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ゾンビになってみて思うこと

ハロウィンナイトから一夜明け、朝の8時半、渋谷センター街を歩いた。

二点悲しかった。
まき散らかった酒とゲロの匂いにまみれて、酔っ払って疲れ果てた若者たちが「うぇぇ、うぇぇ」と倒れて唸っていて、完全にゾンビだったこと。

量販店で買ったやっすいお面や流行り物の市販品を身に纏って一生懸命女子を口説こうとしている男子がカッコ悪かったこと。

「他人のクリエイティブに乗っかるな」

これは僕がいつも作品に魅了される写真家のワタナベアニさんの言葉。誰かがつくったものを安易に利用するのはクリエイティブ、創造的とは言えない。
素人はすぐに看板とかショーウィンドウとか自動販売機とか撮りたがるけどあれは全て誰かのデザインだ、と。

そんな話を思い出すと、これでは渋谷に文化は生まれない。

自分自身も反省がある。

スターウォーズやガンダムのコスプレを写真に撮ってアップして、些細な承認欲求をみたすところで終わっていた。
大反省。

今年は、雑誌東京カレンダーを参考に、女子達にご飯を奢りまくる、港区おじさんをコスプレ。

オリジナルを作るのは簡単ではないし、抜け出すのは容易ではない。精進を続けます。

一方で対照的だったのは、同時間帯の渋谷駅。無表情で、無言で、整列して歩く大量の人々でホームが埋め尽くされていた。列車が到着する度に全く同じ様子の人々が吐き出されるようにして雪崩をうっておりてくる。

まさにゾンビとまでは言わないけれど、気配を感じさせない人間の群れを目の前に心がざわついた。

そしていま僕はその群れに加わり、無表情で、無言で、淡々とスマホに文字を打っている。

ささやかな抵抗として、最後にその文字をシェアしておきたい。

みんな、そんな仮面、剝ぎとっちゃえば。

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