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3Dプリンタでコーヒーキャニスターを作る実験(2022/2/17更新)

昨年の冬に、コロナで人が来ない職場に潤いを届けようと、コーヒーを提供することとしました。はじめは、コーヒーミルでがりがり引くことを楽しんでいましたが毎日3人分細かくひくと腕が筋肉痛になりましたので電動コーヒーミルを購入することに。ただし、安物だったのでミルの内側を外すことができず、スプーンで掻き出す毎日。ミルの羽が邪魔だなと思ったので、ミルから移しかえす容器を作ることとしました。

実験条件

目的:コーヒーキャニスターの製作
実験日:2022年2月10日
実験環境: 3Dプリンタ Prusa Mini+
      ノズル:0.6mm
      ノズル交換時期:2022年2月10日
      フィラメント:overture PLA(白)
             Fillamentum NonOilen
             Kexcelled PETG
      ノズル温度:210℃(overture PLA)、190℃(NonOilen)

本来は、ノズルはステンレス製、フィラメントはFDA対応などFood-contact仕様のものを使うべきなのですが、ここはご容赦いただいて。(フィラメントは持っているのですが未使用のため、条件出しからというのはきつい.....)

以下、使用したノズルです。

使用したフィラメントのうち、NonOilen®はこちらです。

詳細はこちらから見ることができます。

https://fillamentum.com/wp-content/uploads/2021/01/FILL_Printing_Guide_NonOilen.pdf

最後に使用したフィラメントはこちら。こちらは食品レベルのフィラメントだそうです。

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B09BVHS9PM/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o00_s00?ie=UTF8&psc=1

Fusion360でのデザインコンセプト

Fusion360を使用してデザインしました。デザインのこだわりは、底を丸くすることです。さらに、30cc(1杯分)が測れるスプーンも作ることとしましたので、底にスプーンのRを設けることとしました。また、摺り切りできるような仕切りをつけ、ついでに蓋にスプーンがひっかけられることとしました。無機質なので、センスのない絵も追加しました。(残念)

試作1

本当は一発で決めたかった!というのも6時間超プリントに時間を要するためです。そんなに大きなものをプリントすることがないので、ちょっと躊躇しちゃいます。

デザイン

内部構造
蓋(上部)
蓋(裏)
スプーン 30cc


スライス

スライス時にいろいろ苦労しました。私のやり方が悪いのかもしれませんが、ねじ部分にサポートをつけたくなかったのでサポートブロッカーを追加して覆ってみたのですが、確かにサポートはつかないのですが、インターフェースレイヤーを作ってくれてしまうのです。しょうがなくペイントオンサポート機能でサポートをブロックしました。
スライス結果はこちらの通り。約7時間要します。

試作結果と考察

実は、設計ミスで蓋が締まりませんでした。また、サポートが硬くて外れにくかったという問題もありました。蓋とボディとの間の隙間が狭かったという落ちはありますが、蓋がすべって使いにくいところも改善したいです。

試作2

デザイン

今度は、摺り切りをする部分にサポートが付かないように工夫しました。摺り切りの下部は45°にしてありますので行けるはずです。

ボディ
蓋とボディの隙間を0.4mmに。また、摺り切り部分のデザイン変更

蓋のコーヒーカップの模様は、さかさまにしてプリントするとブリッジになりますのでブリッジが短くなるようにデザインを変更しました。また、指が引っかかりやすいように溝を掘りました。

スライス

スライスすると変なところにサポートが付くので、これでもか!とブロックサポートしています。サポートを削るデザインに変更した結果、6時間弱に1時間短縮できました!これならもう一つ作ってもよさそう。どなたかセンスの良い絵を提供いただけるとよいのですが..…

試作結果と考察

良好な結果となりました。(蓋のみ印刷)


気になる点は、以下の点です。


  1. サイズが大きすぎること。
    そもそも引き立てコーヒーを飲むためにコーヒーミルを導入しました。なので、一度に引いた分を入れるだけでよいのです。測って多かったら次回に回すぐらいはするかもしれませんが。

