見出し画像

星降る夜に出掛けて来たよ

※ネタバレ含みます。要注意。


まず、観劇に至るまで

昨年より冬眠しっぱなしで仕事さぼりがちなFC自名義により落選続きの日々ですが、なんと今回ご縁があり観劇できることに!
しかもそのきっかけがSNSでフォローしている絵師さん(でいいの?)。とても親切な方でこちらの要望も聞いてくださり、迅速かつ丁寧にご対応いただきました。改めて感謝。すごいぞTwitter。現代文明の極み。ツイ廃民で良かった。

事情により日帰りだったため午後に現地入りし、そのまま錦市場とその周辺で1人食い倒れツアー敢行。そして劇場近くの神社で「千穐楽まで無事に駆け抜けられますように」と参拝してまいりました。


開演早々よぎる不安

劇場入りして買い物やお手洗いを済ませ、真夏日の外気にすっかりやられた身で空席のないロビーで待機はしんどいため開演30分前と早いけど客席へ…って、周囲は自分以外の皆さん既に着席済みではないですか。お早い。何故そんな早いの皆さん?スマホは電源落とすの前提だから開演ギリギリまでいじるのは何か嫌だし、パンフレットは観終わってから読みたいし、できれば開演10分前くらいまでロビーでのんびりぶらぶらしていたい派なのですよわたくしは。
まあそんなこんなで、劇場の造りなんぞきょろきょろ見渡しておりました。ちなみに座席は3階の左1列。舞台の下手側ですね。横から観る構造でした。

座席の位置と構造上、舞台の下手寄り3〜4割が見えません。
つまり役者さんが上手〜中央で演じているときは問題ないのですが、下手側に移動されるとまったく見えないんです。声のみ。
それでも想像力を膨らませて今何が行われているか補うことはできるはず…と思い直しましたが、ここで問題が。

舞台寄りのお隣さん、とにかく前のめりになったり手すりを掴んだりする人でした。


お願い隣の人、前のめりにならないで

こうなるとくっきり黒い影となって余計に見えない。少しでも推しの姿を拝みたい気持ちもわからんでもないのですが…(余談ですが同担ではなく先輩のファンだった模様)。
自分はそれなりに観劇歴がある人間なので「基本、観劇中は座席に背中をぴったりくっつけましょう」とのマナーは叩き込まれてきましたし、ここぞとばかりに着物をチョイスしても寄りかかれるよう帯の結び方は気をつけています。
今回は劇場側からの注意喚起もなかったので(たぶん)、知らなくても責めるつもりはないですが、例えばその人に倣って自分も前のめりになったら今度は反対側の隣の人が見えなくなりますよね。…うん、やっぱり良くない。
ということで、あまりに前のめりになったときには都度そっと触れて下がるようお願いさせていただきました。嫌だったでしょうね。でもお互い様ってことで、どうかひとつ。


第一部。星の王子様さま、降臨

前置きが長くなりましたが、遂に登場です。
砂漠の真ん中に不時着して途方に暮れる青年の独白と歌から始まり、そこへ突如現れた王子。真っ白な衣装とマントを纏ったすらりとしたスタイル、ゲネプロの写真よりも少し伸びたように見える髪(髪型変えただけかも)。演出の方に教わったという、背筋というか身体全体をぴんと伸ばした美しい姿。しなやかにマントを翻す所作。真っ直ぐに想いを伝える言葉。柔らかく歌い上げる声。そのひとつひとつがまさしくイノセントの象徴で、そんな彼がいつしか青年の「目に見えないものを見る心」を導いていったのですね。

印象的だったのは、星空の下で眠るシーン。舞台の中央で、青年と数多の星に守られて眠る姿はただただ庇護欲を掻き立てられまして(表現がアレですが)まるで世界が一体となって、彼を優しく包み込んでいるようでした。
そんな彼が、今度は眠ってしまった青年へ歌を捧げるのですが、こちらは青年を始めとする世界中のすべて…何なら宇宙までへも解き放つような、ピュアな表現力が劇場全体に広がっていました。


第三部。悩める男、登場(前半ほぼ見えず)

青年の歌(姿は見えませんでしたがおそらく板付き)から始まり、バーで女性へ語りかけるも理解されずうんざりしているところに悩む男を見つけた青年はそちらへと向かうのですが、声がするまで舞台上にいることすら気づきませんでした。見えなかったもので…。暫し、2人のやり取りは声のみ。少しずつ下手から上手へ動くとともに見えるようになり、初めてキャスケット帽を被る姿が確認できました。と同時に、幽霊と妖怪に憑かれている様子も。
1人悶々と悩んでいた男は、青年と真剣に言葉を交わすうちに気持ちが晴れ、また青年も男と語るうちに清々しい気持ちになってゆく。孤独だった者同士が絆を深め、いつの間にか姿を消していた取り憑いた者たち。そして満天の星空。2人の心を象徴するかのような星々は、客席の天井まで広がっていてとても美しかったですね。


ソロそして3人でのフィナーレ。アイドルがいた

お芝居のあとは1人ずつの歌唱、そして3人でのフィナーレ。
それぞれの色気だったり憂いだったり孤独だったり…を表現する中、最年少でありいちばんの後輩である彼はどちらかというとコミカル。もちろん色っぽさも格好良さもありましたが、選曲も相まってクスッと笑えるような愛嬌を振りまいていました。
フィナーレではまさに「アイドル」。映像でしか観たことのない、きらびやかな衣装を身につけて歌い踊る姿はとにかくキラキラでキュート。うわ!すげぇ!あぁこれが職業としてアイドルを選んだ男か!と妙に感慨深くなったものでした。何目線だよ。
カーテンコールでは下手側に寄ってきてくれるときに見えない、というシュールな展開に見舞われましたが、上手側そして中央で深々と頭を下げる真摯な姿はとても印象に残っています。2ステージ目で疲れもあっただろうに、最後までやりきった…!という表情でした。


先輩方も凄かった

まず髙木先輩。おそらく登場シーンも台詞も歌も最多でしたが、長身でありながらごく自然な佇まいが逆に存在感を放っていました(どう表現したらいいか難しいんですけどわかります?)。木訥さで表現する孤独や哀しみ、優しさ。かと思えば歌唱シーンで突如放たれる大人の色気。これは自担くんもお兄ちゃんと慕う気持ちもわかりますわ。
続きまして優馬先輩。二幕の登場から「あ、発声が違う!」と度肝を抜かれました。いちばん笑いも取ってたし、堂々とした佇まいといい、こりゃ相当な場数を踏んでるな、と。とにかく身のこなしが綺麗。正統派ですね。そして眼力と色気が凄い。本当に自担くんと同い年か?さすがかつて自担を姪っ子と表現しただけある。甥っ子じゃないんか。
そしてアンサンブルの方々。影となり、女性となり、幽霊や妖怪となる変化自在でしなやかな表現。あの方たちの存在無くして、この舞台の成立はなかったと思います。


願わくばもう一度、そして

全体的にとても満足できる内容でしたが、余計なものを削ぎ落としたシンプルな演出だったので、所見では難しいシーンもありました。
2回、3回と観るうちに理解できる場面も出てくるかと思うので、できればもう一度観たいです。次は大阪か。頼む自名義…ていうか関東でも上演して…。

そして、願わくばもっと長時間、じっくり観たいですね。特に星の王子さま。原作も好きなもので…。苛立ちを露わにする青年、泣きわめく王子、それぞれの心に潜む孤独な心…などなど、優しいだけじゃない様々なシーンが演じられたらどうだっただろう?なんて、密かに想いを馳せています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?