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知らないおじさんにプロポーズされた話

専門学生の頃、
就活の面接練習で遅くなって
友達数人と駅に向かって歩いてました。

夜の21時?22時?くらい。
まだ寒い2月の話です。


あの頃はコロナなんてなくて
駅の周りはとても賑やかでした。

1次会が終わって
2次会へ向かう時間帯でしょうか。

酔っ払った人がちらほら。


「おーい」と言いながら
手を振るおじさん。
白髪で60は超えているだろう。

誰かの知り合い?
友達と顔を見合わせる。


おじさんはいい感じに酔っ払っているようだ。
一緒にいるのは部下だろうか。

おじさんは肩を支えられ
こちらに歩いてくる。


おじさんは私の前で止まった。

近くで見たおじさんの顔は
やっぱり知らない顔である。


おじさんは私の左手を掴むと
「これで僕達は夫婦だよ」と言いながら
薬指に指輪をはめました。

おじさんは
「これね、光るんだよ」と言いながら
指輪を光らせてくれました。


部下の人は
「ごめんね、この人酔ってんの」と言いながら
おじさんを引っ張って行き、
また夜の街へと消えていきました。


私の手に残されたのは光る指輪。


それでは聞いてください。

「遺産だけください」



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