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【読書メモ】「アッコちゃんの時代」(林真理子さん)

林真理子さんの小説「アッコちゃんの時代」を読んでみた。

バブル期に20代前半であった美しい女性、厚子。ニックネームはアッコちゃん。当時、日本で3番目にお金持ちであった地上げ屋である不動産屋社長の愛人となり、その次にはイタリアンレストラン「キャンティ」の御曹司と、妻子を捨てさせて結婚。

不動産屋社長の愛人である時には、500万円ほどする腕時計を買ってもらったり、用意してもらったマンションに住み、毎月お小遣いをもらう生活。それでも、周囲の女性たちと比べると、自分にはそこまでお金を遣ってくれていない!なんてケチな男!貧乏くじを引いてしまった!と憤りを感じていた。ある段階から夜遊びについてうるさく言われ、関係を解消。

御曹司の愛人となった時には、ヨーロッパ出張へファーストクラスで同行し、現地ではプライベートジェットも利用。カバン、洋服をサッと買ってもらい、「これこれ!」とご満悦のアッコちゃん。


とまぁ、いわゆる「バブル期」のイメージがギュッと詰まった小説。ディスコだったり、ジュリアナだったりに人々が心酔し、タクシーがつかまらなかった時代。一般の方々は入り口に並んでようやくディスコに入っていたのが、このアッコちゃんのような美人で華やかな人々だと、ある種の顔パスでサッとVIP席へ。そして、帰り際には「タクシー代として使ってね」と、お店からお小遣いをもらっていたそう。そうまでするほど、そういったお店には美人が集まっていることがとても大切であったようだ。

バブル期の勢いが文章からプンプンと感じられ、日曜の午後に一気に読んでしまった。林真理子さんの小説、ほんとに面白い。最後の解説まで読んで分かったのが、この小説は実在する‘アッコちゃん‘をモデルに描かれているそう。もちろんフィクションである部分は多々あるのだろうけど、「JALの国際線ファーストクラスはいつも中年男性と若い愛人女性のカップルで埋まっていた」とか、華やかな描写も、登場するきらびやかな人物たちも、ある程度史実なのかもしれない、と思うととてもソワソワした。いまの日本を見ていると、こんな時代が少し前にあったなんて、本当に信じられない。

私自身は大してお酒も飲めないし、夜に人の多い場所に出かけて騒ぐよりは、家でしっぽりとカモミールティーでも飲みながら好きな漫画を読んでいる方が好き、という結構な内向型人間。

それでもこの小説を読んで、夜のディスコとか、このキラキラした東京、一度でいいから体験してみたかったなぁと思った。

東京に住んでいた頃は、エンタメ業界で働いていて、こういうキラキラした部分にアクセスはあったはずなのだけど、仕事仕事!というマインドで、とてもキラキラしたものを楽しむ心の余裕が無かった。行く機会があったとしても、大体は仕事の延長で、接待のような形で行くため、楽しむどころではない。「この方のお酒はあれで、そっちの方のお酒は薄めのあれで。あ、おつまみが空になってるけど、頼んだ方がいいかな?でも、そろそろ解散になりそうだから、タクシーの手配をした方がいいかな。」みたいなことで常に頭がいっぱいだった記憶がある。(ちなみにいまは、酒席でのこういうちょっとした気遣いスキル、すっかりゼロになった自信がある)

バブル期体験は難しくても、キラキラ体験はできるはず。手始めに、この次に日本に一時帰国したら、友達に六本木とかのお洒落そうなバーに連れて行ってもらうようお願いしようかな。いつも一時帰国中は時差ボケで4時起床、9時就寝という生活になってしまうので、早めの時間帯に、、、。あれ、でもそんな早い時間にバーに行っても、私の期待するキラキラした世界は見えないのでは?むしろ、そんな時間にバーって開いているのか?そして、バーに行くなら、ちょっとはシャントしているお洋服と靴をアクセサリーをちゃんと用意しないと。ついつい、東京で歩いて色々見るのだ楽しいので、歩きやすいスニーカーとでっかいロンシャンで一時帰国をしてしまうのだけど。可愛い何かを買ったり、お土産を渡したりもらったり、衝動的に本や雑誌を買ったり、何かと荷物が増えがちなのだよなぁ、一時帰国中の東京。でも、素敵なバーに行くなら、「それ、中に何が入っているの?」っていうような、小さいバッグとか持って行ってみたいなぁ。

「今度やってみたいこと」が増えて、ワクワク。

こういうきっかけをくれる書籍、大好きだなぁ。

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