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日雇い派遣 底辺カルタ さ~た行 / 寸借詐欺と一緒に走ろう!


【さ】殺気立つ 工場製造ライン作業

【し】死ぬ前に 早め早めのギブアップ

【す】擦り傷は 日常茶飯事 あたりまえ

【せ】狭すぎる 休憩場には 居場所なし

【そ】そんな話 聞いてないですよ!

【た】騙しにも 気付けぬ 情弱労働者

【ち】違ってた 仕事の内容 契約と

【つ】辛くても 倒れるまでは 休めない

【て】手際よく やらねば罵声の 集中業火

【と】どうしても 終わらないなら 帰さない
※作業量が多すぎて、バイト達を朝9時から翌朝6時まで、ぶっ続けで働かせた印刷工場があった。夜食休憩1時間、仮眠休憩はもちろん無く、朝までぶっ続けである。もちろん私はやらず、1時間だけ残業して無理やり帰った。

<ちょいと小話> 寸借詐欺と一緒に走ろう!


日雇いで働いていると、一緒に働いているワーカーの中に、たまに寸尺詐欺(すんしゃくさぎ)がいたりする。

Wikipediaの説明には
「寸借詐欺(すんしゃくさぎ)とは、代表的な詐欺のひとつで、人の善意につけこみ小額の現金を借りるふりをして、騙し取る行為を指す」とある。

日雇い派遣の現場は駅から遠いことも多く、バスを使わないと厳しい現場がある。

仕事が終わると最寄りのバス停には、工場の労働者の長蛇の列ができる。
私は登山をやるのでウォーキングして駅まで行くことが多かったが、たまにはバスに乗ることもあった。

その日は珍しくバスに乗ることにしたのだが、バスの本数が少なく15分待たされることとなった。
「うーん、微妙・・・。歩いて帰るかなあ」と真剣に考えていたら、私の後ろに並んでいた50代前半の女性が突然声をかけて来た。

「あのう、すいません・・・、帰りのバス代を持ってないので、貸してくれませんか?次会った時に返します」と言うのである。
日雇いバイトなんだから、次会える保証なんて全然無い。会わないことを見越して、貸してというのである。

その時、私は気がついた!
彼女の右手にコンビニの袋が!そして、その中にはお菓子が2、3袋入っているではないかっ!
えー、ちょっとちょっとちょっと!
お菓子買わなければバス乗れたよねー!?
わけがわからん・・・。


私は考えた。
ここから駅まで、徒歩で25分、ゆっくり走って約18分か。バスが来るのは15分後。

50代の女性に「バスもすぐには来ないことだし、ここから駅まで走れば、ゆっくりでも18分!道もほぼ真っ直ぐだし、人が多いところじゃないから、一緒に走りましょう!!!」と提案した。

すると女性は「あ、あ、ああ」とショックで固まった。
私も「やっぱ、駅まで走ろ」と決意が固まった。

女性は私から小銭を借りるのを諦めて、後ろにいた気の強そうなガタイのいいお姉さんに「バス代を貸してください・・・」と訊ねた。
するとお姉さん、大きい声で「貸さない!」とキッパリ断った。隣にいた女性が「かわいそうだよ〜」とお財布を開けようとしたのを制止して、お姉さんは大きな声で「貸しちゃダメ!こういうのはクセになるから!頑張れば歩けんだしな!歩き!」と一蹴した。
50代の女性は、そのまま肩を落としてバスの列に並んでいた。

バスも来ないし、この場の空気もすんごく悪いので、私はとっととジョグ&ウォークで駅に向かうことにした。

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マクドナルドで軽食してから駅に向かうと、先程の50代の女性が、改札付近で駅員に泣きついていた。

「お願いです〜。帰りの切符代がないんです〜。でも電車に乗らないと帰れないんです〜」

駅員はキッパリと「それでは、電車に乗れません」と断ったが、なかなか彼女は諦めなかった。ずっと説得している・・・。
駅員の仕事も、いろいろ大変なんだなあ。


※ 下記サイトより引用
「返すつもりもないのにお金を借りるのは、寸借詐欺にあたります。たとえ少額であっても、これは立派な犯罪です」


不運な人を助けるための活動をしています。フィールドワークで現地を訪ね、取材して記事にします。クオリティの高い記事を提供出来るように心がけています。