2024年3月9日 押上駅〜東京駅


最近まったく眠れなくて、とりあえず歩いたら寝れるかと思い、7キロくらい散歩しました。その日のことを書きます。

目的がないと外に出られない人間なので、東京スカイツリーから『本の森ちゅうおう』を目指すことにしました。最近できたデカい図書館です。


押上駅〜浅草

スタート地点のスカイツリーです。修学旅行以来初めて来ましたがデカいですね。デカすぎてしばらく気付きませんでした。脳が建物と認識しなかったようです。


そしてスカイツリーの麓にはデカいボビンがありました。やっぱりスカイツリー近辺のものはなんでもデカくなるんですね。こうなってくると、スカイツリーもデカい針山に刺さったデカいまち針なんじゃないかと、そういう意見も聞こえてきそうです。


スカイツリー直下の商業施設もちょっとだけ立ち寄りました。昼間から光ってるイルミネーションを見つけました。昼だと配線が剥き出しで気持ち悪いですね。ていうか周りも明るいので光る意味が一つもないですよね。逆に日光に擬態したいのでしょうか。イルミネーションってふだん夜への冒涜みたいなことしてるから、後ろめたい気持ちがあるのでしょう。


ほぼテニスと同じならこれ以上読まなくていいか。


3通りくらい解釈が浮かびましたが全部滑ってました。


あっ! 有名なやつだ!

有名なやつって、ネットで検索したらいくらでも画像が出てくるから俺が撮る意味がなさすぎる。そう考えると有名な場所ほど行く意味が薄いですよね。でも有名じゃない場所は普通に行く意味がないですよね。だから家から出る気が起きないんですよ。


爛々としてるところすみません! 横ゴミだらけですよ!! そのハートの中には何が詰まってるんですか!!


また有名なやつなので撮ろうとしたら、「バンクシーらしき人が描いた絵と写真を撮ってたときの小池百合子」みたいな人が写り込んでいました。なんか名札とか下げてるし、観光案内的な方でしょうか。あの市松模様は東京のお役所カラーなのでしょうか。


モグラってサングラスで日除けしてるイメージがあるのですが、彼は帽子ですね。おかげで黒目と白目が逆転してしまっているのが心配です。


「広告代理店が考えたクールジャパン」みたいなバスが走っていました。浅草は本当に外国人が多い。人力車の人が普通に韓国語で接客してるのも見ました。僕の通ってた大学には人力車サークルがありましたが、誰かが部室で喫煙して活動停止になっていました。


浅草〜浅草橋

そういえば東京オリンピックとかあったな。

不謹慎ですが、コロナ禍何してたかの話を今するの楽しいですよ。短期間に/天変地異などではない/異常事態を/日本中の人が経験することってあんまりないので、不条理な群像劇を見ている感覚になります。ちなみに僕はモロ就活中に「武漢肺炎」発生のニュースが出て、グルディスのアイスブレイクがわりに「あれなんなんだろうね〜」とか話してた記憶があります。まさに「このあと大変なことになるとはつゆ知らず……」的な状況。

その後ほとんどリモートで楽に就活を進め、あんまり苦労を知らないまま内定を得てしまいました。こうなってくると大学生活が本格的に人生の夏休み化していくのですが、遊び系のイベントは丸潰れになり、バイトと家を往復するだけの虚無な1年を過ごしました。バイトは情報番組のADでした。僕が同行した中継先で某漫才師の人がレポートをしており、生放送中に「コンビ2人の距離が近すぎる」というクレームが殺到する珍事件も起きました。電話で指示を受けたディレクターは「漫才師が距離取るのはおかしいやろ!」と抵抗していましたが、電話先のプロデューサーが「おかしいのはこの国やねん!!!」と言い返して黙らせていました。


ななまがりが考えたみたいなひらがな発見!

「藪蕎麦」というお店だったので、「ぶ」です。


中国のディズニーランドに迷い込んだかと思いましたが、バンダイの本社でした。海外の方が悟空のフィギュアの前に献花していました。バンダイの人が困るだけな気がしますが、日本のアニメ文化の影響力を感じる一幕でした。


普通にチェーン店でラーメンを食べました。

こういうとき、もっと浅草っぽいもの食えばいいのに……と自分でも思いますが、食券制の安心感ってすごいんですよね。先が見通せない現代社会の中で、注文システムが完全に分かりきっている幸せ。人間、むやみに新しいことなんかするもんじゃないです。精神のホメオスタシスに従っていきましょう。


浅草橋〜八丁堀

東京って本当になんでもあるんですね。


な、何この地名!?

