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【機材レビュー】Nikon Z6

運用方法について考えさせられる機体でした。

機材レビュー第7弾は、Nikon Z6となります。2018年にニコンがZ7とともに出した、Zシリーズ初号機です。


導入経緯

2023年4月より無事に社会の波にのまれる身となり、毎日ヒイコラヒイコラ言いながら働いているおかげで、学生の頃に比べて自分が扱える金額の量も多くなりました。
そして2023年7月。そろそろ周りに合わせてフルサイズミラーレスが欲しい+5桁台の高感度が使える機種が欲しい+頑張って働いた分を何かで体現したいと思うようになり、本機種の導入に至りました。他メーカーとも悩んだものの、自分が持つレンズ群の資産を最大限活かせるのは、FTZしかないと考えたためです。


デメリット

なぜデメリットから先に書くのか。まあ読み進めていけばわかると思います、、

シャッター半押しで拡大表示が解除できない

MFするときなどによく使う拡大表示。一度拡大したら、なんと縮小ボタンを押すか、もう一度拡大縮小に充てているファンクションボタンを押さないと100%表示に戻りません。シャッターボタン半押しでは戻りません。

実際に使ったらわかると思いますが、拡大してピント合わせたなら次は構図そのものが合っているかの確認作業に入ると思います。その時に半押しで拡大解除できれば構図確認→シャッターを切るという行為がスムーズにできるのですが、Zはこれができない。LUMIXでは当たり前にできていたのに、、とにかく、拡大解除のためにもう一回ファンクションボタンを押すのは面倒すぎます。


自由度の低いカスタム設定

↑と書きましたが、カスタム設定そのものはいろいろ可能です。マイメニューに飛んだり、AFモードを切り替えられたり。ただ、D500にできた設定が一部なくなってしまっています。
最も残念だったのが、サブセレクター半押しのAFエリアモード+AF-ONがないこと。これはD500で愛用していた機能です。

自分はここにシングルポイントAFを充て、いつもはダイナミックAF25点を、ピントが前後にもっていかれそうな場所ではセレクターを半押しして確実にピント合わせ、という使い分けをしていたのですが、この設定はZ6ではできません。

【2023/11/11追記】
この設定はZ8でできることを確認しました。ハイエンド機特有の設定なのかもしれません。

もう一つは、録画ボタンにドライブ変更が割り当てられないこと。
高速連写と高速連写(拡張)とでは、連写コマ数に極端な差があるため使い分けは必至となりますが、右手でダイレクトに届く録画ボタンにはドライブ変更はできません。当該ボタンは仕方なく拡大縮小表示を充てています。
ドライブ変更はiボタンの一番左上に充ててホーム位置もそこにすれば、1回押してダイヤルを回せば変更できるだけまだ救いでしょうか。


fn1、fn2ボタンの造り

マウント側に設置されているfn1、fn2ボタン。2つあることでカスタマイズ性が高まるのは良いんですが、これがグリップのすぐ近くにあるせいでちょっと指を動かそうものならすぐ当たり、しかも斜めに軽く押していても反応するというクセモノです。

中指をちょっと動かそうものなら、すぐ当たる

上図のように、爪がちょっと当たっただけで押した判定となってしまいます。導入直後はfn1ボタンにマイメニューを当てていましたが、これのせいで頻繁に画面が切り替わるようになり、非常にストレスでした。結局fn2ボタン(フォーカスモード/AFエリアモード)と入れ替えました。
もうちょっと真正面からしっかり押さないと反応してくれない仕様にしてほしかったです。


EVF、モニターのコントラストが濃すぎる

外出時なんかに特に顕著なデメリットです。
EVF、モニターのコントラストがかなり濃く、画作りがローキーに出がちなZ6の特性と相まって黒潰れしてるように見えてしまいます。実際は粘ってるんですけどね。
そんなこともあり、逆にモニター上で撮影結果を確認して「うまく撮れてんじゃん」って思ってスマホやPCに取り込んだらなんじゃこりゃ…カメラで見た結果と違う…ってなることもしばしば。

実際に出てくる画のコントラストも濃すぎる【2024/3/30追記】

一個前のデメリットの追記みたいな感じですが、、
9ヶ月運用していてわかったのは、Zは「コントラスト重視の画を出す」ということ。少なくとも一眼レフ時代からは「スタンダード」のコントラストが濃くなっており、それはすなわち輝度差の大きい場面においては白飛び・黒つぶれが発生しやすいということ。特に、夜の撮影ではそれを感じます。
実際はちゃんと情報は残ってはいるのですが、一眼レフの感覚で使っているとどうしてもつまづきます。

個人的な考えとして、コントラストは「程よく載っていればいい。白飛び黒つぶれのラインを見極めたいし」と考えているのですが、ニコン側が「JPEG撮って出しの時点で作品として使える画を出したい」と考えているのだと思います。当機種をはじめ、筆者にZシリーズは「合わない」と感じさせてしまっている一因です。

