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著作解説⑦ギリギリな僕ら©徳間書店

お久しぶりの著作解説です。本日はBLコミックス3冊目の「ギリギリな僕ら」。
この表題作は、なんと私のBLデビュー作「ゴールイン」(読切)の続編です。デビュー作の二人を再び続編と描く事ができてとても嬉しかったのと、担当さんの反対を押し切ってとあることにチャレンジした一冊となりました。

はたして、そのチャレンジとは…?

ギリギリな僕ら


【出版社】
2008年/徳間書店「Chara」掲載
【著者】
新井サチ
【あらすじ】
高校生の時、幼馴染みの彪(あきら)に告白された伸二(しんじ)。気持ちに応えられず一年も避けていたけれど、親友は失いたくない――。勇気を出して再会した彪は、人気実力ともに超一流のプロサッカー選手になっていた! そんな彪に二度目の告白をされてしまい、さらに突然、予告もなく向かいに引っ越してきて――!?

たぶん全部コピック着彩

ケダモノ予備軍

新シリーズに向けて短めの読切を描かせていただきました

これ、確か「ギリギリな僕ら」が始まる前に短めのページで「後ろのケダモノ」のスピンオフ的な位置で描かせていただきました。
後ろのケダモノの主人公、スタイリストの宗和の新入りアシスタント見習いとして登場していた伸二。
何事にも一生懸命な伸二は、宗和や薫、先輩から可愛がられていますね。

ギリギリな僕ら COUNT:1

無自覚な酔っ払いが一番タチが悪い。がんばれ彪。

高校卒業の時、彪から告白されたけれど気持ちに応えられずにいた伸二は、疎遠になっていた彪と一年ぶりに再会。彪はすっかりプロサッカー選手として活躍していた。
友達としてしか見れない伸二に対し、それでもこれまで通り接したい彪。幼稚園の頃からの幼馴染で、さらに男同士というハードルの高い壁を果たして二人は乗り越えることができるのか…?

ギリギリな僕ら COUNT:2

今も昔もオネエキャラが大好きです。

東京のサッカーチームに移籍になった彪は、伸二のご近所に引っ越してくる。伸二も彪もお互い仕事で忙しい合間をぬって遊ぶが、いまだ彪の気持ちに対して整理もつかず応えられない。
プロチームの練習を見に行った伸二は、そこで日本代表選手の隼人(画:左・オネエ)に遭遇。
グイグイ彪にアプローチをかける隼人になんだか納得がいかない伸二。自分が口出しできない立場にあるのはわかっているが、伸二は隼人にとある勝負を持ちかける。

さて、BLの「ラブ」置いてけぼり回となりましたが勝負の行方はいかに?
 

ギリギリな僕ら COUNT:3

隼人との勝負を終えて、伸二の心境に変化が?

いやあ、BLでデビューしてから数年越しにデビュー作のカップルをくっつけられたので感無量のシリーズ最終回でした。続編を描かせていただけるなんて本当にありがたいことです。

そして冒頭に書きました担当さんの反対を押し切ったチャレンジというのは「リバ」です。

「リバ」とはリバーシブルの略で、受攻が逆になる事なのですが、当時BL商業誌では「リバ」は絶対ダメという風潮のもと、コミックス収録の描き下ろしで描かせてもらえないか交渉し、チャレンジを叶えさせていただきました。

無類のリバ好きの根底にはおそらく「対等」という価値観が根深いんでしょうね。いまだこれまで描いてきたBL作品のカップリングは全てリバでいいと思っています。
多分これからもずっと変わらないと思います。

絶対言わねぇ

執筆当時通っていた美容室をひそかに背景の参考にしていました

これ、めずらしく年上攻の作品でしたね。美容室のオーナー、スタイリストのカップリングのお話です。
数えてないですが、たぶん圧倒的に同い年か年下攻が多いんじゃないかな?
こちらの作品も本編、パリ編と二作描かせていただきました。

今ぱっと思い出せないのですが、年下のツン受ってこの作品だけじゃないかなぁ…???身体の関係はあるけれど素直になれない、という割と(?)新井にしては大人の話だったんじゃないかと思います。

絶対言わねぇinパリ

惚れた方が負けという

美容師×美容師、パリ編ですね。
あとがきにも書きましたが、表題のギリギリも絶対言わねぇもテーマになっているのが「ライバル」ですね。

ああ…甘美な響きライバルよ。

新井の性癖はライバルこじらせた先のラブという病気なんだと確信しています。ライバルがお好きで「リバ」OKという猛者の方はこちらの単行本をおススメ致します。


ギリギリな僕らまとめ

今、コミックスのあとがきを振り返っていたのですが、デビュー作から3.4年振りに読切の続編を描かせていただいたという…。そんなことってある???
よく企画を通してくださったなぁと感謝の念が絶えません。

あとは、確かこのコミックスくらいから絵柄をなるべく線を少なくしていこうと模索しながら作画していた記憶があります。

非常に暑苦しい一冊となっておりますが、大変思い入れの深い単行本となっております。
心の広い御方は、ぜひ新井らしさが詰まった一冊となっておりますのでお手に取っていただける機会がありましたら嬉しいです。

次回8冊目は「雨上がりの10年目」です。


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