和合亮一

詩人 「未来の祀り」/М×М×TOKYO 発起人  毎日新聞・共同通信・産経新聞・河北…

和合亮一

詩人 「未来の祀り」/М×М×TOKYO 発起人  毎日新聞・共同通信・産経新聞・河北新報・福島民報新聞や雑誌などに連載中  ラジオパーソナリティー(RFC、KBS、HBC) 新作随時掲載中 → http://wago2828.com

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    作詞のスケッチを集めています

  • 詩ノ梯子

    詩の礫

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雨がやさしさを降らせているままに

 雨がやさしさを降らせているままに空は目を閉じて わたしはずっと話しつづけたいのに 風がこの部屋を出ていってから ずっと独りぼっちで 世界をつつみこむような 孤独といっしょに 口ずさむのだ 光と雲と海と大地の歌を それはわたしもあなたも知らないメロディ これから出会う鳥の羽の白さ         雨がかなしみを降らせているままに空は目を閉じて わたしはずっと話しつづけたいのに 風がこの部屋を出ていってから ずっと独りぼっちで 電話をかけても いつまでもつながらない人がいて 心

    • 野原でそっと揺れている木は孤独だ

      野原でそっと揺れている木は孤独だ、風は手のひらと葉裏とを連れてくる、いろんな寂しさが吹かれている、静寂の音楽が高鳴ると、見えない四本足が、しなやかに駆け抜けていく、雲の涙に濡れるようにして、茨の冠を頭に飾って、無人の5月が急ぎ足で、心にひづめの跡を残していって、ハイヤ、ハイヤ。  野原でそっと揺れている木は孤独だ、風は音楽のミューズを招いて、その歌声はたおやかでこぼれるほどの光を降らせて、独唱が終わるとどっぷりと陽が沈んで、雲の涙に濡れるようにして、茨の冠を頭に飾っ

      • お知らせです

        和合亮一オフィシャルホームページ ほぼ2年ぶりに 更新いたしました 書き下ろしエッセイ「本棚の前で話しませんか」を新作24本(!)と ショートエッセイセレクション「小さな窓を探して」を17本(!) 計41本 先ほど一挙掲載となりました → http://wago2828.com

        • 歌でも歌いたいところなんだけど

          歌でも 歌いたい ところなんだけど  窓にもたれて  夜が更けていくのに  まかせて  口笛を吹いてみる  心の中で  ずっと  風が吹いているから  口をすぼめて  息を  優しく  涙が出てくるね  × さびしさは  果物の内側にある  それを探し当てたくて  わたしはナイフを入れる  甘い果肉も  したたる汁も  いらない  たった一個の  泣きたくなるような  種子が  真ん中に  確実に  あればいい  皮を剥けば  涙が流れる  × あきらめることに 慣れてしまっ

        雨がやさしさを降らせているままに

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        • 詩ノ梯子
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        記事

          ナイフ

          さびしさは 果物の内側にある  それを探し当てたくて  わたしはナイフを入れる  甘い果肉も  したたる汁も  いらない  たった一個の  泣きたくなるような  種子が  真ん中に  確実に  あればいい  皮を剥けば  涙が流れる  白い秋だ

          風が吹くのを待つのではない こちらから吹かせるのだ  告知 ふくしまからこえをあげる 「未来の祀り」  8月27日(土)午後1時から 福島市 本法寺にて 詳細 http://www.mirainomatsuri-fukushima.jp/

          風が吹くのを待つのではない こちらから吹かせるのだ  告知 ふくしまからこえをあげる 「未来の祀り」  8月27日(土)午後1時から 福島市 本法寺にて 詳細 http://www.mirainomatsuri-fukushima.jp/

          風が吹くのを待つのではない こちらから吹かせるのだ  イベント告知 ふくしまからこえをあげる 「未来の祀り」  8月28日(日)午後1時から 福島市稲荷神社にて 詳細 http://www.mirainomatsuri-fukushima.jp/

          風が吹くのを待つのではない こちらから吹かせるのだ  イベント告知 ふくしまからこえをあげる 「未来の祀り」  8月28日(日)午後1時から 福島市稲荷神社にて 詳細 http://www.mirainomatsuri-fukushima.jp/