少数派だとは思いますが、EXPEED3以前のニコン機をメインでお使いの方でZシリーズをご検討されている方がいらっしゃったら、少し待ったをかけたいです。


測距点移動が遅い

測距点移動、平たくいうならAFポイントの移動は他メーカーに比べて明らかに鈍足です。細かく移動するような使い方はストレスになります。
かといってAFポイントを1/2にすると歯抜けになりがちなわけですが、速さには代えがたいものがあるということで仕方なくこの設定で使っています。
ちなみにピンポイントAFでは問答無用で全点AFになります。もちろん設定でオフにしています。


Z-GR1装着時のチルト液晶展開が困難【2024/1/14追記】

2023年12月、手持ちでの撮影を快適にするため、公式から出ている拡張グリップのZ-GR1を導入しました。
嵩上げにより、確かに手持ち撮影は快適になりました。が、失うものもありました。それがこのデメリット。
Z6のチルト液晶は、展開するとき用の引っかかりが底面の左右に少しだけあります。が、Z-GR1を装着すると、この引っかかりがZ-GR1のせいで指を引っかけにくくなり、結果として液晶の展開が非常に難しくなってしまいます。特に三脚撮影時などによく展開するため、鬱陶しいと思うところ。


水準器と詳細情報の同時表示ができない

ここから先は細かいデメリット。
水準器とAFモード、連写モードなどがわかる詳細画面との同時表示ができません。ハイアングル、ローアングルなど不安定な姿勢で水平を保ちつつ今どの設定かってのは確認しておきたいだけに惜しいなーと思います。
これもLUMIXならできましたし、Nikon一眼レフでも(fnボタンを押す手間こそありますが)可能でした。

水準器を表示すると、上側の詳細表示が消えてしまう


モード切替はボタン押しながらでないとできない

地味に面倒な仕様ですが、これはすぐに慣れました。


…とまあ、自分の使い方ではかなりデメリットの多い機種となってしまいました。一眼レフ時代から大きく操作性を変えたが故に起きたデメリットもありますが、他社でできることがZではできないってのは、はっきり申し上げて欠陥としか言いようがないです。

無論、良かった点もありますので紹介していきます。


メリット

動画AFが使い物になるレベルに

ニコンは一眼レフ時代、ライブビュー時のAFは(D780を除き)コントラストAF方式を採用していたため、まともに使えるものではありませんでした。そのため一眼動画ユーザーでニコンという人はほとんどおらず。EOSは70Dから位相差方式を採用していたので、ここは大きく遅れをとっていました。
しかしZになってついに(ようやく)位相差AFを採用。動画設定でAFスピードを最速に、追従感度を最大にしておくとビュンビュン激しい動きでも平気で合います。FTZ経由での追従ももちろんOK。
ZはAFが遅いという意見がありますが、電車撮る分にはほぼ文句ないAFだと思います。


高感度の伸びが良い

Z6を導入した理由の一つ、高感度。
最近のフルサイズらしく、ISO12800はもちろんISO25600も状況によっては使えるのは大きいところです。

ISO12800


このボディサイズで秒間11コマ連写

高速連写(拡張)では秒間11コマと、一眼レフのフラッグシップ機に匹敵する連写コマ数を叩き出せます。高感度耐性も相まって、もしメインから降ろしてサブ機に転用しても十分パフォーマンスを発揮でき、長く使えるスペックなのではないでしょうか。


その他

存在意義がわからない肩液晶

自分は常にEVFかモニターを覗いて手持ちで撮影するスタイルである以上、肩液晶を特に必要とする場面はありません。一眼レフ時代は電源OFF時でもここで電池・カードの有無を確認できたのですが、、Z6は電源OFF時は何も表示されません。三脚に据えて撮る人向けなんでしょうか。

【2023/11/11追記】
Z8は電源OFF時でも情報表示がありました。やはり存在意義がわかりません。


ボディ内手振れ補正

これは一眼レフ時代にはなかったものです。LUMIXに慣れてるせいであまり効いているとは思わないものの、その効果はそれなりに確認できます。オールドニッコールを使うときにも便利です。


ZQD/CFexpressカードシングルスロット

これはZ6発売当時批判されてた点だと思います。ミドルクラスでなぜSDが使えないんだとか、バックアップ取れないじゃないかとかなんとか。
まあ確かに導入時は面倒ですけど、自分はアマチュアなのでそこまで気にしてません。それよりファームウェアアップデートがXQDを介さないとできないのが面倒で仕方ないです。USB接続してできるようにしてください。


まとめ:運用方法を考えさせられる機体

ということで、デメリットの数がメリットを上回るネガティブレビューとなってしまいました。カメラ側から「落ち着いて撮れ」と言わされたかのような感じが、今もなおあります。なんかG8に似てるな
しかし、しばらくは持ち続けるのではないかと思っています。それは、最初に述べた通り「現レンズ群を最大限活かせるのはこいつしかいない」という状況。それからAFに関しては特に不満はないこと。あとはZレンズの描写力。
これらを総括して、今後もZ6をメインで運用していくのか、はたまた別の道へ進むのかを考えたいと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


作例

AF-S NIKKOR 50mm F1.8G
F2.8 1/160 ISO160


TAMRON 17-35mm F2.8-4 Di OSD(A037)
18mm F5 1/500 ISO100


NIKKOR Z 50mm F1.8 S
F1.8 1/40 ISO320


AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G VR ii+TC-14E ii
F5.6 1/1250 ISO200


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