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「L'Heure Bleue」について

こんにちは。
久しぶりにちょっと作品について語りたくなったのでnoteに綴ってみます。

作品を作ることになった背景

2022年11月
城島ジョージさんにお声掛け頂き、NFT紅白という企画に白組団長として参加することになりました。
NFT紅白は簡単に言うと「NFT界のみんなで年末盛り上がろう!」といったもの。
ジョージさんの「来年もまたこの場所で会おうな!」のコンセプトに惹かれ、軽い気持ちで「やる~」と言ったのが全ての始まりでした。

紅組白組で「代表戦」を設け、各組5名でオオトリの盛り上げをしよう🔥と決まり、この時期制作物が山のようにあった私は「オッケー、793collectionから正月っぽいの出そ」と考えていました。
この時の第一ラフがこちら。

793collectionから当初予定していた代表戦用の作品

これはこれで気に入ってるのでまた描くつもりなんですが、NFT紅白2022の募集が始まり、思った以上に初動から大反響で参加者が増えたことで私の中に若干の焦りが生まれます。

「もっと気持ちを込めた作品を描きたい」

793collectionであれば1週間ほど集中すれば描き上げられます。
ですがFNDに出すような一枚絵となると私の場合1ヶ月は掛かります。
迷ってる暇はありません。早速次のラフに取り掛かります。

白を基調にとにかくめでたい感じにしようと詰め込んでみた作品
めでたさは無視して自分らしく描いてみようと思った作品

2枚目はこれも気に入ってる作品なので、またどこかで描き上げようと思っています。
実際結構ギリギリまで2枚目の作品に取り掛かっていたんですが、中々筆が進まず「今描きたいのはこれじゃない」と決断するのに勇気が要りました。
何せ時間が無い。
真夜中の電気を消した部屋でスケッチ用のノートにガリガリ色んなものを描きながら、ちょっとずつ自分の気持ちを吐き出しました。

L'Heure Bleueに至る

そして今作「L'Heure Bleue」の原点になったのがこちら。

筆圧が死んでる

基本的に肌の露出は描かない派ですが、服を着せると自分の表現したいものと違う気がして裸になりました。
余談ですが、胸を描いていませんがイコール男性というつもりで描いた訳ではないです。完成した「L'Heure Bleue」自体が男性とも女性ともとれる背中で描いたので、表現したいものを描くときに性別は私にとってはどうでもいいことなのです。

この時点で絶対に描こうと思ったのがコルセットピアスです。
自傷ともとれるこのボディピアス、自分を傷付けて縛り付けてもなお美しいアイテムです。(痛い描写が大丈夫ならググってみてください)
白というベースが決まっていたので、青いリボンにしようと思いました。
この表現を基に、構図を改めていきます。

背中を描こうと思いました
アングルを変えます。君に決めた!!

これだという構図に早々に辿り着いたので、ここで決めてしまいます。
(普段なら念のためあと3パターンほど構図を練ります)

線画ラフ

ラフに取り掛かります。この時点で決めたことがあります。
それは「線画(描き込み)を大事にしよう」ということです。

ここからは少し絵の話です。
私はとにかく線画を描き込むのが大好きです。
どれだけ拡大して見ても雑さのない、線画だけで作品として完成する絵を心掛けています。
私の絵にはオシャレな塗りも厚塗りのような線画をなくした絵もピンと来ません。
流行りじゃなくても、線画を大事にした絵が描きたい。
ずっとそう思っていたのに、デジタルをうまく使いこなせていないという引け目を線画を言い訳にしているんじゃないかと自問自答していました。
だから少しでも線画をなくして、儚く美しい絵を描こうとしてる。
デジタルならではの美しさにちょっとでも近付こうとしている。
そんな気がして、自分の絵が、自分が絵を通して表現したいものがぼやけて来てる気がしました。
その頃コミュニティにこんなことを呟いています。

自問自答を繰り返して、今回は塗り<線画に重きを置こうと決心しました。
デジタルの美しさは活かせないかもしれない。
それでも自分らしさはきっと出せる。残された日数の少ない中、自分を信じるしかないと思いました。

線画ラフを見て頂いてお気付きかもしれませんが、ほぼ完成形の形まで翼は地面に垂れていました。
重い翼を羽ばたかせられない、少し不自由さを感じるイラストです。
この時点では、思ったような(デジタル)絵を描けない自分…という少し後ろ向きなメッセージでした。
でも私がこのイラストに掛けた想いは、マイナスなものではないと思い直しました。
思った以上に綺麗な線画が描けて、私はこのイラストを自信をもって出せる筈。なのにそんなマイナスなイメージは何かが違うと思ったのです。
そんな訳で翼を持ち上げる描写に変えました。
もはや残された日数的にここで変えるのは自殺行為。それでも絶対に自分の描きたいものを、伝えたいものを描く。その気持ちだけはブレませんでした。

そして完成したのが今回FNDで出品する「L'Heure Bleue」。

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「L'Heure Bleue」とはフランス語で日の出前・日の入り後に空が濃い青に染まる時間のこと。英語ではbluehourの意味です。
私は今回この「L'Heure Bleue」を日の出、つまり黎明の意で解釈して名付けました。黎明から転じて希望、という意味も持つそうです。

自分の中でコンプレックスでもあったデジタルイラストとの付き合い方。イラストの描き方。
そこに拘って夜を歩いてきたようだけど、自分には自分の強さがある。
それを活かすことに躊躇うのはもうやめにしよう。
それは私の中の夜明けでした。

だけど今まで培ってきた技術だって無駄じゃない。
だから自分を縛るコルセットピアスも、彩りのアクセントにしていこう。

そうやって出来上がったのがこの「L'Heure Bleue」という作品です。
一見すると今までと何が違うのかと思われるかもしれませんが、「堂々と線画を残す」というのは私の中では大きな決意でした。

2022年締め括り、2023年に向けて新しい自分のスタイルを見つめ直しました。
私はこれからも線画に命を懸けた作品を出していくと思います。
「L'Heure Bleue」はその決意を込めた作品です。

NFT紅白というたくさんの方が参加したイベントで、有難くも団長というポジションでこの作品を発表できる機会に感謝の気持ちでいっぱいです。
少しでも多くの方に見て頂ければ嬉しいです。

2022/12/29(木)21:00、FNDにてlistします。
bid開始後から24時間オークションです。
正直緊張しすぎてずっと震えてます。FND1作目と同じ気持ちです。
どうぞよろしくお願いします!!


最後に余談
作品の中に「泡」を描いていますが、これはFND1作目「ALIVE」へのオマージュです。
「ALIVE」もまた、私の中の転機の一つだったので今回改めて見つめ直しながら「L'Heure Bleue」を描きました。

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