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銀河旋律 感想

銀河旋律 感想

うだる暑さの日々の中でこんなに爽やかに終わる演劇を観れるとは思っていなかった。公演後の夜風が涼しかった。

▶︎みたぞー

平成ぽこのユニット、ぽっぷこーんによる「銀河旋律」を観てきました。銀河旋律はもともと「演劇集団キャラメルボックス」が行なっている「ハーフタイムシアター」という上演時間が通常の半分ほどの公演の一演目だそうで、なんやかんやあって全国の学生の演劇などでこれまでに何百だか何千回も演じられてきたすごい脚本だそうです。
「ぽっぷこーん」は私と同学年の人たちがメインに組んだユニットで、部内で言えば先輩たちに当たります。同期の人たちがどんなことをするのかなーと思いながら観に行きました。

観終わってまず思ったことは、「安心して観られたなぁ」ということです。自分は演劇に関しては門外漢なので詳しいことはわかりませんが、観劇していてなんの不安もないというのは非常に心地よいことなのですね。そこには2年続けて来たぽこ先輩メンバーの力量があるのかなと思います。
音響・照明も同じくです。ちなみに私もNWDの方でPA(音響)の端くれの端くれみたいなことをやっていますが、そういった裏方の使命は行うべき仕事を確実に行いなおかつ空気でいることなんじゃないかと思います。まぁ、この辺は自分の経験値が浅いので大したことを述べられませんが……。しかし私もNWDの方でPA専門にやりたいかもしれませんねぇ。ステージに立つ演者のコミュニケーションを図り、空気でいながら迅速に正確に仕事をこなしステージを支える役割。機器操作に詳しく演者側の目線にもなれることが必要……。PAかぁ、もし仮に仕事にしたいとか思うなら、覚悟が必要だろうなぁ。

話が逸れました。

あとは、公演パンフレットや事前のポスター、POPなどもさすがの先輩パワーですね。「銀河旋律」のロゴタイプも非常に気持ちがいいな、と思いました。パンフの内側も読みやすくすっきりとしていて、ここも不安がない部分でした(自分がそういう部分に意見を言うなんておこがましいわけですが)。

演劇そのものについて触れていきましょうか。

脚本は演劇用に開発されたもの、と言うと若干聞こえが悪いですが……。素人ですが、演劇ならではの構成?が随所にみられたんじゃないかな、と思います。場所を超えた二人の会話とか、暗転を経ずに行うシーン転換とかでしょうか。例えば映像作品であれば、シーンが異なれば背景が異なるので、画面が大きく変化しますが演劇では変化する背景というものが基本的にはない(?)ので、照明をつけたまま役者が動いてシーンを転換するっていうことが可能なんですね。で、そういう動きを含んだ脚本なのかな?と思いました。うーん間違ってたら許して〜。
と、そういう演劇・脚本の性質は役者にも観劇者にも色々要求してくるんだ、と感じました。役者からすれば(やったことないので全部想像です)、お客さんから見える状況で全く違うシーンに移行しないといけないわけですから、キャラ→ただ移動するだけの存在→キャラ、という感情・身体の変化を意図的に行わないといけないのかななんて思ったりしたり。それって結構難しいことなのでは?と思います。観劇者にしても、シーンが変わったことを把握しながら、そのシーンの背景を想像する必要がありますね。これに関しては「必要」というより、想像の余地があるという面白いポイントですね。
ということは、役者さんたちはお客さんに「シーンが変わった」ことを理解させ、次のシーンを想像させるということが必要になるんですね……。
やや、素人の解釈なので演劇理論的にそういうの違かったらマジにごめんなさい。

謝っても仕方ないですわ。まぁともかく、今回の公演では私がだらだらと考察した演劇理論(笑)をすごく簡単にやってのけていた、という感じがします。最初にも述べました通り「安心して観られる」ということです。いやーほんとすげぇなぁ……。自分も安心してアカペラを聞いてもらえるようになれるかな……もしくは安心してステージを楽しんでもらえるようなPAできるかな……。
安心できるって余裕があるってこととか自信があるってことだと思うんですよ。成功体験を積み重ねて自信がついているからこそ今回のようなパフォーマンスができるのではないだろうか。これは見習うべき人生の手本だと言える。

さーてなんか難しいことを語ってるっぽくなっちゃったしライトに行こうぜ

▶︎キャラクターとスタッフについて

「柿本光介」……そういうキャラクターが非常に合うよねって感じがします。情熱があって頭いいけどバカで一途な感じが。声とか目が普段は”垂れている”感じというのか。普段そんな人が好きな人には一途でバカになるのはそんなギャップずるいっすよずるいっすよ!
終盤での、同一時間上に二人の柿本くんがいたところは役者すげぇって思いました。はるかさんを追い求めんとする柿本くんから、ただのアナウンサー柿本に瞬間で入れ替わるところがすげぇ。

「春山はるか」……音楽の先生だこの人は音楽の先生だ!ありえんほど音楽の先生でびっくりしました。いや本当に義務教育時代の音楽の先生を思い出して懐かしい気分になりました。

「ヨシノ」……一人で生きていける強い女性。キャリアこそ力。そんな女性が歴史の改変の結果とは言え、誰かを頼るようになったらそれだけで相当にイチコロパワーがあると思うんですよね。柿本くん、よくなびかなかったなぁ、だから柿本くんなのか。

