うちの猫さんは、トイレをするときお知らせしてくれる。

今からするよと「ニャオーン」

わたしはいそいそとお呼ばれして、トイレから近すぎない距離で待機する。
視線は少しそらして、全体を見るようにする。お呼ばれされたからとはいえ、直視はしない。猫さんの健康にために、プレッシャーにならないように配慮する。

猫さんは「ニャンーン」と言いながら、一生懸命にトイレの砂を掘る。
ザッザッ、ザザザ、とトイレの底のプラスチックが見えるまで掘る。
スタンバイしてみて、しっくりこないときは、もういっかい掘る。
ザッザッ、ザザザ、またトイレの底が見えるまで掘る。
スタンバイして、いい感じだったら、そこからが本番だ。

しっぽを上げて、うしろ足はつま先立ちでひろげ、まえ足はそろえて、背筋はぴんと伸ばしてすわる。顔は真剣で、大きくひらいた目はキラキラしている。
少したつと、しっぽがビリビリッとふるえ、あたたかいソレを出し切ると、振り返って確認、ザッザッザッザッザッ、念入りに砂をかける、そして「ニャニャッ」と勢いをつけて走りだす。

水面をはねる魚のように、「ニャッ、ニャッ、ニャ」とかけていく。
左右に、上下に、軽やかに。

それを見届けて、わたしは猫さんのトイレを掃除する。

猫さんは一生懸命、生きている。猫さんのソレを回収しながら、そのあたたかさにうれしくなって思う。

ありがとう。
今日も猫さんは美しい。