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閑話休題:『雨が降ったって』観

はしがき

『雨が降ったって』が楽曲・MV共にとうとう公開されました。

歌詞、楽曲、MVそれぞれにとがり切った文豪や解説者がいらっしゃって、すでにたくさん素晴らしい記事があるのは周知の事実。今回は本人解説もある。

やばい、何も書けない。
でもせっかくの機会に何も残さないのは何かもったいない。

関西人の多くに宿っているとされる守護神:もったいないオバケが降霊した結果、いち小西夏菜実ファンの『雨が降ったって』観を書くことにしました。といいつつ、実態はほとんどが当初の投稿をまとめ直しただけの内容です。
(某御大に「逃げちゃダメだ」と言っていただいたのも理由として多分にあります。)

それでは、以下からどうぞ。


本家本元の見解

まずは小西夏菜実さん自身による『雨が降ったって』への言及を振り返っていきましょう。

楽曲に関することはこちら。

  • 全員が予想していなかった曲調(自身もこの曲を聴いた時、「自分がセンターの曲にこんな明るい曲がくるなんて!」と少し驚いた)

  • 聴いてると嫌なこともどうでもよくなっちゃう開き直りたくなるポップで心が晴れる楽曲

  • 明るい曲をステージで歌うのがすごく楽しくて好き(ライブしてる!!って感じがする、早く皆さんの前で歌いたいし、盛り上がりたーい!!!)

  • 些細なことは気にせず、殻を破って雨が降ったってを楽しみたい

  • 掛け声のような四期生の声がところどころ入っているのでぜひ一緒にコールしてほしい

  • 好きポイントは"パッパーパラッパッパ"。 おもろかわいい。

MVに関することはこちら(物語の部分は割愛)。

  • 四期生の全開な笑顔とミュージカルコンセプトが可愛い!明るい!楽しい!

  • 振り付け見てるだけで楽しすぎるし、何故だか心が明るくなるような素敵なMV

  • いいじゃん!のキャッチーな振り(英語のEを手で表しているEポーズ)、みんなもぜひ真似してほしい、プリクラで真似してほしい

  • 辛いことがあったらこのMVを見返して開き直ればこの世は最高!って、声に出してみて

  • ライブで歌う日が楽しみ

総じて言えばこのような具合でしょうか。

明るく楽しい雰囲気で、自分すらも驚くほど"センター:小西夏菜実"にとって意外な楽曲。一方、そういった楽曲をステージで披露することが好きだからライブが楽しみ。


お守り

明るく楽しい雰囲気で、自分すらも驚くほど"センター:小西夏菜実"にとって意外な楽曲。一方、そういった楽曲をステージで披露することが好きだからライブが楽しみ。

「自分の能力と経験とポテンシャル、低く見積もりすぎやろ…。」と前半部分を見た瞬間は思いましたが、「些細なことは気にせず、殻を破って雨が降ったってを楽しみたい」とアジャストした(していく)ことを明らかにしているので何も言うことはないです。彼女らしいですね。

その他のこと(のびらじレギュラーMC就任などなど)も含め、巡ってきた機会で自分の可能性を試すフェーズに彼女が入った印象を受けました。解禁前の何某もたくさんあるでしょう。

その中で彼女自身うまくいかなかった時に、「MVを見返して開き直ればこの世は最高!って声に出してみて」いるかもしれませんね、もしかすると。

この手の開き直りは内省して突き詰めるタイプの彼女に好影響をもたらす気がするので、新しい方略とまでは言わずとも、お守りのような楽曲になっていればいいなと思います。パフォーマンスにも関わってくるはずなので。

日向坂46に、アイドルに恋をした女の子の話

私が『雨が降ったって』を聞いて一番に浮かんだ感想はこれです。しばらくはそこから離れることができませんでした。以下当初の投稿です。

前章の内容とも少し関連していますね。いい恋ができていたら嬉しいです。

まあかなりこじつけというか、彼女を贔屓しているからこその都合いい捻じ曲げなので、我ながら伝わりづらいですね。嚙み合わせの悪い歌詞もありますし、投稿にある通り自己満です。

"いいじゃん"は「自分の好きを大切に」

「ぼく、晴れが好きだけど、たまには、雨も好きだ。ほんとに、両方好きなんだ。」

森絵都 『帰り道』

森絵都さんの『帰り道』という短編小説をご存じでしょうか。

小学国語の教科書用に書き下ろされた作品で、単行本『あしたのことば』に収録されています。

思っていることをうまく言葉にできない律は、「どっちが好き」という話題であいまいな返事をして、周也から「どっちも好きってのは、どっちも好きじゃないのと、いっしょじゃないの」と言われてしまう。落ちこむ律だったが、帰り道に周也が声をかけてきて……。

『帰り道』 あらすじ

主人公の律(ぼく)が、ひょんなことで昼休みにギクシャクしてしまった友人の周也と、"雨"をきっかけに帰り道で仲直りする場面を通じ、コミュニケーションとは何かを読者に伝える。
恐縮ながら要約してご紹介させていただくとそんなお話です。

