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今週限定!?30万画素の男

うちではあまり機材レビューのようなものはやらない様にしようと思っていたのですが、最近巷に巻き起こっているコンデジブームに乗っかろうと(?)部屋の掃除をしていたらメチャクチャ懐かしいものが出てきたのでご覧いただこうかと思います。


30万画素から始まったデジタル写真


うちの部屋にはパソコンがまだMS-DOSで動いていたころのパーツなどがまだチラホラと見かけるというありさまになっています。

MS-DOSって何?と言う読者の皆さんもいらっしゃると思うので、一応簡単に説明しますと現在パソコンで動いているWindowsのご先祖様で、
今から40年以上前のパソコンの誕生期。1980年ごろにMicrosoftが開発したパソコン用のOS(つまり今でいうAndroidやiOSのような基本システム)のことです。
といってもこの当時のパソコンは数字以外はアルファベット26文字を扱えるのが関の山で日本語 - 要するに漢字を画面に表示するなんて夢物語でした。
詳細は省略しますが、要するにまだグラフッィクを表示することは不可能で、写真を画面に表示するのは「未来のパソコン」と言われていた時代のパーツがまだうちには残っている。という事です。

そんなパソコンも徐々にスペックアップを重ねて、Windowsが普及するとグラフィック(と言っても当時はまだドット絵)が扱えるようになった・・・と思ったらWindows95が登場する頃にはインターネットとコンテンツの基本規格であるHTML。そして画像の基本規格であるJPEGも策定され、世界で初めて世に広く普及したと言っていいデジカメ。カシオのQV-10が登場するといった具合に1990年代後半にデジタル写真の最初のテクノロジーが爆発的に普及していきます。

このQV-10が搭載していた光学センサーが30万画素だったのですが、この30万画素 - 640x480ドットいうかろうじて何が写っているかぐらいは分かるというJPEGデータ(一枚の写真で64Kbくらい)の容量が当時まだまだ貧弱だったパソコンにとっても、電話回線で接続することが多かったインターネット回線にとっても丁度いいデータサイズだったわけです。

目の付け所がシャープだった!?インターネットビューカム VN-EZ1

今回見つかったシャープのVN-EZ1はこういった最初期のデジタルカメラの中でも様々な改良を加えられた後発組・・・まあ悪く言えばカシオの成功に対して二匹目のどじょうを狙ったパチモンみたいなポジションではありました。

シャープ インターネットビューカム VN-EZ1

ただし、そこは腐っても日本製(当時のシャープはまだ純然たる日本企業でありました)QV-10のまるパクリなどプライドが許さぬ。とQV-10が2MB固定の内蔵メモリに写真を入れていたのに対し、当時発売が始まったばかりのスマートメディアに写真/動画を記録していました。

さらに、JPEGでの写真に加えて、MP-4での動画撮影(しかも音声付!)が可能で、規格上最大の64MBのスマートメディアを使って、画像サイズを最小にすれば、一時間の録画が可能と画質に目をつぶればビデオカメラとして十分実用的な性能を誇っていました。

ちなみに電源はアルカリ単三乾電池4本でしたが、これも動画撮影時に連続使用すると丁度1時間で使い切るようになっていました。

大きく刻まれた上に、ステッカーでも激しくアピール中の「MPEG-4」が誇らしげ(笑)
レンズユニットはAF機能なし、F値可変も無し。スライドレバーでF値=明暗、ピント=遠近を切り替える。という仕組み。画質は推して知るべし。

以下ではこのVN-EZ1で撮った写真を見ていただこうと思うのですが、見ていただければわかる通り画質は決して良くありません。

実は現役だった1999年当時でも画質については評価は芳しいものではなかったのですが、当時のパソコンやインターネット回線でさほど苦労せずに見れるようにするには、1時間の動画を64MBに収まめる。という点が肝心だったわけで、写真や動画を撮って、その場でネットにあげるという目的に絞って使えば実に理にかなった製品ではありました。

64MBのスマートメディアに最大1時間の動画を記録可能
アルカリ単三電池4本でちゃんと1時間撮影可能なのは立派
ちなみにエネループなどの単三充電池も使えるが・・・

この辺のニーズの明確化は本体を開発したシャープだけでなく、記録メディアを作っていた東芝(と推進役になっていた富士フィルムとオリンパス)もしっかりしたもので、当時のノートパソコンに普及していたPCカード(コンパクトメディア - CFカードより大きなカードで変換アダプタが必要だった)で読み取れるようになるスマートメディア - PCカード変換アダプタが売られていて、スマートメディアに記録した写真と動画を直接パソコンに読み取れるようになっていました。

これに対して、QV-10はわずか2MBの内蔵メモリに写真を記録するしかなく、パソコンで読み取るには専用の接続キットが必要だったので読み取りの手軽さは圧倒的だったわけです。

バッテリーの蓋が割れていて、完全に閉まらず、電源は入りませんでした。残念。

問題はデジカメはその後も爆発的な進化を続けてQV-10もVN-EZ1あっという間に陳腐化してしまったことでしょう。カシオはそれでもペンタックスやキャノンからレンズユニットの供給など受けて画質向上の努力を怠りませんでしたが、シャープとスマートメディアはその後に過酷な運命をたどることになります。

発掘できた写真で見てみる1999年ごろの大阪~鳥取

今回そんなシャープVN-EZ1の発見と共にスマートメディアの写真も何枚か発掘できたので、当時のデジタル写真がどんな感じだったのか見てみたいと思います。

撮影日=1999/01/10

これは、地元の駅前商店街にあった、広告募集の看板ですが・・・看板の文字が逆さまなのが面白くて撮ったのだと思うのですが、なぜ逆さまにかけてあるのかは謎です。何せこの看板、今となってはかかっている建物ごとなくなってます。

ちなみにEXIFには1999/01/10という撮影日付しか記録されていません。

撮影日=2000/11/18

もう一つも看板です。どこで撮ったのかは忘れましたが、これも書いてある内容がいかにも関西(というか岸和田らしい?)なので岸和田のどこかなのは間違いないと思います。

撮影日=2003/11/24

3枚目に映っているものはご存じの方も多いでしょう。鳥取、境港市の水木しげるロードのねずみ男の銅像です。EXIFには2003/11/24となっています。20年以上前からあったんですね。

撮影日=2003/11/24

4枚目に映っているものは今では無くなってしまって見ることはできません。場所は確か水木しげるロードのスタート地点付近。現在のJR境線(通称妖怪電車)の終点境港駅の付近にあった「妖怪倉庫」です。

今撮っている写真も20年後へのメッセージになる!

今回懐かしい機種と共に懐かしい写真を見ていただきました。期間で言うとおよそ20年前で意外と古くはないと感じるのですが、この20年間のデジカメの性能向上もさることながら、現在同じ場所に行っても同じものは撮れなくなっているという変化の激しさに驚かされます。

皆さんも今撮っている写真で「詰まらない写真だ」と思って安易に削除する前に少し考えてみた方が良いかもしれません。

20年後には永久に撮れない写真になっているかも知れませんから。

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