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独楽俳句

黄金の案山子の影に鳩卵

黄落す精神の山秋刀魚飯

山城を明け渡すのか秋の蝶

秋天の牛乳瓶の底青海湖

フスマの戸開けてはならぬボラの群れ

秋に靴脱ぎ捨てられて無人窟

背もたれに滅びの美学生パスタ

百舌来るランドセルには丸い螺子

脳天に朝陽照らされ蛸壺へ

青空に出自変えたき南瓜蹴る

冬の雁背中歩いて羽根配り

足先に小鬼集まり梅小玉

早駆けの馬の茎あり安達ヶ原

八重歯抜く男が試す風車

箸の先芋と豆だけ流れ星

カモシカが鍋の底にて歩く家

分度器が三校時目に虹を呼ぶ

薔薇咥え種を盗みし寒卵

入れ墨す大人の鷹のB面に

縄梯子頭の裏で冬垂らす

大寒を天麩羅にせし箸の冷え

靴無くす青空の道花八つ手

冬蝶を懐にいれ居眠りす

黄金の竹馬に乗る猿と兄

奈落では海鼠の影が海鼠生む

時代とは電気炬燵の板に乗り

鮟鱇の脳みそひとつ雪ふたつ

初雀国道沿いの古本屋

独楽一つ何億個もの無意味さも

新春を数え止まずに寒雷や

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