見出し画像

スタジアムのビールの売り子が野球の試合より気になるっていう話

以前、横浜ベイスターズファンの男性と付き合っていた頃の話

私自身は特にどこのファンというわけでもないし、プロ野球も普段は観ないが、といって野球が嫌いということもないし、ルールはわかる。スタジアムで観戦というのは楽しそうだなと、喜んでナイトゲームを観に行った。

リリーフピッチャーが登場する時の音楽が、選手それぞれで違っていて個性豊かで面白いとか、確か、いい場面でベイスターズカラーのブルーの風船をファンが飛ばすとか、山崎投手が登場する時の掛け声が耳に残るとか、わたし的に初めてのスタジアム観戦は興味深いことがたくさんあったのだが。

スタジアムではビールを売って歩いている女性(たまに男性もいる)がいるのをご存じかと思う。実は途中から、試合よりもあの子たちが気になって仕方なくなったのだ。

私が特に気になったのは

①ビールを売る子とその他のお酒やおつまみを売る子はどう違うのか?(値段が違うので売上も違うはず)
②あの子たちは一晩でどれくらい稼ぐのだろう?
③顔がかわいい方が稼げるだろうか?

ということだった。

おそらく、スタジアムに通いつめて実際にビールを買って会話したり、試合中ずーーーっと見ていたらある程度予測は立てられる話だと思う。初めてのスタジアムでそれが気になった私は、試合を観戦しながらも彼女たちを目で追い、もちろん注文もし、近くに来たら会話に耳を澄ませたりしていた。

ビールを売る子とその他のお酒やおつまみを売る子はどう違うのか?


私はビールが飲めないのでサワーを注文するのだが、まずビールとサワーは値段が違う。ちなみにおつまみを売っている子もいるが、当然おつまみもビールに比べたら安い。

売上を考えたら、当然高いものを売りたいはずだ。背中に背負う重さとしてはビールもサワーもそう変わらないだろうから、それならば少しでも単価の高い方を売りたいだろう。自分は何を売る、というのは、自分で決められるものなのか、上司に決められるものなのか、それともバイト歴や実績で決まるものなのか。となりの彼氏に聞いてみたけど、彼はそこまでそのことに興味がないようで、わからないとのことだった。そりゃそうだよね。。

その時の私の仮説は、やはり実績がものをいう世界なのではないだろうか、ということだった。実績を上げてる人から順に、単価の高いものを売れるのではないかと。ビールの中でもエビスビールは確かほかのビールより100円高かった記憶がある。なので、エビスビールを売っている子が、あの中では一番稼ぎ頭なのではないだろうか、というのが私の推測だった。

※ここまで書いてからネットで見たところ、例えばアサヒビールやキリンビールなど、それぞれの会社でバイトとして雇われているようだ。あなたはキリンビールね、とスタジアムの人に決められるわけではないが、ビール会社の中で、ビールを売るのかサワーを売るのか、決められるのだろう。そして今調べると、エビスビールはほかのビールと同じ値段だが、ベースターズホワイトが50円高いようだ。

一晩でどれくらい稼ぐのか?


売上=単価×客数

この公式の中で、彼女たちが「その日の言動」で変えられるのはリピートを含む客数だ。その時点では単価は決まっているわけだから、何人のお客さんに売るか、何人に繰り返し買ってもらうか、で売上が決まる。リピートの中には、その日以前に買ってもらったなじみの客もいるかもしれない。

ちなみに、スタジアムは広いわけだが、どうも、売り歩くエリアというものは決められているようだった。縦横無尽にどこでも売り歩いていいということではなく、外野席の〇番から〇番のエリア、というように歩ける範囲は決まっているように見えた。ということは、その日の客の入りによっては、担当エリアによっても明暗を分けるが、そこも実績によって上司?に割り当てられるのだろうか。。

見ていると、試合の途中で見えなくなる子もいる。休憩に入ったのか、バイト終了時間になったのか、その日の売上目標を達成して切り上げたのか、はたまた今日はだめだとあきらめて帰ったのか、いずれかではないだろうか。

約2時間半の試合中、ずっとスタンドにいるわけではないようだし、試合の状況や気温によっても売れ行きは変わるだろう。

仮に一晩で、750円のビールをのべ50人の客に売ったとすると
750×50=37,500

37,500円だ。仮に歩合率が3割だとして11,250円

若い子たちの数時間のバイトの稼ぎとしては悪くない、のだろうか。
日当1万円しない仕事もたくさんあるだろうから、そう考えると悪くないかもしれないが、そもそも一日にどれくらい売れるものなのかまったくわからないし、歩合率も勝手な予測なので、大きくぶれているかもしれない。

試合に勝っていればファンは気前もよくなるだろうし、暑い日は飛ぶように売れるだろうから、そんな日は50どころではないだろう。(低すぎる見積もりだったら申し訳ない)

勝手な憶測の数字なので何とも言えないが、短時間で集中して稼ごうと思えば、悪くない稼ぎとはいえるのではないだろうか。

顔が可愛い方が稼げるか?


