ジーンズ素材について

織組織

織物の種類は無数に存在しますが、
その基本となるのは、
平織、綾織、朱子織の三種類です。

あるゆる組織はこの三種類を変化させたり
組み合わせを変えたりすることでできているので、
平織、綾織、朱子織を三原組織といいます。

平織組織

たて糸とよこ糸が交互に交差する織物です。

織物組織の中でもっとも簡単な織物ですが、
地合いはしっかり締め付けられ、
組織としてはもっとも丈夫で摩擦にも強い。

しかし、風合いは硬いです。

多くの織物に平織組織が使われています。

綾織組織

たとえば、よこ糸が2本のたて糸の下に沈み、
1本のたて糸の上に浮くという浮沈を繰り返します。

綾織ではよこ糸が浮いた点が
織物の表面に斜線となって現れます。(綾目)

このようにたて糸とよこ糸の交錯に、
一定の法則がある織物を綾織組織といいます。

綾織は平織と比べて風合いが柔らかく、
シワがよりにくく厚地となります。

デニム生地は綾織組織の代表ともいえます。

綾織組織は綾目の向きによって、
右上がりのものは右綾
左上がりのものは左綾と区別されます。

デニムは右綾が多くなっています。

朱子織組織

たて糸とよこ糸との組織点をなるべく少なくして、
その組織点を連続しないように分散させ、
織物の表面にたて糸またはよこ糸だけを浮かせたものです。

表面にたて糸が浮いたものを経朱子、
よこ糸が浮いたものを緯朱子といいます。

ジーンズ素材の特性

デニムの重さ

デニムはジーンズの基本素材です。
デニムの重さや材質感はジーンズの顔ともいえます。

◯◯oz(オンス)のデニム
という言い方がありますが、
このozは重さのことです。

デニムの場合は1平方yd(ヤード)
あたりの重さで呼ばれます。

*1yd=91.44cm  1oz=28.35g

ジーンでは20ozを超えるヘビーウェイトから
6oz以下の以下のライトウェイトまで存在します。

13~14oz程度が多く人気もあります。

デニム生地の重さは「糸の太さ」と
糸を織り込んだ密度」で決まります。

ジーンズ素材生地の幅と長さ

織物の幅(Width)は用途に応じて
企画上の数値が決まっています。

ジーンズ用途の場合、
裁断ロスを少なくするために
は広い方がいいとされています。

現在では加工上がりでほとんど59インチ以上
となっているので、加工による収縮を考慮し、
60インチ(約150cm)が一般的です。
*1インチ=2.54cm

セルビッジ(織耳)付きの生地では、
織物の幅は27~28インチが一般的です。

デニムを巻き上げる長さ
一反50m単位となっていますが、
生地ロス、作業ロスを少なくする上で
ロング反(100m以上)もあります。

デニムの種類

デニムの基本色はインディゴブルー。

しかし、あらかじめ使い込んだようにみせるため、
縫製後の洗い加工のときだけでなく、
染色、加工など生地の段階で
色あせたように加工することもあります。

色の濃さにより、ウォッシュアウト、
フェードアウト、ブリーチアウトと呼び
ブリーチアウトがもっとも色あせたものになります。

インディゴ染色のデニムはブルーデニム
ブルー以外のデニムをカラーデニムと呼びます。

デニム生地加工の種類

  • 起毛:針金で引っかいたりして毛を立たせる方法

  • エンボス加工:生地に凹凸感を与える

  • オーダーバイ:出来上がったブルーの生地にさらに別の黒色や緑色などの色を加えて複雑な色相にすること

  • 抜染:紺色の一部を脱色して白くすること

ほかにも特殊洗い加工など、
さまざまな加工がほどこされている。

デニム素材の加工

  • ストレッチデニム:たて糸かよこ糸、またはその両方にポリウレタン弾性糸を使って伸縮性を加えたもの

ストレッチヤーン(ヤーン:糸)には
ポリエステルやナイロンなどの加工糸を
使用したものがあります。

しかし、スパンデックス糸(ポリウレタン弾性糸)
を芯として綿を外側にカバーしたコアヤーンか、
スパンデックス糸と綿糸を合糸した
ツイストヤーンが一般的です。

コアヤーン、ツイストヤーンともに
綿95%、ポリウレタン5%程度の比率が多く、
この程度の混用率が高い伸縮性を得ながら
綿織物本来の性質を保つ適切なものといえます。

ストレッチ以外にも、清涼感や速乾、
暖感などの機能をもたせるために
ポリエステルを混ぜたものもあります。

ブルーデニムは一般的に綿100%ですが、
綿以外に麻や羊毛を混紡させたり、
交織させたりしてほかの繊維と
ミックスさせたものもあります。

デニムに類する先染め織物

シャンブレー(Chambray)

