと思う。そもそも、このレンズ自体が自体がライカMマウント用に設計・開発されたレンズをRFマウント用にアレンジしたものなので(故にMマウント用レンズ特有のマゼンタ被りが一部機種で発生する)、ライカが得意とするシャドウ部の階調豊かにする光学設計が元々なされていると思われる。今回使用したR6 Mark IIは1世代前のRF、EF機に比べてシャドウ部の階調が豊かになっているので、センサーのポテンシャルを可能な限り発揮できてるように感じる。

周辺部の天井の模様を黒く潰し切らずうっすらと残す
シャドウ部がすぐ潰れていたEF時代にはできなかった描写である

一方で昔からCanon機が得意とするハイライト部の階調の強さとそれによる発色の良さもこのレンズで体感できる。

色をバッチリ載せて異なった世界観も演出できる

④ボケ

やはりF1.2のレンズということでボケ味も気になる点である。このレンズは表現が難しいが、ピント面を開放でも比較的シャープに描写するためか、ピント面とボケのコントラストによってとても厚みのあるボケ味が作り出されていると感じる。但し、玉ボケに関してはあまり期待できないので注意。口径食や絞った際の多角形状の玉ボケなどが顕著に表れる。

開放F1.2で撮影 ボケで誤魔化すのではなく、ボケで描写する

⑤周辺光量落ち、色付き

周辺光量落ちに関しては開放で顕著、F4まで絞り込むとほぼ解消されるという、小型MF単焦点によくあるパターンである。それに加え、先述したようにライカMマウント用レンズの改良版として開発されたが故、センサーとのマッチングの兼ね合いから、公式でアナウンスされてるようにEOS R、RP、R6では周辺に色付きが見られる。ただ、EOS R6 Mark IIでも色付きは若干確認された。絞っても解消されることはないので、R6 Mark II及びセンサーが恐らく共通のR8ユーザーで気になる方はご注意いただきたい。

開放で開放で撮影 周辺光量落ちと共にマゼンタ被りが確認される

⑥ユーザビリティ、その他

鏡筒は金属製(多分アルミ)で重量は400g。Lレンズ単焦点に比べれば半分以下の重量で軽い。ヘリコイドはコシナ特有のグリスが効いているので絶妙な気持ちよさ。フードを付けてもRF35㎜ F1.8と大差ない大きさなのでとても扱いやすいと感じた。

⑦総評

10万円で買えるレンズとは思えないクオリティと描写を持つレンズであった。STM系のレンズからの買い替えとしてはとてもおすすめできる。




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