バンクシーに自分を重ねる愚かな人
GWに実家に帰った時のこと。
やることもなくてネットサーフィンをしていたら、バンクシーの作品をまとめた記事に辿り着いた。
その中で紹介されていた一つが目にとまった。
高校生の頃に書いた落書きにそっくりだったから。
すぐさま自分の部屋に向かい、クローゼットにしまってあるダンボールを次々と開けていく。
探しながら何度か「あれさえあれば…」と口から漏れた。
そしてついに見つけた世界史の資料集をパラパラとめくっていく。
やはりあった。
磔にされたキリストの両手に紙袋がたくさん下げられている。
袋の中にPS5が入っていること以外、バンクシーの作品とほとんど同じだ。
天才と呼ばれるバンクシーと発想が被ったのだ。
他のページでは、アポロ11号の写真に前澤社長らしき人物が書き加えられていた。
センスのある絵のように思えた。
その夜
「あんたの部屋使いたいんだけど、あれ全部捨てていいの?使うんなら持って帰ってよ。」と母親に言われた。
そういえば部屋には、日焼けしたギターや埃を被った電子ドラム、コードの絡まった動画撮影キットが置かれたままだった。
どれもすぐに挫折してしまったのだ。
自分には才能がないと分かったから。
そして今
世界史の資料集だけが手元に残っている。
さあバンクシー、これからも世界を驚かせてくれよ。
これさえあれば当分俺は大丈夫だから。
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