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梱包紙をもしょもしょ、ぎゅー

新1年生がやってきた、学童。学校で緊張して、学童もまだ居心地が悪そう。
その子の近くで、わたしは手を動かしていました。
荷物に入っていた紙の梱包材、お描きするかもととっておいたけれど、なかなか減りません。
メモ用紙にでもしようかなと裁断し始めて、ふとくしゃくしゃにしてみたら、その子がよってきました。

どんな音がする?
紙を振ったり、弾いたり、くしゃくしゃにしながら音遊び。
そのうち、内緒話がそっと始まりました。

「あのなあ、きょうびっくりした。ニワトリが上にきた」
何色? 茶色
飛ぶの? 小屋にいる
「たまご産んだらな、みんなで食べるんやて」
「そやっ、たまご作ろう」

紙を手にしてぎゅーっと渾身の丸め。何回も、何回も。真剣な顔で力一杯丸めています。
「できた。あっ、ニワトリも作ろう」

そのフォルムの素晴らしいこと。削ぎ落とされた、原型。
観察眼に痺れる一瞬、これだからお子様との時間はキラキラで何にも変え難い。

わたしは、紙を丸めてカタチを作っていました。国立西洋美術館で見た、人形が原型です。紙で作られた立体人形の数々、キャラクターもいれば動物もいる。どれも紙を丸めて、セロテープで止めて着彩したもの。
作品も解説パネルも生命力に溢れていて、ノックダウンされました。

弓指寛治『You are Precious to me』 


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