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著作解説⑧雨上がりの10年目©徳間書店

昨日に続き今日は著作解説8冊目、BLコミックスでは4冊目となる「雨上がりの10年目」です。
このコミックスから表紙がデジタル塗りになりましたね。 ‎確かPhotoshopかSAIだったかな?主線はアナログでペン入れ、スキャンして着色だけデジタル塗りにしました。デザイナーさんに可愛いデザインにしていただいたのがとっても嬉しい装丁でした!

雨上がりの10年目


【出版社】
2009年/徳間書店「Chara」掲載
【著者】
新井サチ
【あらすじ】
忘れられない初恋を引きずって、早10年──。わざと会わないようにしていた花島(はなじま)は、職場で偶然フラれた相手・黒瀬(くろせ)と再会! ところが、昔の優しい面影はあるのに、黒瀬の態度はなんだか冷たい。──フラれたのは俺なのに、その理不尽な態度はいったい!? さらに顔を合わせるたび、事あるごとに絡まれちゃって!?


ピンクと水色がかわいい装丁!

雨上がりの10年目 act.1

10年ぶりに会った同級生に淫乱ってなかなかだよね

10年ぶりに偶然再会した花島(主人公:右)と黒瀬(左)。しかも片思いしてた相手に突然「淫乱」って言われてしまった花島のメンタルが心配です←
はたして誤解は解けるのでしょうか…?

このお話は、BLジャンルに移行してから初めてトライしたサラリーマンものでした。実はこれまでは変わった職業ばかりを描いてたんですよね。なぜかというとOLの経験がほぼ皆無という作者新井の引き出しの無さからでした。

制作裏話ですが、サラリーマンの弟に「サラリーマンの一日ってどんなお仕事内容なの?」とインタビューさせてもらった記憶があります。初めて靴とベルトの色を揃えるという常識を知りました。

雨上がりの10年目 act.2

左:元カレ直哉、右:今カレ黒瀬、中央穴があったら入りたい花島

10年ごしの誤解も解けて黒瀬とお付き合いすることになった花島(ヨカッタネ)そこに仕事の提携先のアートディレクターがなんと元カレの直哉だったという。波乱の予感です。
黒瀬の元にも元カノ真紀が来社。元組は二人に未練がありあり。

真紀は取引先の役員の娘という何とも気まずい関係。直哉にははっきり黒瀬がいることを伝える花島だが、黒瀬の元カノにはそうもいかず。

表沙汰にできない二人の関係は元組の登場ですれ違いその行く末は…?


雨上がりの10年目 act.3

DO・GE・ZA!

真紀にカミングアウトする花島。全くノーマルの人にカミングアウトするのは勇気がいったと思います。

BLを描くときにいつも気を付けていたのは、どうしても「受」「攻」に分けて(分けたくないけど)描く必要があり、いわゆる主人公になる「受」の方が攻キャラになんでもしてもらう「受け身」になるのは避けたいと思って描いていました。

少年漫画時代の「主人公至上主義」がBLジャンルにうつっても健在でしたね。そうだ、どんなに困難なことがあっても恋や愛は自力で勝ち取るんだ!


甘いよ、せんせい

BLジャンル移行したての頃、かなり初期の作品ですね

雨上がりの10年目に同時収録された作品、実はもう1作品あるのですが両方とも美大系の話でしたね。
なぜなら作者新井が美大には行かなかったのですが、高校~高専と5年間デザインを学んできたので、その経験から美術・デザイン系の話がこの後もいくつか登場します。

これは幼馴染年下攻ものですね。ええ、何考えてるかちょっとわからない年下にブンブンふりまわされる年上が大好きです。


ぼくらの夏

美大もの、女の子1人男子2人幼馴染ものです

これもかなりBLジャンル移行した初期のころの作品ですね。幼馴染の男女3人(女子1、男子2)の話です。この組み合わせも好きだなー。

親友だからこそ言えない、ってシチュエーションも好きなんでしょうね。
あ、あとよく読んだらこの雨上がりに収録されている作品全て「殴る・平手打ち」の描写がどの作品にもありましたね。拳で語らないと気が済まないのか新井。
たぶん作品群は結構な確率で拳で語り合ってますね。だから担当さんに「ラブシーンはどうしたよ…」と言われてしまうんですよねすみません。

あとがきにも「エロ不足」って描いてありますもん。反省はしていません。

雨上がりの10年目まとめ

実はこの作品、BLの総合サイトさんに取り上げていただいたり、レビューを書いていただいたり、Amazonのレビュー☆数も50以上という何とも有難い作品となりました。

今はジャンルの傾向はわかりませんが、当時サラリーマンものはとても人気があり、それはなぜかというと、おそらく読者さんが日常的に一番想像しやすく入りやすい職業で、特殊な設定が無くても物語を恋愛にフォーカスできるカテゴリーだからなんだと思っていました。

これはロマンスものの漫画には普遍的なのかしれませんね。

表題の雨上がりは同い年カップルの二人を描きましたが、サラリーマンものの良いところはスーツがたくさん描けて楽しかったですね…!

今も大好きですが、この作品を描いてるときよくコブクロの「ここにしか咲かない花」を聴いていました。歌詞に「雨上がり」っていう言葉が入っているんですよね。


今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
次回9冊目は枯れ男に泉をです。


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