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僕はこうして虐められるようになった。【第1話:兄とおばあちゃん】

前述(読み飛ばしてもらって構いません。)
今から書くことは、私の幼少期の体験を赤裸々に綴ったものです。
匿名でしか発信できない出来事は読者の方にも一つや二つあるのではないでしょうか。
このnoteは、私の思い出したくもなく、誰にも話したこともない過去を皆さまと共有し、自分が変わるきっかけになれたらと思い執筆しております。不快な気持ちになるかもしれませんがどうぞお付き合いください。
執筆の原動力となりますので、次の話が気になる方はRTお願いいたします。

本編
【子供は純粋である】と健やかに育ってきた人は小学生を見て屈託のない笑顔を浮かべながらそのように言うでしょう。
しかし、私は断固として首を縦には振らない。昔経験したおぞましく腹立たしくもあり、やり場のない怒りと光の届くことのない純度100%な暗黒を生きた体験があるからだ。
思い出してほしい。
皆様は子供の頃何をして遊んでいましたか?
思い出してほしい。
子供は純粋に残酷なのである。

私には、三つ年上の兄がいます。

長男はしっかり者。末っ子はわがまま。ステレオタイプのように頻繁に耳にします。
人は生まれた順番によって性格に少なからぬ影響を与えます。それは環境が大きく異なるからです。兄弟がいる人なら子供の頃一度は体験のしたことのあるチャンネル争いやお菓子の取り合い、こうしたものは大体年長の兄弟が勝利する。
子供の頃の1歳は大きく体格が異なるのに我が家のように3歳も離れていたらまず勝ち目はない。こうして長男は「自分の要求を通すこと」を当り前のようにできるようになり、自分の自信をつけていく。親が管理をしっかりと行っている家庭では、チャンネルは順番。お菓子は均等に分けさせることをするであろう。
しかし、私の家庭は共働きである、父と母は帰宅が19時頃になることが多かった。そのため、19時まで、お菓子とチャンネルは子供たちの政治で決まる。子供たちの政治において理屈はなく、強さこそが正義。私からさらに三つ離れた妹と私は兄に勝てるはずもなく、チョコレートひとかけらも口にすることが出来なかった。
我が家では、おやつは机の上に袋に入った状態で置かれている。それをその兄が独占しており、指一本触れることが出来なかった。触れようものなら兄からぶん殴られるからである。兄と比較して温厚な性格である(というよりも兄に委縮しおとなしくなった)、私と3つ下の妹はいつも指を咥えて兄のお菓子とおいしそうにお菓子を平らげる兄の姿を眺めていた。
ある日ついに我慢が出来ずに兄の帰宅を前に、チョコレートの袋を破いた。
「いいの?」と不安そうに聞いてくる妹に「うん」と一個を差し出す。嬉しそうに微笑み、二人でひとかけらずつチョコレートを頬張った。すごく甘くておいしかったのを覚えている。

チョコレートの味が口の中から消えたその瞬間冷静になりゾッとした。
(大変なことをいてしまった。殴られる、、)

身の危機を感じた私と妹はタンスに隠れることにした。
しばらくして兄が帰宅した。
そしていつものようにリビングのテーブルにおいてあるお菓子の袋が破かれているのを見たのか壁を(バンッ!!)とたたく音がした。
思わず息を飲んだ。
私たちが遊びに行ったと思ったのか兄はリビングでお菓子を食べながらテレビを見ているようだった。
長時間同じ姿勢でかなりきついが、殴られるよりましだから耐えた。しかし、その甲斐むなしく妹が体制を崩して扉にぶつかり音を立ててしまった。
ドスドスと足音が近づいてくる
頭の中が真っ白になった。
勢いよく扉が開く。そこには鬼のような顔をした兄が立っていた。
「なにしてんだああああああああああああ」と大声で絶叫し髪の毛をつかんでタンスの上段から引きずり降ろされ床にたたきつけられる。号泣した妹にパンチが顔面に飛ぶ。そっからは地獄だ。