「サルマル」……これは観劇後に話したことなんですが、サルマルを大塚さんがやるから爽やかだったのではという。もし仮に自分がやったとしたら無駄に万葉集の知識のあるゲス野郎になりかねない。ゲスのきわmやーめろやめろ。欲を言えば、サルマルの内心を聞きたかった。サルマルにも柿本くんと同じくらいの情熱があったのかなぁと。サルマルサイドでこの話を考えるとまた違った感想が出そう。

「ヤマノウエ」……なんというかこのお話においては完全に装飾的な部分?いやいやヤマノウエがいたから柿本くんははるかさんと出会うことができたわけだし……。でもサルマルからしたら完全にクソ野郎だなこりゃ。

「アリマ」……お天気のおねいさんだ……ごめんなさいそういう視点で観たことを深く反省し謝罪します土下座とか希望があればさせていただきます。
……いやお天気お姉さん綺麗だったなぁ……

「クサカベ」……部長さすがです部長。素人目線ですがこういうアクションの大きいキャラクターこそ観ていて大変な時があるように思うのですがそれがなかったってことはもうすごいんだなあ

「タケチ」「オオツ」……この二人はまとめて記述させてください。史上最強のガヤって感じというか二人で作ったハートとかああいうのめっちゃ好きだし、「んー、ナイ」は使っていきたいし、なんだろうこういう立ち位置になってみたかった気もする。二人の息の合い方すごい。

「演出」……演出の領分があまりわからないので的外れかもしれませんが……。前述の、シーンを一瞬で入れ替えるところなどがすごいなーと。観客の想像が膨らんで楽しいポイントを作ってくれているのかな、と感じました。

「照明」「音響」……どちらも非常に自然だったと思います。演出もそうですが、うわぁすげぇ!ってなるのはそれに詳しい業界の人だと思うので、素人からすればすごさを感じにくいところはあると思います。素人目には黒子のように見えることが大事なんじゃないかと(えっらそうだな)思います。勉強させていただきます。

「衣装・メイク」……キャラクターをそのキャラクターらしく、衣装やメイクをしていたなと思います。一番好きなのはお天気おね(その後彼の姿を観たものはいない。っつーか死んだ)

(リザレクション)

「大道具・小道具」……舞台はよく考えられているなーと思いました。上手側の階段とかの活用がすごいと言いますか。舞台上と下をスムーズに自然に繋ぐ存在。違和感なく溶け込んで役割をきっちり果たしているのではないかと思いました。

「広報・デザイン」……もう先輩方のPOWERですよPOWER。銀河旋律のロゴタイプは手書きですか?パスですか?多分パスじゃないとは思いますが

「当日スタッフ」……入り口に立つということは一番最初に観劇者に観られる部分ですからここも大事ですよね。丁寧な応対をありがとうございます。キャラメルありがとうございました。空調の管理もこの役職の領分でしょうか?私は空調はちょうどよかったです。ありがとうございました。


▶︎そのほか雑多なこと

「設定」
そう、時間遡行による歴史の改変、その瞬間ひどいめまいがし、改変前の記憶が60分ほどしか続かないというこのバランスがいいですね。例えば歴史改変が起こった瞬間になんの異変もなく記憶も即座に上書きされるとしたら、改変に気づく人は一人もいないでしょう。今の私たちの世界で、そのようなことが起こっていないとは誰も証明できない。銀河旋律の世界ではそれを歴史改変の証明が「困難だけど不可能ではない」からややこしくもなる。不可能ではないから柿本くんははるかさんを追いかけ続けることができたわけだし。

「悪役じゃない!」
あとさー、サルマルくんがただのクズやゲスじゃなかったので余計に悩むんだよね。ただのゲスだったら柿本くんがはるかさんと再び出会って一件落着じゃないですか。でもサルマルが100%クズでもなかったから、はるかさんがサルマルとの生活を受け入れたのも頷けるというか。3度目の歴史改変後の柿本からはるかさんへの電話が、はるかさんを苦しめる呪詛になった可能性もあるわけですね。
(改変された時点までの2通りの記憶は、やがて時間とともに片方の記憶のみが残るが、改変された後に柿本がはるかに電話しているので「春山はるかは歴史改変によりニュースプラネットの柿本光介と関係があった記憶が消されている」ということを知ってしまうわけだ。記憶が消されたことさえ知らなければただ幸せな日々が続くのに。)

「万葉集」
私は教養のない人間でして、今回登場した万葉集は全く知りませんでした。また覚えることも叶わなかったのでもし知ろうと思ったら書籍を買わねばなりません。
実は「キャラクターの会話の中で和歌が出てくる」っていうのがちょっと苦手だったのですが、考えてみればことわざをいうみたいなものなのかな?

「毎回思ってる」
ぽこの公演を観た後、作品の感想を書いているうちに感情が、褒める→憧れる→嫉妬する→死にたくなる、とひどい方向に走ることがよくある。
今回は同期の方々が中心になってやっていて、もしかするとこれで最後の人もいるのかもしれないなどと考えれば今度は寂しくもなる。
自分はこんなに本気で取り組めるものがあるだろうかとやるせなくもなる。過去改変してぇ。
あんまり感想に書くことでもない、情けな〜い心情吐露ですが、要はそれほどのことを思わせてくれるぽこのみなさん、ぽっぷこ〜んのみなさんがスゴイということ。すごくない人たちに心を揺さぶられることはないですからね。すごい。ほんとすごい。

さすがに眠くなってきたので(一旦?)終えます。文章推敲も何もしていないですが許してください!

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