  2. 蓋の回転数が多すぎる。
    何度も回さないと蓋が開け閉めできませんでした。というのも、蓋のねじ構造が細かかったためです。

  3. スプーンフックが浅い
    フックが浅いため、すぐに外れて下に落ちてしまいます。スプーンを握ったときに手が汚れるのを避けるための措置でしたが、これでは意味がありません。

  4. 摺り切り部分が大きい
    摺り切り部分が大きいためスプーンですくうことが困難でした。

試作3

デザイン

サイズが大きすぎることに関しては、幅は内部構造が複雑故、このままとするにして、高さが高すぎてスプーンで底まで届きにくいという問題がありましたので、高さを10cm→8cmに変更しました。
蓋の回転数が多すぎることに関しては、ねじのピッチを2mm→3mmに変更しました。
スプーンフックを深くし、摺り切り部分を最小限としました。
本体上部の余分な部分も取り外しました。

問題の蓋のデザインはこのようにしてみました。

スライス

実はスライスすると以下のような表示が出ます。プリント対象はプリント領域内に収まっているのですが、初めの湿気を含んだかもしれないフィラメントを吐き出させたくてスカートをつけているのですがこれがプリント領域からはみ出ます。なので、大きさを95%に縮小しました。(デザインで変更すべきところですが)

Octoprintを利用する際も、プリント領域を超えているときには、Prusaslicerからファイルを送信してプリントする機能を利用した時も、Octoprint上に”はみ出していますよ!”メッセージが表示され、確認ボタンを押さないとプリントがスタートしません。(こちらは設定を変更することで表示されなくなるようですが)

途中からフィラメントをSafe for food contact applications と記載されているFillamentum社のNonOilen®に変更しました。こちらのフィラメントはFDA Approvedではないですが、耐熱温度110℃までなので食洗器にも対応した優れものです。NonOilen®は、プリント温度が180℃程度を推奨とされています。一度プリントしたら、底面が浮いて途中でヒートベッドごと剥がされました。その時のSpaghetti探偵のタイムラプスはこちら。

再度試してみましたが、やはりプリント途中でヘリが浮き上がってきます。

プリント初期
開始16分後 ヘリが浮き上がってきています。

昨日、第2試作で良好だった温度条件 190℃に戻しました。さらに、保護シールドを追加しました。

試作結果と考察

プリントした結果はこんな感じ。

保護シールド付き
保護シールドを外しました。背面左側にEDOさんがデザインされたシートホルダがうつっています。
蓋上部
蓋の裏側とスプーン
ボディ側面

ということで、ボディ側面の肉厚が3mmと薄かったのでねじ部分がスカスカになってしまいました。

とりあえず、今回はここまでにして(ほかに食品コンタクト推奨フィラメントを持ち合わせていないなく、テストプリント含め結構な量を使ってしまいましたのでこれからはとっておきだけに使うこととします)

実は、スプーンの寸法を誤ったため(直径と半径の間違い)人匙で30mlの目論見が外れていました。また、95%に縮小してしまったのでそれも問題です。
ということで、ねじ部分のスカスカと正規の大きさに合わせることを目的に、本体とスプーンを作り直すことにしました。

試作4

デザイン

先のデザインから、スプーンを30ccにすること、フックの位置を蓋の裏側から本体に移すこと、本体のねじ部分のすかすかをなくすために本体の厚みを修正するなどしました。
結果はこちらの通りです。

試作結果と考察

出来上がったのはこちらです。
かなり色が白くてのっぺりしています。大きさも、直径で2cm大きくなっています。私の手には余る感じです。

また、スプーンをひっかけるフックは、蓋から本体内部に変更しました。これにて、職場で好意的な反応が得られるかどうか.

Fillamentum製 NonOilenのほうが趣がある色をしています。しかしながら、このバージョンも最終になるかどうかが不明のため、まずは様子を見ることとします。
プロジェクトファイルetc Prusaのフォーラムにアップしました。もしよろしければご利用くださいませ。


Happy Printing!

https://www.prusaprinters.org/prints/133474-coffee-canister-with-measuring-spoon


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