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衝動買いが止まらなくなる買い物体験とECでの買い物は何が違うのか?

軽井沢や木更津のアウトレットモール、お台場や郊外イオンのような大規模ショッピングモール。僕はこういうところをぶらぶらと歩くのが好きだ。そして、ぶらぶらするだけのつもりが、帰るころになると両手にはいっぱいの紙袋がぶら下がっている。
一方で、amazonや楽天では必要なものだけを買って離脱しているような気がする。

なぜショッピングモールに買い物に行くと衝動買い欲が盛り上がるのに、amazonではすならないのだろうか?

とある家庭での子供の誕生日プレゼントをめぐる出来事

衝動買い誘発の有無を考察するにあたり、こんなことがあった。
私には小学1年生になる娘がいます。娘の誕生日が2週間後に迫ったある日、私と娘はこんな会話をした。
※我が家のお誕生日プレゼントは、親に対して自己申告制となっている。
私「娘ちゃん、今度のお誕生日何が欲しい?」
娘「んー、わかんない」
私「(アイパッドでamazonアプリを開いて)ここから欲しいものがあったら教えてね」
娘「うん、わかったー」
で、2時間ほど放置してみた。
私「ほしいものあった?」
娘「うー、これか、これかな。。。(自信なさげ)」
私「えっ?これ、似た様なの持ってるじゃない?せっかくだから持ってないもの選びなよ」

そこから数日たったが、娘は自分の誕生日プレゼントを決めることができず、結局、週末におもちゃ屋さんや家電量販店に下見をしに行くことに。
おもちゃ屋さんとビックカメラをはしごしたところ、今度は欲しいものがありすぎて決められないと。
結局、私が娘に対して「これがいいんじゃない?」とレコメンして、娘は納得し、後日amazonで購入。無事にお誕生日をお祝いできました。

さて、私はこの原体験から一つの示唆を得ました。それは、「人は、自分が知らないもの(カテゴリーや商品)をECサイトでは見つけることができないのでは?」ということです。

ECサイトでの買い物体験

ではここで、上記の娘がどのような行動をしたかを推測も交えて検証してみよう。
まず、私からアイパッドを渡された娘は、かろうじてひらがなを用いて“検索”をすることはできるという状態。
娘はこの時、TOPページに羅列、レコメンドされている画像には興味は引かれなかっただろう(なぜなら、私のアカウントでログインしていたので、本やPC用品、釣り道具などがTOPページに出てきていなかったはず)。
検索履歴を見ると、どうやら最初に「おえかきせっと」を検索したようだ。
そこから、ペンのセット、塗り絵、お絵かきのおもちゃ、など様々なものがレコメンドされ、迷いに迷った挙句に、コピック(イラスト用のペン)は早々に決まった。
他は?と聞くと、たいそう申し訳なさそうに液晶のペンタブ(8万円くらい)を指さした。
ただ、、、すまない。。液晶ペンタブは無理だ…高すぎる。。という事で、それ以外の何かは?問いことになったのだが、そこから先が決まらず、前述のおもちゃ屋さん行脚に至る。

家電量販店やおもちゃ屋さんでの買い物体験

では、週末に行ったリアル店舗ではどのようなことが起こったのだろうか。
この日はあえてエレベーターには乗らず、1階からエスカレーターで1階ずつ上がっていき、フロアをぐるっと一周する という行動にしてみた。すると、入店から5分程度で「未知の出会い」に遭遇しまくっていた。記憶の中に気になる物をキープしながら最上階までたどり着いた時には、すでに脳内メモリーが破裂するほどに欲しいものにあふれていたようだ。
子供用の電動歯ブラシ、簡易的な電子ピアノ、アクセサリーを作れるおもちゃ、ゲーム、美顔器(?)など、アイパッドでは出会えなかったカテゴリーでまんまと「偶然の出会い」を果たしていた。

つまり、リアルの買い物体験とオンライン(EC)の買い物体験では「出会い方」が違う

この体験からわかったことは、オンラインとオフラインでは商品との出会い方がそもそも異なるという事。
オンラインでは、同一カテゴリーの商品や、何かしらの関連性がある商品は、「これでもかっ!」ってくらいレコメンドされてくる。
一方、オフライン(ショッピングモール)では、必要以上おレコメンドはされないが、代わりに興味がある/ないに関わらず大量の情報に触れることができる。

これは、どっちがいいという事ではないのだ。すでに買いたい商品やカテゴリーが決まっている場合は、amazonのレコメンドほど便利なサービスはないだろう。かたやショッピングモールのような場所では、新たな出会いや偶然の出会いから心の琴線に触れるものを見つけやすい。

衝動買いって、決して合理的な買い物体験ではない。冷静な友人から「それ本当に必要か?」と問われれば、多くの場合、「No」だろう。
「価格は適正か?」と問われれば、「んー、いくらで買ったんだっけ?」なんてこともあるだろう。
しかし、それでも衝動買いをしてしまうのは、たぶん、「その日その時に買わなかったら、もう一生出会えないから」という心理なのかもしれない。
僕はこの一期一会みたいな感覚が好きなので、あえて衝動買いの罠にはまるべくショッピングモールに行くんだと思う。

オンラインとオフラインの買い物体験は融合できるのか?

前述のとおり、オンラインでの買い物体験とオフラインの買いもの体験、どちらが優れているという事ではないのは自明だろう。しかし、買い物という行動において、オンラインかオフラインかは、単にチャネルの違いでしかなく、買い物行動の選択肢を取捨選択するものではない。
OMO(Online Merges with Offline)という概念があるが、まだまだ実現には程遠いように思える。
「なぜ僕は定期入れが買えないのか」に迫る|Pathee公式
ここに、ちょっと未来で実現されそうなOMOの姿が描かれている。この世界観はおそらく、技術的にはかなり良いところまで来ているのだろうが、OMOの根幹となるデータを扱るスキルやリソースの課題もあり、まだ実現には至っていない。

私見ですが、サービス(小売りやECしかり)には人感や熱情のようなものが絶対に必要だと思っている。ECでどのように人感を出すのか?その答えはきっとAIが握っている。
ECの運用担当者やマーケターがデータ処理業務をすべてAIに任せ、商品やサービスに対する想いやうんちくのようなコンテンツをつくる必要があるだろう。
また、リアル側では従来のように偶然の出会い(セレンディピティ)を演出しながら、より購入可能性の高い商品をスッとレコメンするとか。そういった工夫が必要になる。

買い物は、生活必需品だけではなく、個人の体験や思考をもアップデートできるもので、経済活動は『買い物』によって成り立っている。
その買い物行動をいかにアップデートできるかは、このコロナ騒ぎでも露わになったことだろう。
オンラインでもオフラインでも素敵な買い物体験ができる社会になることを夢見て。

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