たて糸に色糸、よこ糸に白糸または
たて糸と違う色の糸を使った平織織物。

布面の霜ふり風の色あいが好まれており、
シャンブレー効果や霜ふり効果、
玉虫効果と呼ばれている。

製品ではシャンブレーシャツが有名ですが、
デニムシャツとの違いは生地の違いなのです。


ヒッコリー(Hickory)

ストライプ柄の厚地の綾織物。

オーバーオールの素材として
よく用いられています。

アメリカでは、鉄道員のユニホームに
使われていたという由来があり、
ワークウェアにもよく使われています。


ダンガリー(Dungaree)

たて糸に白糸、よこ糸に色糸を使った綾織物。

デニムより薄手でシャツなどに使われる。
(ダンガリーシャツ)


ブロークン・ツイル(Broken twill denim)

厚地綾織物の原布にひそむネジレの発生を
織組織を工夫することによって防止するもの。

綾織組織を1/3ツイルの変形で、
ある一定の数ずつで反対方向に並べることによって
綾目を途中で寸断して織り上げたものです。

綾織組織が方向転換するところに
ブロークン・ラインがあらわれることもあります。

杉綾もブロークン・ツイルの一種。


杉綾(ヘリンボン・ツイル:Herringbone twill)

綾目の方向を一定の間隔をとって
切り替えることで、綾目の流れが
ジグザグになりニシン(Herring)の
背骨の形や杉の葉形状となることからきています。


経ピケ(Warp pique)

たて方向に太目の畝を織りだした
厚手の丈夫な織物です。

ベッドフォード・コード(Bedford cord)とも。

一般にピケというよこ方向に畝のある織物をいい、
波形の畝のあるものはアート・ピケ(Art pique)という。

ジーンズの他素材



これまで、先染織物を紹介してきましたが、
ジーンズには後染め織物も多く使用されています。

コーデュロイ(Corduroy)

コーデュロイは、たて方向にパイルの畝がある
立体感のある織物です。

畝の太いものから、ごく細いものまで
いろいろな種類があります。

コーデュロイの分類は
1インチ間の畝の本数で決まります。

  • 鬼コール:6本前後

  • 中太コール:9本前後

  • 細コール:15本前後

  • 極細コール:さらに細いもの

ジーンズには14畝、11畝、
8畝が多く使用されています。


サテン(Sateen)

サテンは朱子織で光沢が美しく、
滑りのいいなめらかな感触をもった織物です。

布面によこ糸が多いものをよこ朱子、
たて糸が多いものをたて朱子といいます。

サテンをサンドペーパーのようなものでこすって
起毛させたものをブラッシュド・サテンと呼びます。


キャンバス(Canvas)、ダック(Duck)

帆布と同意で使用されます。
帆布は船の帆に使われたことに由来しますが、
現在は広く厚手の平織物のことをさします。

キャンバスはたてよこに太番手の双糸や
引揃え糸を用いて平織組織で密に織った
厚くて丈夫な織物です。

帆布の中で軽めに分類され、
衣類に用いられるものをキャンバス、
バッグや布靴などに用いられ、
重めに分類されるものをダックといいます。


チノ(Chino)

英語でチノは軍服に使われる丈夫な綾織物です。

高級な光沢のあるコーマ糸の双糸を
たて糸よこ糸に使い、シルケット、
サンフォライズ加工をほどこし、
カーキ色に染めた純綿織物のことをいいます。

コーマとはコーマ(精梳綿)工程をさし、
カーディング(梳綿)工程後、
さらに短い繊維を取り除くものです。

もともとは英国でつくられ、
インドや中国へ輸出されていたものが
第一次大戦時、フィリピン駐留の米軍が
軍服ように中国(China)から購入したことから
チノの名称が使われるようになりました。

ウエストポイント(West Point)

日本で戦後大量に輸出された綾織物です。

ウエストポイントの名称は、
ニューヨークの米国陸軍士官学校のある
地名に由来したものとなっています。

ウエストポイントはチノの高級品に相当します。


綿サージ

通称、四つ綾。
サージといえば、たて糸よこ糸に
梳毛糸の双糸を用いた毛織物をさします。

綿サージの場合たて糸に
30番手より太番手の双糸、
よこ糸に単糸または双糸を
たてよこ等しい密度で、
2/2綾で織ったものです。

なので綾目は45°に近い角度で、
表裏反対の方向ですが同じようにあらわれます。

シルケット加工により光沢を強くしたり、
起毛をしてフランネルとして使われたりもします。


裏毛

横編の一種で、表面は平編のように見えますが、
裏面には太い甘撚りの糸が横方向に
パイル状に浮いて並んでみえます。

これを起毛して裏毛を立てて
肌着として使うことが多かったので
裏毛とよばれています。

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