以前の記事にも書いたが、私は1/3男で、かつ外見重視なので、私だったらどうせならかわいい子から買いたい。もっというと、イケメンから買いたい(笑)
ビールが飲みたい時に近くを通った売り子さんならだれでもいい、という人もいると思うが、複数人が近くにいて多少選ぶ余裕があるのなら、可愛い方がいいと思う人もいるのではないだろうか。

しかし見ていると必ずしも可愛い子が売れているわけではないようだ。(当然と言えば当然だが)

それについても隣の彼氏に「やっぱり可愛い子の方が売れるの?」と聞いてみた。

そもそも彼氏は、私と付き合っているくらいなので面食いではない(笑)
それもあって、彼自身は可愛い方がいいとは特に思っていないようだった。「そんなことないよ。ちなみにあのお姉さんは10年以上前から見るから30歳は超えてると思うけど、人気者だよ。確かに顔が可愛くてここからデビューした子もいるけどね」と教えてくれた。

いろいろびっくり。

私たちのエリアではなかったので少し遠かったが、確かに、あきらかに20代前半の子が多い中で一人だけ年上な感じの女性がいた。10年以上もいるって、バイトなのか社員なのか知らないが(おそらくバイトだとは思うが)、この仕事が大好きでハマってしまったのかな、と思った。

体力的にはきついかもしれないが、ハマる人にはハマりそうではあるもんな。

そして、ここからデビューした子もいるとか。ま、デビューと言ってもいろいろだとは思うが、確かにいろんな人が観戦しているわけだし、中にはスカウトされる子もいるのだろう。「可愛すぎる売り子」として騒がれたりもしたかもしれない。

売り子さんたちを見ていると、やはり選ばれるために小さな努力をしているなあと感じた。もちろん一方で「ただ売っている」という子もいる。つまり、小さな努力の差がが売り上げの差を生んでいるのではないかと感じた。

例えば、大きな花のコサージュを耳に付けている子がいた。目立つように、ということと「そのお花付けてる子」と呼ばれやすくするためになのかなと思った。例えば、ただ歩いているだけの時も、ひたすらニコニコしている子もいた。ニコニコしている方が話しかけられやすいと知っているのか学んだのだろう。例えば、ビールを注ぎながら、お釣りを返しながら、なにかしらお客さんとコミュニケーションをとる子もいる。そんな短時間でいいコミュニケーションが取れたら最強だ。

そんなわけで、私の推測

そりゃ可愛いにこしたことはないかもしれないが、それよりもビールを飲みたいお客さんの欲求に素早く明るく反応し、おいしそうにビールを注いで気持ちの良いコミュニケーションをとれる子が売れる(売れ続ける、選ばれる)だろうなということ。

しょっちゅうスタジアムに通う人は、自分のごひいきさんを見つけたいとも思うものではないだろうか。顔見知りになって、名前で呼んで、時には突っ込んだ質問もしたりなんかして、頑張っている若い子を応援してあげたいおじさまもいるだろう。

そうやってハートを掴んだ売り子さんは、当然稼ぐだろうし、仕事も楽しいだろう。30過ぎてもやっていたい、と思うのかもしれない。

単純な仕事のようで奥が深いなあと思った。自分が当時フルコミッションの営業マンだったこともあり、彼女たちの仕事ぶりにとても興味が湧いたし、彼女たちから学べることも多かった。

高い売上を作っている子は、自分の見せ方から話し方、試合の状況とお客さんの状況の関係性や短時間でのコミュニケーションの取り方など、様々なことを研究しているのだろうなと思ったし、私ならそうする。

間違いなく、もし私が若かったらやってみたいバイトだ。ナンバーワンホステスは無理でも、ナンバーワンのビールの売り子さんなら私でもなれたかもしれない。

結局私は、初めてのその日を含め、2回しか、横浜スタジアムには行っていない。なぜか。

そう、彼と別れたから。

でもその2回は、「彼氏とハマスタで野球観戦した」という思い出よりも、「売り子さんが気になった」思い出として、私にとって貴重なものになった気がする。

うろ覚えなことも多いけど、ここに書くことができてよかった。

こんなド素人の勝手な憶測を、最後まで読んでいただいた方がいるなら、本当にありがたい。

一人でもスタジアムに行くほどの野球ファンではないのだが、また機会があったらスタジアムで観戦したい。

さて、次はどんな彼氏とどこのスタジアムに行くことになるだろうか。

きっと私は、試合よりもまた、ビールの売り子さんたちが気になっちゃうんだろうな。それもまたよし、だよね。

今日はここまで。読んでいただきありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?