いろんな「ここ」の記憶とパリでの出来事。

昔の私は自分の記憶力の悪さにしょっちゅう驚いていた。特に旅行に関しては。

誰といつ何処に行ったのか、何をしたか、家族や友達に言われても全く思い出せないこともあって、アルツハイマーなんじゃないかと本気で疑うレベルで覚えていない。

とはいえ、全部が全部そういう訳でもなくて、すごく鮮明に覚えていることもある。少しだけ。

高校の頃、毎日登校前に通った海辺から見た景色や、親に相談せず勝手に自分の進路を決めたことがバレて勘当されかけた日の夜のこと、その時に私に変わって泣きながら私に味方してくれた妹のこと、その時の妹の声やお母さんの表情、ぱっと思い出せることはそのくらい。引く程少ない。

共通点は自らが動いて得た経験であること、逆にいえば、普段いかに受け身で生きているかということに気づかされる。恐ろしいことに10代から20代半ばまでの記憶がほとんどない。もちろん思い出すことはできるし、それなりにいろんな経験もしてきたはずなのに、なんとなくベールがかかっていて、その結果あの頃は良かった、と懐かしむこともない。

それでも数少ない自分の記憶の中で、無意識に「この場所の思い出」を作り上げて、勝手に勇気をもらったり、勝手にもう二度と行きたくない場所にしていたりする。

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ロンドン滞在中のある夜、やりたかったことをもう一度始め直す勇気を私に与えてくれる出来事があった。物事が動き出すときの、目に見える吸引力やスピード感、その中心に自分がいる時、中心にいるのは自分なのに、同時に何か大きなパワーに自分が引き寄せられている操縦されている気がする。そんな気持ちになれたのはこの時が二回目だった。

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ロンドン生活から一週間程経った頃、パリのファッションウィークでメイクをしてやろうと決意した私は、何も決まってないのに帰国のチケットを捨て、新しくチケットを買い直した。

現地の日本人のアーティストや、過去にコレクションに参加経験のあるヘアスタイリスト、学校の友達から自国で有名なファッションデザイナーなど、多くの人を紹介してもらったものの、決定的なコネクションや約束は何も掴めないままパリに移動した。

この時の私は、今振り返っても割と楽観的だったと思う。

ありがたいことに、あるブランドのランウェイを観れることが決まっていた私は、パリコレを見るのも初めてだし、それでも十分かな〜、くらいに考えていた。

パリに移動した二日目、公園と歩道の中間のような雰囲気の場所にあるベンチに座って休憩していた。

すぐ背後にはメジャーな観光地があり、そこにはものすごい数の人がいるのに、そこに背を向けた状態で座ったそのベンチから見える景色や音はすごく静かで、風と木の音しか聞こえない。


こころの平穏。

ロンドンで、一人でいることが全く無かったことに気づいた。そのことにストレスも感じていなかったとは思うけど、ずっとこの静かな時間を求めてたように感じた。私は2ヶ月激しく過ごしてきたじゃん、パリに来たのはパリコレの為じゃなく、この時間の為だったのかもしれない。

そんな振り返りをしながら、ロンドンに来てから出会った人々のことをぼけっと思い出していた。

いい出会いに恵まれて、出会って間もない自分のことをたくさんの人が応援してくれた。出会ったばかりの私の為にロンドンの全ての知り合いのヘアメイクに私がどうにかパリコレに入り込めないか打診してくれた人もいた。

やれたらラッキーくらいの逃げ道ありのスタンスでいた時に、そんな気持ちではできるものもできない、と背中をぐいっと押してくれた人もいた。

急遽パリ行きを決めたものの、ファッションウィークシーズンで死ぬほど高いホテルしか残っていなかった。まだ会ったことのないフランス人の友人が彼の友達全員に私に家を貸せないか尋ねてくれた。

留学をきっかけに初めて出会ってまだ間もない人々、その中には日本の友人からの繋がりもあったり、繋がりはないと思って出会った人が実はすごく深い古い部分で繋がっていてお互いに驚くこともあった。


ここにくるまで、浮き沈みがあったもののそこまで悲観的にならずにいたのは、パリコレは私にとって本来の目的ではなかったからかもしれないな。

だけど、じゃあ本来の目的って一体何だろう?

ここまで沢山の人を巻き込んで、協力してもらって、応援してもらって、本当に私はもうやりきったって心底思えるのだろうか。

このベンチに座ってた10分程の時間、挑戦することを手放して解放されたと思ってたら再び私は目的を手にしてた。

近所のスターバックスに移動して過去のコレクションの記事に出てきたアーティストにインスタグラムで片っ端からメッセージを送る、その繋がりで出てきた人たちにも全員にメッセージを送った。

スパムと勘違いされて、インスタグラムにブロックされて、休憩してラテ飲んで、なんとなく再起動させたら復活して、再び送り続けた。

まだやれる、とか、諦めない、といった熱血な感じではなく、ただ、やる。黙々とメッセージを送り続けていた。

既読もつかない人がほとんどだったけど、その中で何名かが返事をくれた。

「私は今回もうスタッフを追加しないけど、今後の為にあなたをリストに追加しておくわ!」

「僕はチームの一人で権限はないけど、知り合いのフリーランスに聞いてみるよ」

そんな風に返事をもらえるとは思っていなかったからとても驚いたし、嬉しかった。すでにファッションウィークは始まっていて、約三分の一はランウェイを終えていた。

✳︎

そこから更に二日後の夜、パリである女性と食事をした。その人こそがパリコレに挑戦するための背中を押してくれて、私のやる気スイッチを入れてくれたきっかけの人で、実際に会うのはこの日が初めて。テキパキ、キビキビとした人を想像していて、私は少し、というかだいぶ緊張していた、が、いざ会ってみたら、ナチュラルで話やすく、とても魅力的な女性だった。

