見出し画像

前世の記憶




少しスピリチュアルな話になるが、
私は幼い頃から花魁道中を知っている。


「禿は?」等といきなり言って
周囲を驚かせたものだ。


3歳くらいの頃だろうか。
ハッキリとこの目で視た。

神々しい程の着物に綺麗に塗られた紅。
幼いながらに感じたのは
その辺の人達とはオーラが違ったという事。


まさしく高尾太夫だった。(後に調べた)

じっと私を見つめ、
スゥ・・・と消えていった。

そして月日は経ち、中学生の頃。

脳内で
「夕凪が身投げした」
と聞こえた。

ゆうなぎって誰だろうと思いつつ
あまり気にしていなかった。

今度は
「客の子を孕んで身投げかい」
と老婆のような声がした。

そこからである。

脳内で遊郭の一部一部が
写真のフィルムのように鮮明に流れる。

以前、土屋アンナ主演の【おいらん】という映画があった。

だが、とてもじゃないがあんな綺麗ではない。

当時でいうとお洒落といえばそうなのだろう。
鏡、開けっ放しの紅、脱ぎ捨てられた足袋。
淡い紺色のせんべい布団が乱れている。

若い数人はせっせと掃除をしては
今でいうベッドメイキング、
またお茶を淹れたりと忙しそうにしている。


私は頭を振った。

もう見たくない、と思ったからだ。




そう、

最期まで私はたしかに
あの場所で地獄の日々を過ごしていた。


もちろん信じる信じないは
読み手の方々に任せる。

ただ一つ言えるのは
あんな煌びやかに見える世界でも
今も昔も残酷でまさに地獄であり、

面白半分で花魁橋など行かない事だ。




忘れたくもあり忘れたくもない一つである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?