ゴキブリを飼った話

「G」
ジャイアンツではない、別の意味。別の意味の「G」。
小学生の頃、3億年も前から地球に生息すると知り、(へぇ~っ)
感心した(?)が、多分、好きな人などこの世にいまい。
その手の会社に勤めているか、或いは研究者であれば「仕方なく」
観察する程度の物体、もとい。一応は虫なのだ。

主(しゅ)として、やはり台所だろうか?下駄入れにもいる。
家じゅうのあるとあらゆる所に生息、なりを潜める「G」。
ゴキブリ。
「キャギャッ!ゴキブリ!」
<がんばれ!ロボコン>を思い出すが、その「キャギャッ!」
山本圭子さんボイスが光った、ロボコンが大の苦手とするゴキブリを、
あろうことか虫かごに入れてまで愛でた(?)バカ母子がいる。
かつての我が家だ。

少なくても、昭和30年代ぐらいまでの群馬県。
上州には、ゴキブリがいなかったらしい。
亡母は生まれも育ちも、群馬県人。生まれも育ちも某しである。
結婚しても、同じであった。わたしと妹も、群馬県生まれだ。
夫(我々の父親)の転勤で、千葉へ移住が決まった時、怖かったと言う。
わたしの幼年時代の終り時分だ。

団地であった。かなり古い4階建て。関東で一番最初に建てられた、社宅らしい。
備え付けの下駄入れに、変な虫がウヨウヨといる。
「鈴虫かな?」
素朴な疑問を発した妹に、いとも簡単に、母は言ったのだ。
「そうだね、きっと。虫かごに入れて飼ってみようか」
「うん」
嗚呼!ゴキブリを鈴虫とは!
翌日、母が虫かごを飼ってきた。緑色のだ。今でも売っている。
にこにこしながら、妹が「G」。ゴキブリをかごに入れる。
「いっぱいいるねぇ」
「毎日、増えるねぇ」
「何を食べるのかなぁ」
「さぁ」
ゴキブリ観察に夢中になる、バカ母子!嗚呼!

一週間ぐらいして、隣の家の人から真実を聞かされた時の、母親の顔と言ったらなかった。
「キャギャッ!」なんてどころの騒ぎじゃない。
「捨てなさいッ!」
「病気になるッ!」
「バッチィッ!!」
とても同一人物とは思えない程だ。

ああ、、、、知らないって怖いわね。

余談だが、全ての昆虫の目鼻立ちって、元を辿れば、「G」。ゴキ様のような気がする。



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