食事の最中、インスタグラムに一件のメッセージが入った。

スラング、、というか略語満載で解読不可能で???になっていたら、代わりにその人が解読してくれた。

「これ、土曜日あいてたらショーにアーティストとして入ってくれない?って言ってるよ!」


・・・。


実感が全然ない私の前で、彼女は送り主のインスタグラムのページをチェックして怪しさレベルをジャッジをしてくれて、メッセージに対する返答も素早く、シンプルかつ的確にまとめて送ってくれた。

あ、やっぱりこの方スイッチ入るとテキパキされてる、と思った。


その後、詳細が送られて来てもなんだか実感が湧かない。不思議なことにいざ決まると、緊張も焦りもなかった。

ただ、ものすごく疑っていた。これ、本当に参加できるのかな、騙されてないかな、と。

結果、私は本番の二日前にパリコレへの参加が決まり、アーティストとして3ブランドでメイクをするという貴重な体験をさせてもらった。

本番を終えて、ようやく信じた私はやっと周りに報告ができた。

🌗

長い長いフリーランス生活の中で、「休もう」と決めたときから、急速に私の思い出の場所、記憶の容量が増えてきている気がする。

物事が動き出すときの、目に見える吸引力やスピード感、その中心に自分がいる時、中心にいるのは自分なのに、同時に何か大きなパワーに自分が引き寄せられている操縦されている気がする。

その流れの中にいる自分、これから何か起こるに違いないという「前兆」を感じている時、一番私が私でいられるように感じる。

ただ、その前兆は、私の人生で滅多に起きることではなく、だからこそ執着してしまう物でもある。パリコレに運良く参加ができて、それはとても貴重な経験ではあったけれど、そこにあの前兆を心から感じることはできなかった。そして、感じることができたとしても、その流れはずっとは続かない。流れが止まってしまった、と感じていることに気づいた時には、もう次に動く気力が奪われる。自分にとって望んでいないことが起き始めて、たった一日で全てが変わって、昨日までの幸せな気持ちを全て忘れてしまっている。

その逆もおなじ

なんだかしんどいし何かに焦って心がざわついている昨日が、今日になって何故だか気分が晴れた瞬間、もう辛かった時のことを忘れてる。

✳︎

私はここ2年程の間でスイスのベルンという街(一応首都。)に何度か来ている。私にとってここスイスは、「自分と向き合う場所」になってるように感じる。

普段はもう少しゆるやかな感情の起伏が、いつも「ここ」に来るとどうにもこうにもコントロールしずらくなってしまう。それがいつも悔しくて、だからいつも以上に自分について考えてしまう。

思い通りに行かず自分勝手にイライラしたり落ち込んだり、一番自分で知りたくない部分がブワッと表に出てきてしまう。

そんな時、こっちが本来の私なのかな、嫌だけどそうなのかもな、そんな風に考えたりもする。

✳︎

一週間前、再びスイスにやってきた。二日目、やっぱりダメな私が出た。なぜかいつも二日目なのだ、、、、

自分の気持ちを思いついたままノートに書いてみた。

支離滅裂な感情が少しづつ整理されていくのを感じた。

ダメな自分、好きな自分、そうした線引きをやめようと思った。あと、ダメな自分を見られることを恐れすぎてしまうこともやめよう。

どんな自分も自分。

私にとってこの場所はそのことを認めざるおえない、半ば強制的に受け入れるしかない場所で、いつものようにうまく自分をごまかすことができなくて、そのことにペースが乱れてしまうけど本当はずっとその場所を探していて、その場所がここなのかもしれないと感じている気がする。

だから私は「ここ」にくるのかもしれない。



I have a few places where can connect my memories.

My memorize is almost fuzzy.

Remembering some derails have a condition which I was acting by myself.

It means I usual spend time how by passiveness.

After to decided I have off or my stay of London, my memorize has increased more than before Im feeling.

In Paris, I could get to join in Fashion Week as a make up artist first time finaly.

Cause of I had been helped by many people who were really kind even we met in short time.

When I couldn't get job in Paris yet, I didn't worry about that.

I enjoyed staying in Paris because it might my really goal was not do in FW.

I sometime clings to something too much....I wanna really need this one?Is it really thing I want?

I have to have more simple thinking and opinion.

Actually when something started moving around me too speedy and clearly, I sometime get an illusion that it seems to be totally moved by big something.

I feel in my own way when I am in the whirlpool.

However I had experienced the whirlpool only two times so far.

And I know if I could catch the one, it won't be continue all the time.

If I noticed to lose momentum, I won't be next action with low feelings.

The reverse is also true.

I don't know why but I became happy suddenly after I spend dark night.

Everything is me without good side and bad side for me.

I could be catch this feeling when I come here.

It is not confortable but I may be need it.

So I might come here again.








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