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少しだけ不自由な私たちの殻

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-QubitShells, almost perfect- オートマトン・アルマ。それは自我を持った機械人形。 人間との差はほとんどない彼らが引き起こす哀しいトラブルに、内務省… もっと読む
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【投げ銭】# あとがき 少しだけ不自由な私たちの殻

あとがき『少しだけ不自由な私たちの殻』をお読みいただきありがとうございま もともとAIをテ…

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7010onCajon
2年前
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# 4-6 Robbie the Sitter (少しだけ不自由な私たちの殻)

### 6 ナギは家に帰ると堅苦しいジャケットを目についた椅子にかけ、少し考えてからブラウス…

7010onCajon
2年前
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# 4-5 Robbie the Sitter (少しだけ不自由な私たちの殻)

### 5``` 調査報告書  組織を離れたナギ上級調査官に代わり、この報告書を記載する。  (…

7010onCajon
2年前
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# 4-4 Robbie the Sitter (少しだけ不自由な私たちの殻)

### 4 朝から待たされた野次馬の不満は溜まっていた。すでに夕刻である。ライブ映像を公開し…

7010onCajon
3年前
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# 4-3 Robbie the Sitter (少しだけ不自由な私たちの殻)

### 3 ロビィは連日に渡って公私のメディアに取り上げられた。数日前にはしっかりとした身な…

7010onCajon
3年前
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# 4-2 Robbie the Sitter (少しだけ不自由な私たちの殻)

### 2「本日は世界中で話題のあるオートマトンについて取り上げます」  モニタでは澄ました…

7010onCajon
3年前
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# 4-1 Robbie the Sitter (少しだけ不自由な私たちの殻)

> 西に落ちかかっていた夕日が、にわかに光明をましたかと思うと、夕焼けの雲が、みな紫に輝き初めて、虚空に、そこはかとなく妙楽がきこえてくるのだった。 > すると、今まで蛙のように、ひしがれていた上人のからだから、異香が薫じほとばしって、そのにおいが群衆の間に、充ち満ち、極楽往生の証、いまはかくれなければ、諸人あざけりの心たちまち消えて、称名の声、しばらくは、大地をふるわせて起こりにけり。『頸縊り上人(菊池寛)』 ### 1 シノノメの住宅街にロビィという育児用のオートマトン

# 3-4 Milla the Toddler (少しだけ不自由な私たちの殻)

### 4 ナギはオフィスの自席で深々と座りながら、今しがた届いたオートマトン識別結果に目を…

7010onCajon
3年前
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# 3-3 Milla the Toddler (少しだけ不自由な私たちの殻)

### 3(映像②)「あの女の人、帰っちゃったね」 「そうだね。困った顔をして、いなくなった…

7010onCajon
3年前
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# 3-2 Milla the Toddler (少しだけ不自由な私たちの殻)

### 2 その夜、ナギは閑静な住宅街にいた。住所を確認してから、門を開けて庭に進む。前世紀…

7010onCajon
3年前
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# 3-1 Milla the Toddler (少しだけ不自由な私たちの殻)

>  魚がまたツウと戻って下流のほうへ行きました。 > 『クラムボンはわらったよ。』 > 『わら…

7010onCajon
3年前
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# 2-4 Raul the Dreamer (少しだけ不自由な私たちの殻)

### 4「ねえ、貴方。お願い――起きて」 心配げに覗き込む妻の顔が見えた。 「ああ、良かっ…

7010onCajon
3年前
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# 2-3 Raul the Dreamer (少しだけ不自由な私たちの殻)

### 3 手配されたモビリティにその調査課の女性と乗り込む。彼女はナギと名乗った。ゆっくり…

7010onCajon
3年前
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# 2-2 Raul the Dreamer (少しだけ不自由な私たちの殻)

### 2 その日、ラウルは社会課題に関する会合に参加した。議論を円滑に行なうためのファシリテータとしての仕事だ。自分に実装された機能をフル活用し、同時翻訳やリアルタイム速記だけでなく、参加者の表情や声のトーンも考慮し議論を促した。しかし、本日はステークホルダの思惑が行き違い、うまくまとめることはできなかった。  資本主義が限界を迎えると同時に、テクノロジーの進歩によって、人類は『金を稼ぐ』という脅迫観念からは開放されていた。会社は利益を追求することはなくなり、ビジョンに賛