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写真に枠をつけるとなぜ良いのか

答えは単純です。かっこいいからです。
あと機材名も入っているとかっこいいですよね、文字が入るとかっこいいのです。

というだけではさすがにどうかなと思うのですが、結論としては件の通りで、ではなぜかっこよく見えるのかということを深堀していきたいなと思います。

まず枠について考えると、枠がつくことによって写真がある種の絵画的なものに見えて、作品性を持つからかっこいいのだろうと思っています。さらに言うと枠がつくことで「内」と「外」のようなものが明確になり、写真と鑑賞者との境界を明確にしているようにも思えます。覗き見る感覚、と言えば良いでしょうか。それは写真という世界観への招待を意味していて、表現、鑑賞という対話を円滑にする効果があるように思えます。

また、おそらく多くの人々が「写真」を想像したとき、白枠付きのL版プリントされたもの、もしくはチェキのようなものを思い浮かべると思うのですが、そういった写真そのものへのイメージとの合致もあるでしょう。そう思えば「写真」という概念はもしかすると、枠をつけることで完成するのかなと思ったりもします。

次に機材名を入れることについてですが、これは単に枠をつけることと比べてより多くの理由があるように思えます。まずわかりやすいのが、機材名から写真に興味を持つ、というところです。例えば自分が使っているカメラと同じカメラが使われていると示されていると、なんとなく共感のようなものが生まれて、その写真を見る気になるのではないでしょうか。そうでなくとも例えば「オールドコンデジで撮った下町」みたいな題名で写真集があれば、その手のものが好きな人はきっと気になるはずです。それが機材名のもたらすひとつの効果かと思われます。

また、先に挙げたオールドコンデジ云々と似たようなものですが、枠と同じくやはり作品性が増すという効果があります。というのも、作品とはそれ単体で作品として成り立つことが難しいのです。言ってる意味がよく分からないとは思いますが、例によって例の如く、例を挙げて説明するならば「ピカソが書いた絵」と「誰かが書いたピカソの絵」では価値が全く異なるのです。すなわち作品を作品たらしむ要素のひとつとして、その作品の製作者や作成過程、背景が重要なのです。枠に機材名を載せるというのはまさにそこで、その作品を撮ったときの情報を載せることで、鑑賞者との対話の間口を作っていることになります。機材名と併せてメーカー名が載っているのも、作品にメーカーの画作り、性格を載せていることに繋がって、より鑑賞者に親切な効果をもたらすでしょう。

機材名の効果はそれだけでなく、やはり作品において重要な要素のひとつである、作家を知るということにも繋がります。好みの写真を撮っている人の機材が気になってしまうことはよくある事だと思いますが、その需要に答える形になるわけです。それのみならず、おそらくいい写真を撮る人はどんな人なのだろうと気になるでしょうし、そういう人が投稿に文を添えてくれると、なんとなく嬉しいのではないでしょうか。ここで別の話にも繋がってしまうのですが、投稿に文を添えるというのも、作家の感性や写真そのものの説明になって、鑑賞者との対話を円滑に進める効果があります。まあそれが機材名にせよ写真の雰囲気の説明にせよ、視覚的な情報のほかに言語的な情報を添えるというのは、鑑賞者側からすると親切なのです。

ここまで書いておいてわたしはあまり写真に枠をつけないのですが、本当はだいたいの写真には枠をつけたほうがいいだろうなあと思っています。枠や機材名の記載にわりと批判的な方もおられますが、作品作りにおいてはひとつの手法というか、作家側の親切心としてつけてあげても良いのではないかなあと思います。それは端的に言い表すならば「窓」なのです。先に世界観への招待と書きましたが、見せる側に立つならば、見る側にも立たねばならぬとわたしは考えます。

でもわたしはやっぱりほとんど枠をつけません。なぜならめんどうくさいからです。お疲れ様でした。

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