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陽が暮れて途方に暮れる

今月中旬に高校生と保護者の方に「福祉の仕事と魅力」について話すんだけど、ひと言で言うなら、こんなクソったれな世界でも生きていて良かったと思えるようにするのが福祉の仕事であり、それを実感できるのが福祉の魅力です。普通の暮らしを支えるってそういうことです。

認知症婆様が自分と折り合いつくまで毎晩玄関で朝が来るのを待つんです。やがて諦めて自ら布団に入るんです。中途半端な気休めは彼女を傷つけます。だからほっておきながら時々目をかけます。すると、今度はなぜほっておくんだと怒られます。怒られたら一緒に帰る方法考えます。諦めがつくまで毎晩一緒に付き合います。もし帰りたくなくなったらそれはそれで心配です。帰らなきゃいけないって言いながら泊まる事に意味があるからです。
1人で悩み2人で悩み3人目で仲の良い婆様が声をかける。
もう今日は泊まっていきな。私も泊まるよ。
諦めとは明らかにすること。
今日は帰れないと明らかになると穏やかな夜がやってくる。今日もまた帰れなかった。でも私は1人ではない。そう思いながら床につく。すると明日がやってくる。明日はまた新鮮な1日がはじまる。繰り返し繰り返し途方に暮れながら、少しずつ自分と折り合いをつけてく。折り合いがつくまで僕らも一緒に待つ。今日もまた陽は暮れていく。

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