見出し画像

舞台「グレイト・グッド・プレイス」をちょっと振り返ったりした

劇団デマチカヤナギ第2回公演「グレイト・グッド・プレイス」、終演いたしました。観に来てくださった皆様、応援してくださった皆様、スタッフ・関係者の皆様、本当にありがとうございました。
めちゃくちゃ楽しかったです。楽しかったと同時に、始まる前、めちゃくちゃ良いお芝居にするぞ、と強く思った公演でもありました。もちろん、それはいつも思うんですけど。笑 そして今回、良い意味で、余韻にほぼ浸ってない自分がいます。余韻がほぼないというか。きっと、ちゃんとあの場所からしっかりオサラバできたんだと思ってます。

今回は、サードプレイスに関するお芝居でした。いろんなバックグラウンドの人々が、とある山の中にワイワイと住んでいて、その場所が無くなっていくことについて描かれた作品。
個人的には舞台美術がとても好きだったなぁ。これは完全に個人の好み以外なんでもないんですが、ワンシチュエーションで固定された舞台で、生活感のあるごちゃっとした空間(廃墟、だとか、高架下、だとか)のセットがとても好きで。そういうちょっとアングラ感がある感じも好きなのかもしれない。それがとても素敵な感じに表現された舞台だったと思います。だからこの舞台に立てることが素直に嬉しかった。そんな感じでした。


今回頂いた役、森山晶のことはいっぱい考えました。森山が大好きでした。勝手に考えたいろんなサイドストーリーはあるんですが、それはまぁ自分のノートにしたためておくとして、今回はキャンプ系YouTuberという役だったので、キャンプギアをいっぱい使ってみました。父親がアウトドア派だったので、子どもの頃、キャンプにはよく行っていて。だからか、なんとなく使い方は大体知ってました。だけどそれもあってか、逆にキャンプに対する憧れはあんまり無くて疎遠になっていたので、お店とかでキャンプギアをいっぱい見て回りました。


キャンプギアがたくさん


あと、1週間使って立方体の木からコップを作りました。単純に物を作るのが好きなだけという話ではありますが、部屋を木くずまみれにして、アーティストの部屋みたいになってました。ナイフの使い方がよく分かった一週間でした。

Before


After

あと、マッチも画用紙とプリンタで作りました。まぁこれも勝手に作りたかっただけで何というものでもないです。笑 でも世の中には色んな種類のマッチがあるんだなぁといっぱい見比べました。一番気持ちよかったのは、マッチをするところをサンドペーパーにしたらビターっとデザインに合ったところです。まぁそこだけです。笑

STORMPROOFというフレーズがお気に入り。嵐にも負けない的な。


あと、今回頂いた台詞で、凄く印象に残っている台詞があって。この場所(アジト)、が無くなるとなったときに、一人淡々と片付けを始める森山が言う台詞なんですけど。

「愛着ありますよ、ありますけど、こういう時、道は2つしか無いと思ってて。すぐに受け入れるか、時間をかけて受け入れるか。でも、最後のゴールは受け入れなきゃいけないんだったら、すぐに行動した方が良い、と思っているだけで…。」

「グレイト・グッド・プレイス」

決まったことって、基本ひっくり返らないというか、それをひっくり返そうとすることは、決めることよりもめちゃくちゃパワーがいることなんだ、と感じたことがあります。結局その時も、場所(組織)が無くなるということを受け入れる他なかった。
本当は無くなることに対して納得がいってなかったり、悔しかったり、言いたいことだっていっぱいあるんですけど、でもそれを受け入れるしかないときもやっぱりあって。エネルギーをかけて抵抗したとしても、それでもし元に戻ったとしても、きっと全く同じには戻らないこともなんとなく分かっていたり。森山もきっと、そういう経験をしてきたんだな、と思っていた台詞でした。淡々と言いながらも、もしかしたら自分に言い聞かせてるのかもしれないなぁと思ったりしながら、序盤から終盤までの森山の気持ちの変化を積み重ねていくのが好きでした。
この台詞を通して過去の自分と重ねて、でもあの時はちゃんと前に進んで、結果今があるんだよなと思い返せた、そんな自分にとっても大事な台詞でした。