『かきがらちょう』と読むそうです。

まさか、「江戸っ子かたぎの粋な町」だったとは。

あと、この辺って江戸時代は海沿いだったんですね。確かに東京って埋立地でかなり面積稼いでる印象がある。シムシティで人口の増やし方わからなくなると、とりあえず海埋めてマンション建てたりするので気持ちわかります。


やはり江戸っ子の町となると、フルチンで放尿しながら挨拶してくるのも普通なのでしょうか。


そんなこんなで『本の森ちゅうおう』到着しました。デカくて複雑。違法建築&増築しまくりでお馴染みの沢田マンションを彷彿とさせますね。和製ウィンチェスターハウスの名を競い合って欲しいものです。


中の写真を撮っていいのかわからなかったのですが、新築だけありかなりキレイでカフェなどもありました。あと3人くらいホームレスを見かけました。誰にでも学びの場が開かれているというのは素晴らしいですね。

僕は図書館が好きなのですが、本を借りる行為は「責任」と感じているので極力その場で読み切って借りないようにしています。最近世界史にハマってるので十字軍の本を読んで普通に勉強しました。


本と並行してCOTEN RADIOというラジオを聴いていました。面白く世界史を学ぶには打ってつけです。特にこの民衆十字軍の回はすごかった。かなりざっくり書くと、第1回十字軍は「エルサレム奪還に行った口実を作ることで贖罪されたい」という利己的なモチベで行われており、勢いだけで侵攻したので準備不足ですぐ負けたという内容でした(のちに成功するのですが)。

こういう、衝動で変なことしちゃって失敗して、周りから「あれ何だったの?」と言われる経験、僕には死ぬほどあるのでかなり共感できました。でも、そういう衝動だけが人生の旨味じゃないでしょうか? 勝算とか世間体は無視して、やりたいと思ったことをとりあえずやるの楽しいですよ。民衆十字軍のみなさんなら分かってくれるはずです。


あと永井均さんの『哲学の密かな闘い』も読みました。「人生とは真っ暗な宇宙の中で一台だけついているテレビである。どの番組もつまらないかもしれないが、そのテレビを消した瞬間世界は闇に包まれてしまう。テレビがその世界唯一の光なので、内容に関わらず消すことができない」みたいな記述が興味深かった。借りてないので雑引用ですが……。

スヌーピーの名言で「配られたカードで勝負するっきゃないのさ、それがどういう意味であれ」というのがあり、あまり理解できなかったのも思い出しました。そもそも何と勝負するのでしょうか。

でも最近思うのは、ここでいう「勝負相手」とは、「生きることの無意味さ」なんじゃないでしょうか。人が何か行動を起こす動機って、もとを辿れば全部「生きてる意味を見出したい」な気がします。趣味も仕事も全部虚無との戦いです。戦いから降りた瞬間、そこには暗闇しか待ってない。だから必死でテレビにかじりついて、つまらない番組からも価値を見出そうとするのです。生きとし生けるみなさんって健気ですよね。民衆十字軍の皆さんなら分かってくれるはずです。


八丁堀〜東京駅

目的は達成したのですが、キリが悪い気がして東京駅まで歩きました。もう夜だったので寒すぎてあんまり写真も撮っていません。


特にウエディングフォトとかは撮ってなかったです。なんで東京駅ってウエディングフォトの聖地なんでしょうか。「流行ってるから」と言われればそれまでですが、「流行ってるから」って理由だけでウエディングフォトの場所を決めるような夫婦って、子作りに計画性がなさそうですよね。


帰って追っかけでR-1を見ました。SFの創作論で「大きいウソはついても小さいウソはつくな」というのがあり、設定はフィクションでもディティールはリアルであれみたいな意味だと思うのですが、「雨が降れば終わるからそもそもこの車にワイパーはない」でそれを感じました。


おかげさまで不眠はかなり解消されました。ロング散歩おすすめですよ。
















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