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なんでこんなに特別なんだろう。【#磨け感情解像度 × #おびコレ _Vol.1】

私設賞・note非公式コンテスト「#磨け感情解像度」の運営パートナーを務めるサトウカエデです。

6月1日からはじまった当コンテスト、1週間で22作の応募をいただきました!ありがとうございます。

「感情」という多彩な、でも形もなく目にも見えないものを、ひたすらに文章で表現しようというのがコンテストのテーマ。見事に色とりどりの表情豊かな作品が集まっています。

投稿作品はマガジンにまとまっていますが、「ああっ!まだ読めていない!」という方もいるはず。そんな方のために、第1週目に投稿された作品を、#おびコレ スタイルでご紹介します。(時差の関係により、今回はNZ時間6月7日23:59までに投稿された18作品が対象です。)

おびコレとは?
twitterシェア時につけるツイート主独自のコメント」を、書籍カバーの帯になぞらえてnoteの帯と呼び、帯の世界と可能性を探究してみようという、2019年10月に開催されたillyさんによる【自主お題企画】「わたしの好きなnoteの帯コレクション」 略して #おびコレ です。

作品への帯は、本コンテストの主催者・審査員のillyさんによるものだけでなく、私がTwitterを徘徊して「いいな」と思った帯も紹介しています。

※作品への帯の内容、および本記事での私のコメントは一切審査には関係ありません。


あきらとさんへの手紙4:私たちの競技スタイル by マリナ油森さん

西海岸から #磨け感情解像度 応募一本目!!剣と弓のメタファー、自動的に澄んだ緊張感が漂うのは文化的背景のなせる業ですね。しかしマリーナの緩急自在な間合いの詰めっぷり……willy/入谷 聡
はやぁぁぁい!!!!愛がすごい!!!(あ、このすごいって言葉も、解像度を上げたい)きゆか

コンテストの告知から5時間で #磨け感情解像度 の投稿一番乗りありがとうございます。

マリナ氏もお手紙の宛先であるあきらと氏も、当時から知っている私としては、にやにやしながら読みました。競技スタイルから弓道と剣道に例えて交わる二人のやりとり。行間に立ち上るのは「おまえ……やるな…!」みたいな友情と信頼なのかなと思います。

相棒みたいな関係性、すてき。


思うまま泣いて書いた君は by アンドゥ〜ジュン:5000兆人を面白くさん

「分かる人にだけ」と「もっとわかってほしい」の激しい葛藤。《青》と《かぼちゃ》の話、納得感あります。いろんな個性の武将がいるから、軍は強くなるんですよね。illy/入谷 聡
とても真摯な言葉たち。頷かざるを得ない感情の波が押し寄せてきた気分。七屋 糸

創作する人がぶつかる感情。そう思う気持ちは自分の中にもあるのかなぁ、と。青と涙の色を想像しながら、絶えず流れる川の行き先と、突き詰めた創作の形を見てみたいと思いました。


研究者の進む道 by umbellさん

折り重なる迷いの深さ……!しかしこうやって思考を克明に言葉にすると、不安が昇華されて前を向ける感じがしますよね(書くセラピー的な)。応援したくなるnote。illy/入谷 聡

スイスに留学中のumbellさんからの投稿です。ニュージーランドにいる私が言うのもアレですが、noteって国境超えてつながるからいいですよね。

ふたつの道で揺れた葛藤と滲み出た後悔。文章がある1点にたどり着いたとき、道が少しだけ前に明るくなったように見えました。書くなかで整理されて進んでいく思考を見せてもらった気分です。


不満 by れおぽん

#磨け感情解像度 は、詩を歓迎します。
「不満」って、エネルギーですよね。私の師匠も「プレゼンは、まず憤りリストを作れ。」と教える人でした。「不満」のほうが凝縮感のある2文字だと思う。燻ってる。
illy/入谷 聡

詩の投稿作品第一弾です。詩、大好きです。ありがとうございます。

「不満」という負の感情の捉え方を書いた作品だと思いました。ネガティブに思いがちな気持ちとどうやって付き合っていくのか。言葉がひとつの答えに向かっていきます。


ありがとうでは足りない気持ち by 船石 和花さん

"白くて淡くて柔らかな
そっと触れれば温かい"
読んでいてしみわたるような、じんわりくる「歌」です。触感と温度感、的確な描写だと思いました。
illy/入谷 聡

詩の応募作品2つ目です。感情の解像度を磨く表現方法に、詩はいいなあって思います。

やわらかな音がする小さな声のような詩。まさにことばにならない気持ちに、言葉を与えている詩だと思いました。夜にひとり呟くような、誰かを想って描く色彩が終始やさしかったです。


