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あなたのからだと健康を支える脾

関東も梅雨明けになりましたね。

今年は梅雨入りしてからも、晴れの日が多く、梅雨を感じることが例年より少なかったですが、それでも梅雨明けの青空は、厳しい暑さも感じつつ夏を感じて嬉しくなります。

今日は五臓の「脾(ひ)」についてのお話です。
前回の記事でもお伝えしましたが、この脾臓さんは、とくに梅雨に活躍する場所と言われています。

じめじめむしむしのあのいや~な梅雨の「湿気」は、脾に負担をかけてしまいます。梅雨があけても日本の夏は湿度が高いので、これからの夏本番も脾の養生は、とっても大切になります。

脾の役割


まずは、脾臓さんはからだの中でどんなことをしているかというと、

食べ物を消化吸収をし体の中の栄養分を作ります。胃腸をイメージしていただくと分かりやすいですね。脾臓さんは働き者で、他にもいろいろな役割があります。

1、食物から栄養素を作りだす
2、体の臓器をあるべきところに維持する
3、血液を血管の中からもれでないようにする
4、手足を維持する。
5、口につながる。

脾は、五行説では「土」のグループに属しています。土と言う漢字が表すように、脾はからだを作る「土台」となる場所です。食物から体に必要な栄養素を作り出し、栄養を全身に運びます。(1)

また「土台」は、例えば建物を「支える」役割がありますね。このことから連想されるように、脾は内臓をあるべきところに支えています。脾がお疲れになると、内臓を支える力が弱まってしまい、胃下垂になったり子宮下垂になったりすることがあります。また肌のたるみも脾の弱りのサインの可能性もあります。(2)

また脾は、血管の中に血が漏れ出ないようにしておく役割もあります。脾が弱まっていると、出血したときになかなか血が止まらない、女性だったら不正出血などのサインが現れます。(3)

また手足を支える役割もあります。梅雨や夏の時期に手足が重たく感じてしまうのは、手足を支える力が弱まり、なんとなく重だるく感じてしまうのです。(4)

脾は口ともつながっています。脾がお疲れのときには、口内炎や唇が荒れたりするなど、口のトラブルとなって現れます。(5)

タイトルにもある通り、脾は食べ物からからだの元気のもとを作り出す、とても大切な場所です。からだと健康の大黒柱なのです。

脾をいたわってあげようね


脾の養生については、前回の記事[ 梅雨の五臓「脾」を養う]をご覧ください。

前回と重複しますが、脾によい食材は、芋類や豆類やキャベツなど、食材そのものに優しい甘みのある食材です。

今日、特にお伝えしたいことは、脾に負担のかけない食べ方です。


脾の負担を軽くするひと工夫(^^)

脾は、あなたのからだと健康の大黒柱。とっても働き者です。そして湿気の強い梅雨と夏は、脾に負担がかかりやすい。あなたの健康のために、あくせく働いている脾臓さんの負担を少しでも軽くしてあげたくなりませんか?

脾の負担を軽くする食べ方のポイントをお伝えします。

1.脾は「湿気」と「冷え」が苦手
2.脾の消化吸収を助けてあげる食べ方

脾は過度な湿気や冷えが苦手です。脾は冷えることで、機能が低下し、余分な湿気を生み出してしまいます。(1)

冷たい飲食→脾の冷え→脾の機能低下→
からだに余分な湿気→さらに脾の機能低下→
むくみ、おもだるい、食欲わかない、軟便下痢、やる気がおきないなどの不調

暑い夏は、からだを冷やしすぎてしまうことが多いので、脾の冷え対策に、例えば下記のようなひと工夫がおすすめです。

●氷の入った冷たい飲み物をよく飲んでいる

→3回に1回は常温、または温かいものにする。
 少しずつゆっくり飲む。


●冷たい物をたくさん食べたり、クーラーなどで冷えを感じるとき

→温性の食材(生姜・茗荷・紫蘇・パクチー・ねぎ・とうがらしなど)を食事に加える。

→夏野菜は火を通して調理する(トマト、きゅうり、茄子、ゴーヤなど、冷性の夏野菜も火を通すことで、からだを冷やす作用を緩和してくれます)


●生魚を食べるとき(お寿司やお刺身など生魚は、からだを冷やす作用があります)

→温かい汁物やガリと一緒に食べる。


また脾は消化吸収のために、いつもフル稼働しています。夏の湿気で脾は、そもそも弱まりやすいので、できるだけ消化吸収を助けてあげるために次のことも大切です(2)

●よく噛んでゆっくり食べる。

●砂糖の入った甘い物、脂っこい物、味の濃い物は食べ過ぎないようにする。

砂糖は、水分を保持する働きがあるので、糖分の取り過ぎは湿気が苦手な脾に負担をかけてしまいます。

また脂っこい物、味の濃い物は、薄味のものに比べてよく噛まずに飲み込んでしまいやすいため、消化に負担をかけてしまいます。また味が濃いとついつい食事中に水を飲んでしまいますね。そうるすと湿気が苦手な脾が水分過多になってしまいます。

甘いもの・味の濃いもの・脂っこいもの・よく噛まずに飲み込んだもの→脾が消化のためにフル稼働→脾がおつかれで機能低下→からだに余分な湿気→さらに脾の機能低下→むくみ、おもだるい、食欲わかない、軟便下痢などの不調


食べることは楽しみ(心養生)なので、続けられるペースで^ ^

食べることは、生活の中で楽しみや彩りでもあります。今日ご紹介した食養生を、生真面目に一生懸命やりすぎて、逆にストレスになってしまっては本末転倒ですw。心身一如。心とからだは繋がっていますからね。

薬膳の智恵は、病気とまではいえないような、でも自分では感じている小さな不調、からだのおつかれのサインに気づき、それにあった養生を実践して、くずれた小さなバランスを戻そうという考え方です。

あんまり気負わずに、できることから取り入れて、みなさんの日々の暮らしに役立つヒントになったら幸いです。