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法人営業で成果を上げるための新しい方法。

根性論では何も解決しない。

私は法人の新規開拓営業をしています。

一日50件の企業訪問をしても、お客様とまともに話しができるのは2-3件です。一日に100件の営業電話を掛けても決裁者が電話に出てくれるのは10件もありません。

私は長い営業経験から、断られるのは当たり前だということは理解していますが、それでも何日もこんな日が続くと疲れてきます。

営業マンにとって売る相手が見つからず、ずっと相手を探している状態は非常につらいものです。

しまいには、「この商品を欲しがっている人は果たしているのだろうか?」とか、自分は「何か大きく間違ったことをしているのではないだろうか?」という考えが浮かんでくることもあります。

同じような経験をしている営業マンが結構いるのではないでしょうか?

ほとんどの市場でモノやサービスが飽和状態です。           お客さんは、もうお腹いっぱいです。                 満腹状態の人に「もう一杯いかがですか?」とアプローチをしたところで好意的な返事が返ってこないことは誰にでもわかるはずです。

この状況で上司が、営業マンに「根性で結果を出せ!」といくら言ったところでなんの問題解決にもなりません。根性論でも短期的な結果は出るかもしれませんが現場に無理がかかるだけですので、いずれは破綻します。

常識的な代表者や役職者ならわかるはずです。


売れないときのほうが一生懸命やっている。

私の経験上、売れている時はほとんど苦労していません。

お客様の方から受注の声が掛かります。
商談は、引っ掛かりがなく交渉はスムーズに進みます。お客様は営業マンを信頼していますし、その商品が必要だからです。

例えば、既存顧客への商談では細かい商品説明や、値段交渉などはありません。「君に任せるよ、必要だからうまくやっといて」という感じです。

売れない時は違います。                       何十件も訪問を繰り返し、何百件も電話をします。

売ろうとすればするほど、お客様は断ってきます。           強く売り込まれるほど嫌になるからです。

このことから、

数多く、強く売込むこと = 売上が上がる。

は間違いであることがわかります。

では、本当に売るためには、どんな努力をすれば良いのでしょうか?


売るための正しい努力とは何か?

先ほども書いたように、売れる時は

①お客様から声が掛かる。                      ②営業マンが信頼されている。                    ③ニーズがある。

とう要素があります。ですからこれを満たす状況を作り出すことが、売るための正しい努力ということになります。ひとつずつ考察してみます。

①お客様から声が掛かるためにはどうすればよいのか?

当然ですが、お客様が営業マンを知っている必要があります。お客様の状況がその商品を必要とするタイミングや、関連する出来事での不安や不満が起こった時に、営業マンの顔が浮かんでくる状況を作りだしておく必要があります。

お客様に覚えていてもらう必要があります。

ザイアンス効果というのをご存知だと思います。            知らない人に対しては攻撃的な態度をとる・接触回数が多いほど親しみを感じる・相手の人間的な側面が見えると感情が深まるなどの心情を示すものです。 ですから、何度も顔を合わせて顔見知りになっておく必要があります。

もう一つ、心理学でいわれる「好意の返報性」も必要です。       人は、人から何かをしてもらったりもらったら、何かを返したくなるという法則があります。ですから、相手のためになることを先に考えてあげることが必要になります。


顔写真とプロ―フィル付きの名刺で信頼関係を築く。

②営業マンが信頼されている。

お客様の信頼を得るための工夫をひとつご紹介します。

今のお客様は、どんな商品を「誰(どこ)から買うか」を選別します。モノを手に入れる手段は無数にあり、買い手は自由に選べる時代だからです。

どうせ買うならこの人から買おう。この店で買おうと思ってもらう必要があります。

そのためのツールとは自己紹介チラシ&名刺です。自分を覚えてもらうためのツールを作成しましょう。できれば名刺に顔写真やプロフィールを記載するのが良いです。チラシは捨てられることが多いですが、名刺は保存する人が多いからです。積極的に自己開示して、「この人は信頼できる特別な人だ」という気持ちを持ってもらうツールとして有効です。

名刺に記載した方が良い項目は、出身地や出身校、家族構成、趣味、キャリア、将来の夢、自分の気持ちなどです。


お客様にニーズが起こるタイミングを見逃さない。


③ニーズがある。

お客様にニーズが出てきたタイミングを見逃さないためには、「将来ニーズが起こる可能性があるか?」 ということと、「ニーズが起こる前兆」を見極めることが必要だと考えます。

そのためには、見込顧客の情報をしっかり管理することが必要です。

まず、「将来ニーズが起こりうるお客様かどうか」の判定についてです。私の場合は、法人営業となりますので、顧客企業の設立年数が5年以内であることを目安にしています。理由は、設立年数の浅い若い企業の方が、将来的に状況が変わる可能性が高いこと。現在の取引業者との年数が浅い方が、業者を変更する可能性が高いのではないかと考えるからです。

業歴が長く、成熟業界の企業で、取引業者との付き合いが深い場合は、よほどのことがない限り、チャンスは巡ってきません。可能性から言って深く追いかけるメリットは薄いと考えます。