今夜も白い壁じゃなくて、顔を見て眠りにつきたかった by 左頬にほくろ

懐かしいタグがついてる(笑)
絶妙な距離で真夜中に逡巡する思考が、ひしひしと伝わってきます。不在/存在の対比が綺麗で好き。
illy/入谷 聡
そして、「書かないこと」がむしろ、よりいっそう、「そこにある」ことを際立たせる………(遠山エイコ

キナリ杯をきっかけにnoteをはじめられたという左頬にほくろさん。2つ目のコンテストに#磨け感情解像度を選んでいただきありがとうございます。

浮かび上がる白い壁の哀しさ。愛情とぬくもり。共に過ごす空間で感じでしまう不在の存在。「一緒にいるのにさみしい」を飲み込んだらこんな言葉になるのかな、なんて。静かなさみしさの書き方が美しいです。


掌編「名前をつけよう」 by 篭田 雪江(かごた ゆきえ)

名前って特別。たったひとつの大切なものになる瞬間だ。百瀬七海
ほっこりしたり胸がぎゅっとなったり。どんなお名前なんだろう。お二人の愛が込められた呼び名、どんどん馴染んでいくんだろうなMica Hirai

キナリ杯の最終発表が終わった直後のご投稿でした。ありがとうございます。#磨け感情解像度 の小説作品第一発目ですね!

車椅子の動きも主人公の心の揺れも、見えないはずなのになんで見えるのでしょう。その人だから書ける表現がきらきらしてます。目線の先にある伏線の張り方がさすがです……!


綴ることは麻薬で、命綱  by 戸崎 佐耶佳さん

"嫌悪感。猜疑心。悲哀。虚無感。衝動性。"
生きてるって感じしますね。書くことに「ゴール」があるというよりも、書くこと自体が生きること。感覚は似てます。
illy/入谷 聡

言葉でつづられる感情の種類は明るいものだけじゃない。だって、生きている様をつづるのが書くということだから。

言葉を綴る心象風景に深く深く切り込んでいる文章。滲み出す痛み。感情を言葉にする、自らの手で心臓を握るみたいな痛みがそこにあるみたいに感じます。


マリナ油森さんへの手紙 : noteの街で発見した"キラキラ" by あきらとさん

でたー『あきらと芸』。
"実際このときの俺は、きっと誰かに手をあげて欲しかった" っていう率直な自己開示がキモなのかなと読んでいます。
illy/入谷 聡

投稿1作品目のマリナ油森氏の相棒、あきらとさんのお手紙noteです。順調のあきらと芸(笑)

一緒に時間を過ごした相手に対して「あのときこう思っていました」っていう意図びらきを言葉でするの、とても贅沢で尊い感情表現だと思うんですよね。受け止めてくれる人がいるって、幸せじゃないですか。

言葉は、必要ですか? by サトウ・レンさん

7000字の原動力になれたようで光栄ですw
これ「『怒り』ではない真意」「違和感の正体」「太字語句の意味」「最後の1行」とかめっちゃ謎を残してますけど、全5話ぐらいで伏線回収するんですよね……?w
illy/入谷 聡

小説の投稿、しかもこの時点で一番の長文です。

タイトルに沿うように、セリフや描写からでは判別できない感情の答えを探してしまいそうになりますが。ただ、人生ってスラスラと心を明かす場面ばかりではないし。胸を燻る感情が言葉にならなかった歯痒さみたいなものを思い出させてくれます。だからこそ、人は人に惹かれるのかもしれない。

それから最後の太字。私はオムニバス形式が好きです。(投降後、連載の構成を練っているそうで、楽しみです)


傷つく言葉 つきつける by Raimi Moriyamaさん

聞きたい声が聞こえないのに、聞きたくない声ばかり耳に入ってしまうこと、ありますよね。
それにしても「歌詞」って文字で読んでも歌詞の顔してる。
illy/入谷 聡

作詞作曲をする Raimi Moriyamaさんから詩の投稿です。

歌われる前提の詩っていいですね。傷ついた君を見つめるもどかしさと、抱きしめる手に優しさと強さを感じる作品。この歌詞に曲がついたらどうなるのかな。想像する楽しみが広がります。


人の心がわかるということ by Akeji9さん

"でもね、そんな人も赤ちゃんの時は無垢だったと性善説を信じたいんですよ、僕は。"
はい。これ、最初の原則、と言えると思います。
illy/入谷 聡

「現在、過去、未来があって、どの部分が現在に一番影響を与えてるか?と問われれば」

答えを出したいのに答えが出ない問いってありますよね。人を構成するものはなんだろう。自答自問するなかで最後に出された一文に希望を感じました。

BUMP OF CHICKENが歌う「強さ」と「強がり」の境界線 by Mica(ひらいみか)さん

こんなにアーティストの心の海に深くもぐって、泳ぎ回って、拾い集めた言葉の光を、心を震わせる言葉に紡ぎなおせるって、ほんとにすごい。
これも1つのうた、だ。
ことふり
エルレやGLAYの記事もだけど、みかさんの音楽レビューにはいつも人生が詰まってるから、普段レビューをあまり読まない私も没入して読み、心が震えてしまう。奥村 まほ

