見出し画像

失った左胸と向き合う時

去年の秋に乳がんで左胸の全摘手術を受けた。その後の抗がん剤治療などでほとんど家に引きこもっていたし、秋冬は重ね着が多く元々ボディラインの出る服は着ないので、片胸なことであまり困ることはなかった。抗がん剤の副作用でそれどころではなかったのもある。

ここ最近暑い日もありTシャツ1枚になることが増え、片胸が無いことを自覚することが増えた。重ね着でごまかすためにベストを数枚注文したところだ。胸のパッドもひとつ持っているが、洗い替えも無いのであまり使っていない。

最近見終わった海外ドラマは3人の親友たちが主人公。そのうちの1人が遺伝性の乳がんで、予防的に両乳房切除手術を受けた。アンジェリーナジョリーと同じ手術だ。同時再建をしているものの、新しい胸を受け入れるまでの葛藤が描かれている。

その彼女のように、私は胸を失った事実と真正面から向き合ってこなかったなと思った。全摘を選択したのは私だが、そのことで落ち込んだり泣いたりもしていない。

でもドラマを見ながら何だかすごく泣けた。本当は傷付いたり悲しんだりしていたのだなと思った。ただ傷跡を誰かに見せたり大浴場に入ったりと、片胸が無い現実を目のあたりにして本当に悲しむ場面を避けてきたのだろう。

薄着の季節、これから少しずつ無くなった胸とも向き合っていこうと思っている。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?