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縁取

今思い出してみると元恋人との関係はとても穏やかだったと思う。彼とは頻繁には連絡取り合わなかったが、随分と色んな場所に行き、美しいものを沢山見たし楽しかった思い出もたくさんある。

やはり最後が悔やまれるが完璧に終わる恋なんてそうそうないことを考えたらこれはこれで良かったのではと最近思うようになった。

現在進行形の恋はどうか?、これが恋なのか私にはまだ良く分かっていない。こう渦中の全てが完璧に思え、福音が鳴り響き、世界が肯定に溢れているような「ハイさ」が今回は全くないのである。

正直全てに困惑している。私は彼の事が好きで、彼も私のことが好きだと思う。未来永劫うまくいくとは限らないが、少なくも今はそれで充分ではないかと私は思うのだけれど、彼は全然素直じゃない。

自分自身を貶めるような言葉を良く使い、私にも使う。何がしたいのかさっぱりわからない。わかるのはとても彼が傷付いていることくらいだ。

大丈夫よ、とにかく大丈夫。と言いたくなる。結局のところ、世の中全て全然大丈夫ではないし一瞬先はわからないが、しかしそれでも根拠もなく「大丈夫だからね、なんにも心配いらないよ」と言いたいのだ。私は。

色んなものを差し出そうとしてくるし、早く嫌いになってくれとも言う。痛ましいと思う。  

しかし私達は別々の人間である、どこまでいっても私達はわかりあえない部分があるし一つにはなれない。でもそれが絶望だとは私は思わない、違いは私達の輪郭を縁取り、その人の存在をより明確にするからだ。一つになるということは「あなた」と「私」ではなくなるということだ。こんなにつまらないことはないでしょう。

バツイチ年増へのサポートっていやらしい響きですよね。それが言いたかっただけです。