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8050地域情報交換会【2022年6月15日】

ゲストに、桜美林大学 健康福祉学群金井玲奈先生に登壇いただき、地域で立ち上げた子ども食堂、親子の居場所事業(おむすび食堂、冒険遊び場おむすび他)につての事例を共有していただきました。

おむすびFacebook 

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金井先生より事例報告
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・おむすびは、2022年で4年目を迎える。2022年1月に一般社団法人化した
・書籍『社会的処方: 孤立という病を地域のつながりで治す方法』(学芸出版社)が参考になる。
・自分の良さを出せる場ではないと「居場所」にはならない
・子ども食堂は初心者だったが実際にやってみたら、こんなにも助けてくれる人や賛同してくれる人がいるんだと感動した
・はじめたら、誰が来てもいいように、細々とでも長く続けることにしている
・一人ひとりに役割があるように環境を整える
・「市民活動だからこそできる事」を考ている
・続けることで人とつながれて、できること・やれることが増えてきた
・「よいしょ!」と踏み出さないと参加できないハードルがあると参加できない。ふらりと立ち寄れる場所で子育て相談ができるようにと思いスターバックスで「ゆるやカフェ」をはじめた
・大切にしていることは、「継続すること/ふらりと立ち寄れること/スタッフが楽しそう/役割があること」の4つ
・スタッフのがんばらなさ加減があることで、来てくれる人もリラックスして過ごしてもらえると感じる
・同じ思いを持っている人や団体とつながれることで、強くなれる
・つながりをつくれる人(リンクワーカー)がいることが大切
・目をこらして「この人はここにつながるな」「この人とこの人はつながるといいな」という視点を皆で持ち続けることが大切だと思う。


質疑応答

Q1:親子の居場所事業の中で、障がいがある方への対応はあるか?もしくはどれくらい障がいがある方が来ているのか?
A1:ゆるやカフェは、毎回1~2人ほど「育てにくさ」を感じている親子がいらっしゃる。「場」(受け入れる場)がしっかりできていれば、どんな子が参加しても大丈夫だと思っている。そういう場があれば、お母さんも子どもが騒いでも大丈夫と思えるし、そこに参加しているみんなで子どもの良いところ探しができる。スタッフ側はそういう場になるよう、子どもと一緒になって遊ぶことにしている。

Q2:焚火を囲むような静かに話せる場を作っているのか?
A2:ピアサポートというよりは、子どもと一緒に遊びながら保護者の方と話をするという場面が多い。

Q3:「自分の良さが出せるところをみつける」「役割がある」という言葉が印象的だった。スタッフが力まない場を作るとおっしゃっていたが、どのようにしているのか?
A3:「子育て支援」という言葉を使いたくないと思っている。支援している人/支援される人という立ち位置を取りたくない。
なので、自分が大学で研究している立場であることをあえて言っていない。また自分から自己開示をすることで、皆さんが自分を出しやすい場づくりをしている。心の底から「ともに楽しむこと」をできるように心がけている。

Q4:専門職と市民活動とはどのようなブリッジがあるといいと考えるか?
A4:専門職がもつ固定概念を少しずつ崩していく事も大事だと思う。例えば診療のあとにその地域でお昼ご飯を食べて帰るなど、少し心を配ればできることもある。まちの情報を知っているキーパーソン情報を少しずつ持っていることで、専門職からもつながりを作ることができるのではないかと感じる。

Q5:対話をする中で自己開示をしているとお話しされていたが、金井さんだけか?メンバーも同じスタンスでいるのか?
A5:スタッフもそれぞれの個性をもった中で、自分たちなりの自己開示をしている。

Q6:市民活動をしている時の自己開示と専門職の自己開示は同じか?
A6:一緒。あえてそこに区切りを付けてはおらず、「ごちゃまぜ」でやっている。

Q7:4年間やってきた中で苦労した場面もあったと思うが、続けていく秘訣は何か?
A7:自分たちがしんどいと続かないので、無理はしないことを肝に銘じている。やってみよう!つながってみよう!という気持ちを常に持っている。

Q8:「自分らしくいられるところ」が居場所とおっしゃっていたが、その場に行けない親子に向けて考えていることはあるか?
A8子ども家庭センターへは居場所の情報を載せたチラシを渡しているので、必要に応じて情報を提供してもらっている。今後はここにいらっしゃるような専門職の方とつながることで、アプローチの幅を広げていければと思っている。
例えば、食料配布の際に食材を多く持ち帰る人がいたら、個別のアプローチをしていく等ができればと思う。

<参加者の感想>
・自分たちは高齢者支援センターにいるので、「高齢者がいればどこでも行ける」と思って日々活動をしている。専門性とオープンな場を行き来しながら、場所や取り組みとしての魅力を高めることで、まだ出てこれない人へのアプローチにもなると感じた。

・さまざまな障がいや困難を抱える人から「まず必要なこと」として聞かれる「居場所」。でも8050の「80」の人は、「療育」「健全育成」などは毛嫌いされる言葉。そういう方こそ本物の「居場所」がとても必要だと感じる。あらためて「居場所」というのは、しっかりと考えていかなければいけない深いテーマであるなと実感した。

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