稽古はというと、座組の性質上、土日での稽古がメインになるので、平日は、土日に撮影した稽古動画を見て修正。そういう言う意味では、今までで一番自分の演技を自分で見た稽古だったんじゃないかなと思います。日々稽古がある現場だとなかなかそうはならないわけで、自分で自分の演技を見て、あれは違うこれは違うと紙に書きながら、自分とよく向き合った稽古期間だったなぁと思います。だから、稽古で相手役と合わせられる時はやっぱり楽しいし、その時間が貴重だし、演出していただける時間も大事だし、とても有意義な稽古場だったなぁと思います。座組のメンバが素敵なのは前々回のnoteにいっぱい溢れてしまっていますが、みんな本当に素敵でした。素敵な座組でした。特に小屋入りしてからの時間は本当に濃い時間を過ごしました。朝ドトールに集まって、なんとなく時間を共有したのが個人的にはとても良かった。
サザエ焼いて、洞窟で一晩過ごして、一緒に泥をすすって、喧嘩して、夜に野犬に立ち向かって、怪我をして、告白を見届けて、ラブソングを聴いて、最後の夜にみんなで流星群を見て、演奏して。もちろん全部劇中の話ですが、どれも好きな瞬間で、その場を森山として生きてたと思います。アジトを去ったあと、みんなそれぞれどうしてるかな、と、ふと森山の気持ちと重ねてしまう自分がいたりします。

みんなで見た流星群は、みずがめ座η流星群かな(photo by 長谷川槙也)



観て頂いた方の感想も様々でした。いろんな感想をいただけてとても嬉しいなと思っています。今回のお芝居を観て「自分もなにか始めたいと思います」と言ってくださった方もいました。凄く嬉しかった。自分が大学でエンジニアリングを学び始めた頃、ジョブズみたいにかっこいいものを作って世の中の生活を変えたいんだ、と割と本気で言ってました。ジョブズがiPhoneを発明して世の中を変えたみたいには、お芝居が世の中を大きく変えることは無いかもしれないんですけど、その場で作られては消えていく生の舞台でしか伝わらないものが、やっぱりあるんだなぁと改めて感じました。


とりあえずいい写真だと思う

終盤でアジトを去る前に「最後に写真一枚、みんなで撮りましょうよ」っていうシーンがあって。この"場所"にこの"みんな"が居たんだよっていうのが大事だと思って、全員が映るように自撮りするようにしてみたんですが、ここのシーンも個人的にはすごく好きで。ほんと、めちゃくちゃみんないい顔してくれるんですよ。こんな写真を撮影させてもらえる役なんて最高だった。だから、はじめはフェイクの携帯使ってたんですけど、このシーンは絶対ちゃんと撮った方がリアルで良いなと思って、本物の携帯を使うようにしました。この写真は多分、千穐楽の写真です。みんないい顔。このお芝居も、4公演を終えたら、抵抗しようがなんしようが終わるんですよね。だからもしかすると、この劇自体がサードプレイスだったのかもしれないなぁと思ったりします。ずっと続くことがない場所だから、それが良いのかもしれないなと。

そんな素敵な作品を書いてくださった村上さんはやっぱり凄い。並ぶ言葉はリアルで生きてるんだけど洗練されているなぁと私は思っていて。稽古しながら作られていく部分ももちろんあると思うんですけど、その種みたいなのがめちゃくちゃいっぱい詰まっていて、それが無限にどんどん広がっていくような、そんなクリエイティブをいつも経験させてもらっている気がします。そんな現場にいれる自分は幸せ者だと思います。

冒頭で余韻に浸ってないんです、といいながら、めちゃくちゃ余韻に浸る文章が並ぶ結果となりました。ただの強がりだったかな。笑
そんなわけで皆様、とってもありがとうございました。


この記事が参加している募集

つくってみた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?