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いきなりズッコケる。

起業とか言うと大げさですが、
4年くらい前のこと。

日本から仕入れた
布製品やバッグなんかを
オンラインで販売しようと思いたち、
サンフランシスコで
ビジネス登録をしました。

そして、いきなり
第一のズッコケ体験。

その時はメーカーが作った商品を仕入れ、
そのままの状態で売るという事をやりました。

ビジネス登録をしたのが
ちょうどホリデーシーズンだったので、
年末のイベントで何度か
小さなブースを出してみた。

その時に何度となく聞かれたのが、
「あなたが作ったの?」という言葉。

答えは「No」です。

頭のどこかで違和感を感じながらも、
やってみないと分からないと思い、
勢いに任せて行動していた私にとって、
この言葉は思った以上に
心に残りました。

その理由。

自分の中にあった違和感が、
イベント販売の後、
さらに大きくなっていたからです。

どんなに素晴らしい商品を
売らせてもらったとしても、
売り手としての自分
心から納得
し、
売らせて頂く事を
喜び
にできていなければ、
どこかに嘘が混じった商売になる。

そのような商売をする事は、
私から買ってくれる
お客様にだけでなく

作り手である
メーカーの方々に対しても
失礼な事だ

感じるようになったのです。

それは、

作り手としてのメーカーには
何の問題もなく、
売り手としての私が
個人的に抱えていた
ジレンマがネックとなり、
売る時に
喜び
以外の感情が入っていた為に
起こったからだと思います。

その理由は様々ではありますが、

一番大きかったのは、
販売する商品を
100%の自信で
お勧めできなかった事。

販売する商品が、
どのような工程を経て
作られているのか。

売り手としての私が
きちんと把握していなかった為、
お客様の質問にきちんと答えられず、
自信を持って
商品を勧める事ができなかった。

例えば、
「日本製」と表記されている商品でも、
布や糸などの素材は外国産の場合が多い。

そして、

使われている素材が
倫理的に問題ない方法で入手され
使われて商品が作られているのかを
現場を見ずに知ることは難しい。

さらに言うと、

使われている色の素となる染料が
どのような種類のもので、
環境に大きな負担をかけない方法で
染色がなされているのか。

そういった事も、
やはり工場を見学し、
現場の方から
直接お話を伺う以外には
知る事ができない事を思い知った。

全ての仕入れ先の
制作現場を見る事もせず、
とりあえず販売すればいいと
安易に始めてしまった自分を
恥ずかしく思った。

その頃の私は、
自分が作り手になる事は
考えていなかったので、
販売する事だけを目的に
動こうと思っていたのですが、

対面販売をしてみた事で、
鋭い角度からの質問を直に受け、
痛い思いをする事となったのです。

さらには、
サンフランシスコという
土地柄もあったかと思います。

この町では消費者の意識が高く、
少々値段が高くても
質の良い物、ローカルな物、
エシカルな物を求める人が多いのです。

ローカルで作られていないのならば、
それなりの付加価値を認めない事には、
商品を買おうとしない消費者。

それに対し、
自信を持って説明できず、
どこか曖昧で弱腰な自分。

商品は良い物だと分かっているのに、
自分の怠慢により商品の魅力を
存分に分かってもらえない苦い経験。

でも既に、

日本のメーカーの方々に会いに行き、
もっともらしい話をして信用してもらい、
自分にとっては
結構な金額を費やして仕入れ、
他に見積りもお願いしており、

自分用の名刺を作り、
ネットショップ用のドメインを確保し、
ショップ用サイトの運営費用
1年分支払っていたので、

なかなか引くにもひけず、
暫く悩みました。

そして、このジレンマをどう解消するか
長い間、一人で考えていました。

結果、

ネットショップは放置状態、
1年後にショップ用サイトは契約切れとなり、
日本の仕入れ先とはすっかり疎遠になり、
ゼロの状態になりました。

イコール、

自分の意志とは裏腹に、
振り出しに戻ったという訳です。

初めての事にチャレンジする時は
分からない事だらけなので、
ある程度は
手探りで進んでいくと思いますが、
私の場合、
あまりにも安直で手探り過ぎました。

また、
自分の弱みを直視する事を避け、
できる事からやってみよう!という
一見ポジティブな言葉を発する事で、
実は簡単な所から
スタートすればいいやという
自分を甘やかす行動に出てしまったため、
いきなり挫折というか、
かなり痛い形でのスタートになりました。

自分の甘さのせいで、
日本で私と会って下さった方々の
ご期待に応える事ができなかった事、
また、
貴重なお時間と
労力を無駄にしてしまった事について、
自分を責め、過去を悔やみ、
今後について色々考えました。

改めて担当の方々に連絡し、
申し訳ないという気持ちだけでも
お伝えすべきか
何度も迷ったのですが、
今はまだ自分の歩くべき道を
耕している途中で、
次なる道が見えていないため、
連絡していません。

中途半端に連絡して
申し訳ない気持ちを伝えたとして、
それは単に、私自身の
自己満足でしかないと思いました。

申し訳ないと思う気持ちは日々
湧き上がってきますが、
今は、その気持ちをバネにして
前に向かうしかなく、
もう少し勝手をお許し頂く方が、
自分の自己満足を満たすだけの謝罪より
良いのではないかと思ったのです。

という事で、私のズッコケ記、第一弾でした。