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          静かな音楽のあとで

          詩 和合亮一 曲 伊藤康英 歌 見角悠代

          静かな音楽のあとで

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          静かな音楽のあとで

          静かな音楽のあとで わたしたちは 語りださなくてはならない どんなに それぞれが 小さくて弱い人間で ひとつひとつのことに傷ついているのかを 静かな音楽のあとで わたしたちは 語り 涙を拭かなくてはならない どんなに とめどない 悲しみが眠っていて ふとしたことでそれがあふれてくるのかを 静かな音楽のあとで わたしたちは 語り 手をにぎり わたしは木となり あなたは風となり わたしは枝と葉をなびかせ あなたは わたしを いつまでも揺らしている ああどう

          静かな音楽のあとで

          圏外へ

          「生活圏外の森林は除染しない方針 土砂流出など懸念」 (2015・12・21)  生活圏とは何ですか  生活圏外とは何ですか  たとえば日本圏とは何ですか  日本圏外とは何ですか  現在 〈生活圏外〉よりイノシシなど  多数の野生動物が  〈生活圏〉へと移動してきています  この動物は〈動物圏外〉ですか 私たち日本人はあの日から幽霊と暮らしています  巨大なものの影と暮らしています  誰の幽霊  誰の影  それは日本人そのものです 日本人の幽霊に

          和合亮一 開沼博 JFN 全国ネット「サードプレイス」「この震災を語る本当の言葉を探して」ノーカット版 ポッドキャスト配信中→ http://www.jfn.jp/News/view/place_wk/33338

          和合亮一 開沼博 JFN 全国ネット「サードプレイス」「この震災を語る本当の言葉を探して」ノーカット版 ポッドキャスト配信中→ http://www.jfn.jp/News/view/place_wk/33338

          エッセイ「駅から駅へ」

           横並び。私の右側では、大学生らしい若者が二人、何も語らずに席に座っている。一言も言葉を交わしていない。すぐ隣の彼は「ティファニーで朝食を」を熟読し始めて。もう一人はスマホで「ぷよぷよ」を熱心にやり始めた。いつまでも会話はない。  しばらくすると本から顔を離して、少しだけ首をかたむけてきっぱりと言った。「ガム食べる?」「いらない」。そしてまた二人は、押し黙ったままでそれぞれの世界に没入していった。両者の沈黙は、同じ場所へ行くのだということを、硬く約束しているかのようである。

          エッセイ「駅から駅へ」

          エッセイ「その子守唄に耳を澄ませたい」

           「ふるさとは遠きにありて思ふもの/そして悲しくうたふもの」。中学の頃。机の上で国語の教科書を見るともなしに眺めていると、母が後ろから覗き込んできた。この世に数多くある詩の中で、これが一番好きだと言った。ちなみに母の故郷は隣町であり、バスで三十分ぐらいの道のり。例えばどんなに近くたって、簡単には帰れないものなのよ…。そのような会話をしているうちに、この二行から静かに染み入るような慕わしさと寂しさとが、少しずつ感じられてくるような気がした。  いつも気丈で明るい母も、このよう

          エッセイ「その子守唄に耳を澄ませたい」

          エッセイ「少し歩いていった先に」

           キンコンカンコン。チャイムの音は教師をしていて、いつも傍らにある。時の知らせ。正確な音。授業開始、休み時間、清掃…。  教室にいるたくさんの人々が一斉に行動を開始する。例えばただいま現代文の授業を担当しているが、話し足りないことがあったとしても、切り上げなくてはならない。   少し歩いていった先に学校がある。たまに代休などがあって、平日に家にいたりすると、学び舎のチャイムを耳にする。  晴れた日は書斎の窓から吾妻の山を眺めるのが好きだ。こだまして届いてくるかのようだ

          エッセイ「少し歩いていった先に」

          心のなかで 火が燃えている 誰かと話していると いつも熱い思いがこみあげてくる これが情熱なのだということに気づく 胸のなかで 火が燃えている 何が正しいのか 間違っているのか それが分かってくるといい 正しさは煙をあげないと見えないものだから 言葉のなかで 火が燃えている 傷をつけてはいけない人に 出来るだけ やさしく話しかけたい 話したいことをあぶりなおしている 手のなかで 火が燃えている 別れ際に あなたと手を握ると あなたも同じぐらいの力で

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          中澤沙央里ヴァイオリン・コンサート 「シャコンヌ ~そこに響くもの~」:トーキョー・ストーリー2014 第3期

          中澤佐央里さんのヴァイオリンとのコラボレーション 無声音のリーディングを試みました ワンダーサイト渋谷 - トーキョーワンダーサイトにて

          中澤沙央里ヴァイオリン・コンサート 「シャコンヌ ~そこに響くもの~」:トーキョー・ストーリー2014 第3期

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