『他人』(超短編小説)

「私は他人のままがいい」

   千登勢には独特の間合いがあった。普段から何を考えているのかわからなくて、たまに予想もつかないことを言い出す。僕のプロポーズの返答がそれなのは、やっぱりおかしいと思うのだ。

「えっと・・・それ、ごめんなさいってこと?」
「・・うーん」
「俺を好きじゃないってこと?」
「好きでいたいからよ」

   千登勢は難しそうな表情をした。

「ちょうどいい距離感ってあると思

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「前代未聞のタクシー会社の取り組み」~タクシーエピソードコレクション~

タクシーをエンタメにしています。ヨナシロです。
本日は、タクシーエピソードコレクターとしてTwitterで集めているエピソードを僕の体験も合わせながら簡単にまとめて紹介します。

Taxi episode collection とは?
タクシーエピソードコレクターのヨナシロがTwitterでやっている遊びで、
密室のタクシーで起こるタクシーのエピソードを掘り起こしていけば、面白い話が見つかるのでは

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彼にプロポーズされたいGirlsたちへ

ある時から、彼が、

”When we go back to Australia...”とか、

”When we have kids......”とか

私と一緒にいる将来を当たり前のように見据えて話してくれるようになったのですが、これってすごい嬉しいですよね~。

逆にしていうと、結婚の話をしてくれない彼と付き合っている人や、結婚できるか、プロポーズしてくれるか不安に思っている人は、彼と

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ヒゲと洗面台と指輪と。(短編小説)

私に、ヒゲが生えてきた。

昨夜、彼とのデートをドタキャンしてまで予定を合わせた、久々の大学時代の友人との会食にハメを外しすぎて、浴びるようにお酒を飲んだ私は、珍しく帰宅するなりメイクも落とさずベッドへ直行した。

懐かしい会話が楽しすぎたというのもあるが、彼への愚痴もお酒をすすませた要因のひとつだ。

いつもは寛大で優しい彼が、何故かその日に限って折れてくれなかった。
無理矢理友人の方を優先した

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戦略的プロポーズ(決算編)

# そして締めくくりへ

最後に今回のご提案に掛かった金額をまとめてみよう。
ただし、私もコンサルタントの端くれとして最後はビジネスをして終わろうと思う。

ここまで読んでおもしろおかしく笑ってもらえたなら嬉しい。そして、おれも頑張ろうと思って前に進んでもらえたなら本望だ。

一方で、具体的な店名や金額が知りたいという人のためにご祝儀の口を用意しておくことにする。もちろん金額なんてどうでもいいから

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戦略的プロポーズ(オペレーション編)

# そして当日。これまでの準備の成果を遺憾なく発揮するときが来た。

結論から言えば、無事に契約のご提案を受け入れてもらえた。
現在は契約締結の準備を進めている。

軽くだが当日を振り返り、全体の流れを見てみよう。

当日の流れ

13:00
クライアントが協力の姿勢を見せたこともあり、結果的にいつも通りのデートから始まった。2人で家を出て表参道へ向かう。

15:30
ぶらつきながらスタバに落ち

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戦略的プロポーズ(指輪編)

# シチュエーションと同時並行で指輪の準備も進めるが、いくつもの大きな関門が立ちはだかるのであった。

指輪、そう指輪である。
準備上、最大の山場である。これは男性にとって未知の領域であり、コンサルタントとしての真価が試されるのだ。

指輪についても、

■戦略
①全体としてのストーリー性を重視したユーザー体験の提供を目指す。
②丁寧に準備を進め、こちらのホスピタリティーを遺憾なく発揮する。

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戦略的プロポーズ(シチュエーション編)

# 戦略策定に連休の前半を費やした私は、一気に詳細への落とし込みを図るのであった。

戦略立案編では3年記念日にサプライズで決行すること。そして、

■戦略
①全体としてのストーリー性を重視したユーザー体験の提供を目指す。
②丁寧に準備を進め、こちらのホスピタリティーを遺憾なく発揮する。

という戦略を策定したのだった。

ここからは上記を踏まえ、具体的な要素の検討に入っていく。
まずはシチュエー

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戦略的プロポーズ(戦略立案編)

# 来る7月某日、1人のコンサルタントがクライアントへ契約のご提案を行った。このnoteは、その戦いの記録である。

契機

2019年、もう間もなく春が来ようという頃。
じわじわと契約ご提案の好機が迫っていることを感じた。

否、私はコンサルタントである。
そんな曖昧な感覚でことを進めていくことはできない。現状を分析し、ロジカルなシンキングでクリティカルなプロポーザルを行わなければならないのだ。

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そして夫婦になっていく。たぶん。

「私は君に優しさを全くあげていない」
何の脈絡もなく妻が僕にいった。

付き合って十年、結婚して八年を経た妻からの言葉だからなかなか痺れた。

「あげていないと思う」
妻はくりかえした。

「確かに少ないな」
僕は笑った。

「私は人のために生きられない。あなたに寄り添ってあげられない」
妻は寂しそうにいった。

夫としてはなかなか衝撃的なカミングアウトを受けたわけだが、僕が感じたことは違うところ

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