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著作解説⑤おとなりにノラ猫©徳間書店

ちょっと間が空きましたが、今回からジャンル/ボーイズラブ編になります。

まずはデビュー作から過去著作についてのnote記事を読んでくださった皆様、♡を押してくださった皆様、本当にありがとうございます!励みになります。

著作解説5冊目は、徳間書店さんCharaレーベルから出版していただいた「おとなりにノラ猫」です。

おとなりにノラ猫

【出版社】
2006年/徳間書店「Chara・Charaセレクション」掲載
【著者】
新井サチ
【あらすじ】
上京してきたばかりの隆(たかし)は、引っ越しの挨拶で美人な隣人・莉緒(リオ)と出会う。けれどその夜、隣から聞こえてきた喘(あえ)ぎ声は、なんと男同士!! 都会の夜は、隆の想像をはるかに超えていた…。その莉緒に「サービスするよ」と誘われて!? 天然な獣医×敏腕トリマーの大人気シリーズ。新井サチ待望のファースト・コミックス登場!

表紙絵の塗りは透明水彩と色鉛筆かな?

おとなりにノラ猫 1

忠犬 隆、ノラ猫 莉緒、出会いの話

実際に描いた順番は何作目だろう…。ボーイズラブ(以下BL)でデビューしてから読み切りを数作描いて、初めての連作となったのがこのおとなりにノラ猫でした。
BLを描き始めたときからずっとなのですが、とにかく男前受が(強いて言えばはリバが)好きすぎて何度も担当さんを悩ませてきたものです。

ええと、BLを全然ご存じでない方の為に説明しますと、リバというのは「リバーシブル」の略称で、いわゆるカップリングの男役(攻)、女役(受)がないこと。
20年前に比べて、今はだいぶ市民権を得てきたような気が…するだけかもしれませんが、当時はそれはもうジャンル的に猛反対を受けました。今も変わらず「受攻なんてその日の気分やじゃんけんで決めたらいい」と思ってやみません。

1話目は莉緒の心を隆が開いていく話でしたね。物語に出てくる白い猫「タマ」は当時住んでいた近所のノラ猫ちゃんがモデルです。オッドアイでなつこくてとても可愛かった。


おとなりにノラ猫 2[おとなりは忠犬!?]

一筋縄ではいかない隆に感情がままならない莉緒

シリーズもの第2話目。人とあまり関わり合いを持たずに気ままに暮らしてきた莉緒が嫉妬の感情を抱く話です。隆はマイペースを崩しません。
読み返してみて、まあ下ネタのひどいこと(笑)いや…BL作はほとんど下ネタの嵐だったか…。最近健全に過ごしている(うん?)のでこの頃を思い出したい気持ちです。気になる方はぜひ!見てみてね!(宣伝)


おとなりにノラ猫 3[番犬のワガママ]

隆落ち着いて

真面目な隆は男同士でどうやっていたすか全く知らなかったので、本を読んで勉強していたところ、百戦錬磨の莉緒から「一緒に勉強する?」と持ち掛けられます。
よく見ると隆のTシャツにさくらんぼが描いてありますね。自分で描いてて忘れてました。はたして隆は莉緒と家族になれるのか?こうご期待です。


レンズが映した忘れ物

まどか(右)&怜(レン・左)

北海道生まれ(確か)の青木怜(母方がロシア人のハーフ)が東京に絵描きになるために上京してうまくいかず、故郷に帰る日に著名なカメラマンの泉まどかに写真展用のモデルスカウトされる話です。
怜はノンケ、まどかがバイの設定でしたね。
この先、新井の性癖で「攻キャラに女性っぽい名前を付けたがる」キャラがたくさん出てくるかと思いますが、まどかはそのはしりですね。そういえば珍しく年上×年下のカップルでしたね。
舞台が表参道青山辺りなのでロケハンしたのも良い思い出です。


ゴールイン!

伸二と彪(あきら)はほんとのBLデビュー第1作目ですね

BL作品を出版社に持ち込みに行こうとネームを切っていた作品がこの「ゴールイン」です。なんとも運よくこの作品がBLデビュー作となりました。
幼馴染、同級生の話ですね。後にBLジャンル3冊目となる「ギリギリな僕ら」の第1話目にあたります。
BLデビュー第1作目なのでとても思い入れがありますね。BLらしいシーンがほとんど無いと言っていい話(よく担当さんがOK出してくださったなぁ…)ですが、好きなように描かせていただいたお話でした。ありがたや。

おとなりにノラ猫まとめ

BLデビュー作、おとなりにノラ猫の解説にお付き合いいただきありがとうございました。
ふと思い返してみると、少年漫画からBLへジャンル変更してBLデビューコミックスが出るまで数年かかりましたが、そのタイミングで漫画専門誌の「ぱふ」さんにインタビュー特集を組んでいただいたことを思い出しました。

BL作品にしては情事が少ない、どちらかというと葛藤や想いが通じるまでの感情の機微を描きたい派なので「もうちょっとエロくしてください」と担当さんに何度叱咤いただいたことか…。挙句にはタブーとされるリバを虎視眈々と描こうと常々思っている作家でしたね。

この先もリバっぽいカップルはたくさん出てきますが、どちらかに依存したりされたりする関係性が好きではなく、ずっと「対等」が好きだからという価値観から来ています。「パートナー」が好きなんだな、きっと。
おそらく、それは男性同士だけではなく、男女でも全く同じです。今後もBLを描けたらなと思いますが、このスタンスはずっと変わらないと思います。

次回は「後ろのケダモノ」です。


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