さて、冒頭の一節。この小説の主題がここではない(コミュニケーションとは何かを伝えることにある)というのは承知の上で、個人的に当初くらってしまいまして。

"好き"もシロかクロかはっきりさせることが求められている(ように見える)今日この頃。

シロとクロでも、どちらかだけでも、間のグレーでも、自分の”好き”こそが大切で、他者のそれをとやかく言うなんてもってのほかだと再認識させられました。

小学6年生で学習する小説に、彼らを指導する側にいる私の思考がそうして優しく解かれたのです。「晴れも雨も、どっちも好き」でも"いいじゃん"と。

この"自分の好きを大切に"という精神性は、『雨が降ったって』にも「上機嫌な彼女も、たまに雨風を吹かせる(=不機嫌な)彼女も、どっちも好き」というカタチで存在している気がしてなりません。
そして"好き"さえ見失わなければ世界は最高だし、明日は楽しみになると。

このように感じさせる根底には、魔法の言葉"いいじゃん"があると思います。恋という擦り倒された壇上で、今の世相に響きそうなニュアンスをポップで塗り固めて表現できるとは、この言葉の響きが今持つ懐は予想外に深いのでしょうね。もちろん、四期生がピュアピュアにやってくれているのも大きいと思います。

自分の好きを大切にと伝える、すなわちその人が今いる場所やその人らしさを明るく包み込むこと。
日向坂にありそうでなかった応援のスタンスで、これを手に入れられたのは僥倖ですね。

ここからは余談。ついでにもう少しだけ歌詞を咀嚼しています。

"いいじゃん精神"をもつこの楽曲の主人公は一見すると(外見も内面も)弱そうですが、きっと彼女の全てを素で受け入れられる人だと考えています。

ただ、何となくこの"いいじゃん精神"が原因で相手を不機嫌にさせている気もしますが。

心を丸裸にして 嫌いな部分も見せ合おう
それが本当の 恋人同士 気が楽になるはず

日向坂46『雨が降ったって』

…うん、たぶんそうだ。
もうちょっと些細なことを気にして、相手と恋人関係についてをすり合わせたほうがいいよ。嫌いな部分を見せ合っていると思っているのは君だけかも…。

ある程度年を食えば分かる絶妙にダメそうな面を醸し出すことで、そんな老婆心を味わわせてくれる、素直で純な歌詞だと思います。いい意味でおじさん臭くて好きです。

ひとつのハッピーオーラのカタチ

ネガティブで暗い私は加入前、日向坂46というグループに笑顔や元気をいただいていました。次は私が皆様に笑顔や元気を与えられるアイドルになれるように精一杯頑張ります。

これからもずっと 小西夏菜実

誤解を恐れず言うと、本家本元の見解でも触れた明るく楽しい雰囲気は、「日向坂46というグループが与える笑顔や元気」の源泉のひとつだと考えています。

とすれば、『雨が降ったって』は紛れもなく笑顔や元気を与えるものであり、そのセンターに立つ彼女もこの楽曲で自他ともに認める「笑顔や元気を与えられるアイドル」に成ったのではないかと思います(こちらからしたら元からそうなのですが)。

自分の好きを大切にと伝える、すなわちその人が今いる場所やその人らしさを明るく包み込むこと。

前章でもこのように示した通り、その与え方は『雨が降ったって』独自の手法("いいじゃん")であり、恐れ多くもこれを「ひとつのハッピーオーラのカタチ」と称してみた次第です。

直感でこう感じたことをきっかけに『ハッピーオーラ』の歌詞を読み返してみましたが、実はそこまで的外れでもないのかなと思いました。

太陽の真下で願う 世界中がしあわせになって欲しい
誰かの愛があればいい 君らしく僕らしく 微笑んで!

日向坂46『ハッピーオーラ』

あたたかいグループですね。本当に。

余談

以前の記事で小西夏菜実さんが楽曲の世界をつくることを望んだ私ですが、今回はまさにそれが成される可能性のある楽曲だと感じました。

まさに『月と星が踊るMidnight』が齊藤京子さんの歩みとの相乗効果で凄味を増していったように、『雨が降ったって』も彼女の進化と共に深みが増していくんだろうなと。

現時点では明るく楽しい以外に開き直りという要素も彼女は重要と捉えていそうですが、自身の開き直りこそがフックになって表現が変わったりすることもあり得るなと思ったり(章:お守りで少し触れています)。明るく楽しいを突き詰めるのもいいですよね。

何より楽しみなのは、「明るく楽しい雰囲気で、自分すらも驚くほど"センター:小西夏菜実"にとって意外な楽曲」というところからスタートしていること。
その分、この楽曲による彼女自身の進化の方向性も様々です。先のふたつ以外にも出てくるかもしれません。

『月と星が踊るMidnight』はどちらかといえば齊藤京子さんぽいですが、果たして『雨が降ったって』はどうなるのか。とても大きな期待だけがあります。

あとがき

最後に、雨をふらせる雲に関係した英語圏のことわざをひとつご紹介します。日向坂46という希望のを知ってから、殊更お気に入りになったものです。意味はぜひ各位でお調べください。このnoteのポストにも書いておきましょうか。

同時に、ダラダラと書いてきましたが、その陽を見てグループの一員になることを志した小西夏菜実さんが、「雨が降ったっていいじゃん!」という言葉に乗せて日向坂46として伝えたいのはきっとこういうことでもあると、ただ願っています。

Every cloud has a silver lining.
(全ての雲には銀色の裏地がある。)

センターおめでとうございます。

ということで、閑話休題:『雨が降ったって』観でした。
ではまた次の機会で。



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