兄は残酷で強かった。
昔からそう。
兄が3歳の時、旅行中の車の高速道路から0歳の自分を放り投げようとした。(チャイルドロックがかかっていたため無事で済んだ。)
兄が6歳の時、草むらにいるバッタを捕まえては楽しそうに頭と胴体をもって引き裂いて遊んでいた。
また、記憶に残っているのが兄の友達が家に遊びに来たとき、兄がティッシュを鼻に詰めて変顔をする一発芸を披露した。私はそれが面白く、不意に笑った。これが兄の逆鱗に触れてしまいボコボコにされ、タンスとタンスの間の狭いスペースにぶち込まれて、「そこで1時間立ってろハゲ」と暴言を吐かれた。僕は泣きながらずっと立っていた。
このような理不尽な暴力を日常的に体験した。

私には大好きな人がいた。
おばあちゃんである。
おばあちゃんは温厚な性格であり、泣き虫でいつも泣いてばかりの自分にお菓子をくれた。また、いじめられていたときにいつも守ってくれた恩人である。
また、学校にあまり友達がいなかった自分の遊び相手となってくれ、いつも一緒に遊んでいた。おばあちゃんは体が弱くよぼよぼで一日の4/5は寝たきりの状態であった。そんな、状態で体力のないおばあちゃんでも自分が「あそぼ」と言えば笑顔で付き合ってくれた聖おばあちゃんである。寝るときもおばあちゃんの布団に入って寝ていた。「甘えん坊だねぇ」といつも優しく言われていた。
こんな優しいおばあちゃんを兄は嫌っていた。いつもいじめの邪魔をしてくるからである。いじめを邪魔された兄は「コロス、、絶対コロス、、」とぼそぼそつぶやきながら去っていく。毎日のように自分は兄にお菓子を全部奪われ一人公園でおばあちゃんからもらった水あめをなめていた。

おばあちゃんはサザエさんが大好きで毎週日曜日になると、部屋から出てきてリビングで家族みんなで鑑賞している。


ある日曜日の出来事。
その日は、両親と妹の三人で出かけていた。
家にいるのは、僕と兄、おばあちゃんの三人。おばあちゃんはサザエさんの時間になるといつものように部屋から出てリビングに来ようと部屋を出る音がしました。
普段から嫌いなおばあちゃんが嫌いな兄は部屋に入れないように重いものが入った段ボールを扉の前に置いた。
おばあちゃん「ちょっと、これどけて。どけんさい」
兄「」
おばあちゃんが扉をガチャガチャし何度もどけるように言っても兄は無視し続けた。
そしてとうとうおばあちゃんが、ぐっと扉をおして少し扉が開いた。
兄は急いで扉の方へ飛んでいき扉を思い切り閉める。
その時、おばあちゃんの指が扉に挟まり「痛いっ!!」と大声で叫んだ。
それでも兄は容赦なく扉を押す。さすがに僕も駆け寄り、扉を手前に引っ張った。その隙におばあちゃんは指をひっこめた。「やめろ!」と怒鳴り声とともに顔面を蹴られる。
そのあとも扉の押し合いが続いた。しつこく食い下がってくるおばあちゃんに堪忍したのか兄は台所の方に逃げていきました。そして、おばあちゃんがリビングに入ることが出来た。さぁ見ようかと思ったその瞬間

兄が台所の方から包丁を持ってきた。

血の気が引いた。
兄はおばあちゃんに包丁を突き付ける。
おばあちゃん「なに、もとうか!」
兄「はやく出てって、部屋が臭くなるから」
おばあちゃん「しまいなさい!」
兄「早く!戻って!」包丁を突き付けながら
おばあちゃんはここで自分の方を見ながら「ちょっと、やめさせなさい!」と叫ぶ。 


混乱した。
おばあちゃんをかばうべきなのだろうが、包丁持った兄は鬼のように怖かった。
 

「ほら、持て」僕にも包丁を持つように指示してくる。頭が真っ白になった。嫌だった。嫌に決まってる。正気じゃない。できるはずがない。
しかし殴られたくないし、包丁持った兄を怒らせたくなかった。
「いつも泣いてるときに飴をくれたおばあちゃん」「サザエさんが大好きで毎週楽しみにしているおばあちゃん」「友達の少ない僕と遊んでくれたおばあちゃん」「いじめられたら守ってくれたおばあちゃん」
大好きでなおばあちゃんに対して


包丁を手に持ち「早く部屋に戻れ」と僕は冷酷に言い放った。


ケタケタと満足そうに笑う兄。シュンと悲しそうな顔をするおばあちゃん。
子供は残酷である。
続く。

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