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vol.3 金工芸の未来を守り革新していくために。【SGC】

経営者とブランディングデザイナー西澤明洋が対談し、ブランドの成長ストーリーを振り返りお届けするシリーズ「BRAND STORY」。


執筆・編集 加藤孝司
撮影 トヤマタクロウ

金製品のリーディングカンパニーであるSGCがリブランディングを発表したのは2018年のこと。発表と同時に業界の枠を超えて大きな反響になった。一代でSGCを立ち上げSGC会長を務める代表取締役会長土屋豊氏と、SGCのものづくりを支える石川工房に生まれ、現在は代表取締役社長を務める石川貴久氏に金の魅力について、今回のリブランディングについてお話を伺った。

永遠のものとしての金という存在

ーーSGCさんが創業されたのはいつになりますか?

土屋:昭和26年に金やブロンズなどこの地球上から枯渇していくものを扱うビジネスとして創業し、30数年前に世界の美術市場も意識しながら金に特化したビジネスを始めて今日に至ります。

ーー金に関してどのようなことを行っているのですか?

土屋:金工芸品の販売はもちろん、製造製作、精錬、買取と、金に関して一貫して行っています。

ーーどのような思いで金に特化したビジネスを展開されているのでしょうか。

土屋:金は普遍であるという思いでやっています。一方で、お宅の製品はなぜ使用している金の価格の数倍の値段になるんだとも言い続けられてきました。マグロもカツオも海を泳いでいるときはタダじゃないか、ダイヤもガソリンも地中にあればタダだというわけです。
でも洋服でも家電でも、いくら高価なものを購入しても時間が経てば価値がなくなってしまうものがほとんどです。そういった意味では、造幣局の検定マークがついた金という素材を使って適正な価格で売るのは、ビジネスとしては模範になるような商材だと我々は自負しています。こんな商売はなかなかないと思います。

ーー確かにそうですね。金という価値、工芸としての価値をもった製品ですから。SGCさんは金製品に関するリーディングカンパニーのひとつだと思いますが、ビジネスについてどのようにお考えですか?

土屋:ビジネスとは、誰もが嫌がる仕事をするか、誰かがやって儲かった仕事をそっくりそのまま真似てやるか、誰もやったことのなかった仕事をするか、大きくわけてその3つに尽きます。我々は誰もやったことのないことに挑戦しよう、ということで、金製品に特化したビジネスをしよう、やるなら日本一、世界一のものをという思いでやっています。私が知る限りですが、金の美術工芸品に関しては世界一の在庫量、製品をもった会社だと自負しています。

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(左)株式会社SGC 代表取締役会長土屋豊氏、(右)代表取締役社長石川貴久氏

ーー日本にはSGCさんの規模で金に特化した美術工芸品を扱う企業はないのですか?

土屋:そうだと思います。理由は金がいつかは下落する可能性があるのでは、というのが本音ではないでしょうか。僕は金は世界最古の通貨、実物資産でもあるし、おそらく大丈夫だろういう思いで金に特化してやっています。70年前は金は今の千分の1、1グラムあたり4円70銭でした。ここ20年で約4.5倍に上がっている揺るぎない通貨です。ご存じないかもしれませんが、金はこの地球上で1グラムたりとも絶対に増えないもので、これは減るばかりなんです。

ーーそれはなぜですか?

土屋:通貨というものは刷ればそれだけ増えますし原価にしても微々たるものです。金は世界中どこへ行っても1トンの鉱石の中から4~5グラム程度しか採れませんから、採掘にかけるコストに見合わないんですね。そして人工的には間違いなくつくることができない。金やレアアースという素材はこの広大な宇宙の中で大変な密度をもつ中性子星同士が合体して出来た物質で、それが宇宙から地球に降り注いだものだといわれています。自然には出来ないものだと言われていて、だから1グラム足りとも増えないというところに行き着きます。

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ーーなるほど。現在はどのようなところで金が採掘されていて、どのように活用されているのでしょうか?

石川:世界中では約100万年前の地層から掘られています。現在世界で採られている金は年間約3千トンで、流通しているのは4千トン。千トンの差がありますが、それが我々どものような会社がお客様から買い取りをさせていただいたイヤリングやリングなどをリサイクルした金が流通しているということになります。今まで地球上で掘られた金が約18万トンで残りが約7万トンと言われています。現在、見つかっている鉱山だけでいうとあと23年ほどで地球上の金は掘り尽くされる計算です。

ーーそれだけ世界中の人たちの夢であり憧れを喚起しているということですよね。
SGCさんのものづくりについて教えてください。ただ単に金が欲しいのであれば金のインゴットを売り買いすればいいわけですが、たとえば永遠の輝きと価値をもったものとしての金を身に着ける喜びがある中で、SGCさんはどのような思いで金製品をつくられているのでしょうか。

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執筆・編集

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Photo:Takuroh Toyama

加藤孝司  Takashi Kato

デザインジャーナリスト/ フォトグラファー

1965年東京生まれ。デザイン、ライフスタイル、アートなどを横断的に探求、執筆。2005年よりはじめたweblog『FORM_story of design』では、デザイン、建築、映画や哲学など、独自の視点から幅広く論考。休日は愛猫ジャスパー(ブリティッシュショートヘアの男の子)とともにすごすことを楽しみにしている。http://form-design.jugem.jp

撮影

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トヤマタクロウ

1988年生まれ。写真集や個展での作品発表を中心に、クライアントワークにおいても幅広く活動。http://takurohtoyama.tumblr.com

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