厚みのある音楽歌詞分析note。生き方と音楽の網目を丁寧にひも解いています。

人生の側にいるアーティストを歌詞から読み解けるって、そもそもその人のこれまでに音楽がないとできないこと。楽曲から感じた気持ちを言葉にするから、文章が唯一無二のものになる。タイトルとヘッダーの写真、文章の佇まいの美しさも好きです。

ひとりで生きていけるかなんて、いつだってずっと不安だった by みみみさん

"世界でひとり、取り残されていたって、誰も気にかけない。"
この不安は本当にありますよね。だから「インターネット大好き」なんですが……(本質的には解決されないけれど)
illy/入谷 聡

年を重ねるにつれて失う後ろ盾と増えていく重荷。「ひとりの不安」という漠然としたものの形が見えてくるみたいです。

10代、20代と変わっていく心理状態の描写が丁寧です。ひとりの不安とわからない未来に抱く感情に頷く人、いるんじゃないかなと思います。


棘の森と手を繋ぐ by はるさん

"怒りは自身を守るために必要なものだ。"
喜怒哀楽の中で極端に「解像」の難易度が高いはずの【怒】に真っ向から斬り込む作品。怒りを否定せず、「手を取り合う」……
もう1回読み返そう(ループ)
illy/入谷 聡

「棘の森」と称する怒りの感情との対峙。正座しながら読ませるぐらいの重厚感あります。

前半はその棘が突き刺さるような痛みを内包しているのに、幼なじみの言葉から広がる先の文章はまさに手を繋いで歩いていて。ほんと、「手を繋ぐ」って表現がすごくいいなと思いました。はるさんの言葉が、おなじような感情を抱いている人への祈りと希望になるんだろうなって思います。


人の真剣さを笑うな by カラエ智春さん

なにこれめっちゃすきなやつ。感情の羽根が生える。ふみぐら社
それでも私たちは笑う。
第三者だからこそ笑う。
まさに「人生は寄りで見れば悲劇、引きで見れば喜劇」。
遠山エイコ

人が笑う文章って、すごく難しいと思うんです。リスペクトを込めた愛しい笑いは、見えない神のなせる技。その場にいなければわからない笑いを描写するバランスがすごいなと思いました。


ある夜の告白【掌編小説】 by たけのこさん

なんでも数値化しなければ気の済まない理系カップルの話かな?と思ったら、もうひと展開あった!むちゃくちゃおもしろかったです……!今すぐ顔筋を緩めたい方に。麦谷 那世@エブリスタ・野いちご・note
たけのこワールド全開!
どうやって思いつくんだろ?という気持ちが40%、もう一回読みたいという気持ちが40%、この物語が好きという気持ちが20% ーー です
こげちゃ丸

読んでいる途中から、「こんな世界は嫌だ……!」と感じます。読み終わっても、「やっぱり嫌だ!」ってなります。でも、テーマの捻り方に「そうきたか感!」があります。好きな掌編小説です。


かなしみの音色 by 宿木雪樹さん

短編とは思えないほどに満ちあふれれる、風景と感情の揺らぎ。落ち着いた文体も題名も美しいです。篭田雪江(かごたゆきえ)
"わたしは、自分の胸の扉をパカッと開けて、痛んでいる部分を抉り出し、クルミに見せたい欲求に襲われる。"
弾けた《悔い》が、分解され、定着し、消えずに残り続ける。時間と情景の描写密度、はんぱないです。
illy/入谷 聡

掛け違えたボタンの喪失の黒からはじまる短編小説。時間の経過とともに作品に流れる感情の色が、静かでそしてうつくしいです。雪樹さんの物語を組み立てる技巧と叙情的な文章が光ってます。


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以上、6月1日から6月7日(NZ時間)に投稿された18作品でした。

気になる帯を見つけたら、ぜひクリックして作品を読みに行ってみてください。そこで面白い、よかった、好き、と心が動いたら、Twitterで帯をつけてみるの、いいと思います。

そうは言っても帯に何かいていいかわからない、という方は、こんな記事が参考になるかも。

最後に私的おすすめ「帯セオリー」3つ
①とにかく書き手の「熱」を感じた言葉を拾う
②響いたフレーズを保存するつもりで添える
③自分が推す気持ちを最大限込める


2週目の投稿作品も、同じように#おびコレ スタイルで紹介する予定です。


引き続き皆さんの投稿をお待ちしています!私設賞「#磨け感情解像度」の詳細は、下記をご確認ください。

▼応募作品の一覧は、下記のマガジンからご覧いただけます。


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