「ニーズが起こる前兆」の見極めについてですが、これには中長期的な定点観測を行う必要があります。見込客の人やモノなどの状況の変化に注目します。例えば、「人」に注目した場合、従業員が増えた、社長が変わった、担当者が変わったなどの変化を見ます。「モノ」の場合は、事務所を移転する、支店を出す、車を買い替えた、などの変化に取り扱い商品のニーズがないかを考えます。

但し、この中長期の見込み客管理は、私を含め営業マンは苦手なことが多いです。営業マンは目先の売上ばかりを見ていることが多く、どうしても先のことを後回しにしがちです。

ですから、顧客管理には無理なく続けられる工夫が必要です。

自分が続けられる顧客管理方法を探す。

私は若い頃、訪問した企業の情報をメモ帳に書き込んでいました。現場で書き込みますので走り書きです。どんな会社で担当者は誰、状況はどうだったというようなことをメモして、次のチャンスに活かそうとしました。

でも大抵の場合、その控えメモが役に立ったことはありません。メモの管理が悪く、失くしてしまったり字が読めなかったするからです。

私は20年ほど前、この状況を改善するためにシャープのザウルスという電子手帳とデスクパソコンを購入しました。
当時35万円くらいしましたので、私にとってはかなりの投資でした。
目的は、営業現場でザウルスで顧客入力をし、自宅のパソコンに転送すれば楽に効率良く顧客情報の管理ができると考えたからです。

購入の翌日、早速10件ほどの顧客情報をザウルスで手書き入力してみました。当時の手書き入力はあまり精度が良くありませんでした。      何度も書き直ししたり、漢字の変換を修正したりしなければなりません。しかし、紙に書いた情報をパソコンに入力し直す手間を考えるとこれしきの手間が必要だと自分に言い聞かせてなんとか情報を打ち込みました。

その日の夜、自宅に持ち帰ったザウルスをパソコンの前にセットして、赤外線通信で転送を試みた。手順通りに操作を行うと、転送中になった。「これでよし! 」と思いながら画面をしばらく見ていたが、3分ほど経過しても変化がないので、夜食ために席を離れた。
20分ほどで食事を終えて、転送が完了したかを確認するが転送中のままだ
先に風呂に入ることにした。約30分後、もう一度確認するがまだ転送中のままである。大方1時間は経っている。10件のテキストデータでさすがにこれは時間がかかり過ぎである。設定ミスを疑い、ザウルスを少し動かしてみると通信エラーとなった。

もう一度接続手順をやり直した。
再設定後、約2時間で転送が終了した。

考えられない遅さである。
たった10件程度のデータ転送に2時間。いくらタイピングが遅い人でも自分で打ち込んだ方が早い。
結局ザウルスはその後、ほとんど使われることがなかった。


それから20年後。

現在は、現場情報をipad で入力している。Day entry というメモアプリで入力してEvernoteに転送している。
入力するのは会社名と電話番号、取ったアクションだけである。
現場で入力するのに時間をかけたくないからだ。
アプリがGPSと 連動しているので、住所を記入しなくても所在地がわかる。留守や決裁者不在がほとんどなので、時間をあらためて電話する。

電話で状況を聞き、見込客になりそうな顧客の場合は、googleスプレッドシートに入力して、中長期のアプローチ用としている。

定期的に、訪問、メール、DMなどでコミュニケーションを取り、その日付と内容を記録している。


最先端の営業手法はインサイドセールスとの分業


インサイドセールスという言葉を聞いたことがあるだろうか?

マーケティング手法の先進国アメリカでは顧客とつながりを持ち、育てる役割をインサイドセールスといい、商談やクロージングのために客先へ行く営業をフィールドセールスと言って役割分担されている。

昔の狩猟型の営業では、思うような成果が得られず、成果を上げるためには、中長期的な顧客との関わりが重要だと考えられているからである。

米国におけるインサイドセールスの合計成長率は成長傾向にある。
縦軸は非小売業のインサイドセールス担当者の増加数を表している。

参照元:Inside Sales Growing 300% Faster Than Traditional Field Sales

まず、インサイドセールスが見込み顧客のデータベースに電話をし、ヒアリングを行います。その時はまだ、商品の購入に至らなくても、情報提供などで連絡を絶やすことなく関係を維持し、「そろそろ提案したら受注できるのでは」、という顧客の関心が高まった段階まで育成する役割を担います。

営業部門の人員増減を比較したグラフによると、フィールドセールスは減少傾向にあるがインサイドセールスは増加傾向にある。

参照元:Inside Sales Growing 300% Faster Than Traditional Field Sales


その後、選定された顧客をフィールドセールスに引き渡します。その際に、顧客のニーズがどのように顕在化したか、その経緯を情報として伝えることで、スムーズに営業活動や商談を行えるのです。

新しいモノを作って売るのが難しく、思うように売上が上がらない時代の営業手法として、営業の分業化は必然の流れのように思えます。サッカーなどのスポーツ選手が個性を活かした役割分担があるように営業マンも細分化し、協力してチームで業績を上げる時代に突入しているのではないでしょうか。




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